3-1 〜狼との出会い〜
「そろそろ暗くなってきたところだし、ここで野宿にするか。」
「え?暗くなってきた?」
「気づかなかったのか?」
「そりゃあね・・・・。必死に歩き続けてたからね・・・。」
「ははは、ミスズがやるといったからな。」
「まあ、それはそうなんだけど・・・・。」
途中から疲れてきたらヒールをかけるといいってわかったから良かったけど、知らないままだったら私もっと早めでダウンしてたからね?そこんとこわかってます?
「そんな半目で見るなよ、まったく。我は近くで野宿に必要なものを集めてくる。ミスズはここで休んでいろ。」
「ありがとうございますザク様仏様!!」
「・・・・。行ってくる。」
「はーい、いってらっしゃーい」
あー、ほんっとに疲れた!よく頑張ったよ私!
よく考えてみてよ。私、地球ではインドア派の学生だったんだよ?運動全然しないできないだったんだよ?なのに、異世界転移一日目、15キロ近く歩いたんよ?ヒールしまくったけどさあ。でもでも、すごくない?すごくない?すごいよね!
なんてことを、近くにあった切り株に腰掛けながらつらつらと思っていると、突然遠吠えが!!
『アオー――ン!!!』
『シャア―――――!!』
「え!?なになになに??狼?魔物?」
ど、ど、ど、どうしよう?私、攻撃できる手段持ってないんだけど!回復しかできないんだけど!異世界きてすぐにグッバイすか私?
「ミスズ!大丈夫か!?」
「あああ、良かった!ザクが来た!これでまだ大丈夫だ!」
ザクは竜だから強いよね!これで一安心。
「ザク、どうするの?移動するの?」
「いや、もうじき夜になる。そんな時に移動なんてしたらミスズがそっちゅう転ぶだろ、危険だ。」
「あ、そうすか。」
なんて言い草だ。そうとは限らんぞ!
「だったら、どうするの?」
「簡単だ。倒す。」
ちょっとちょっと奥さん、うちの子狼倒すの簡単って言ってるわ。まあ大変!
「いやいや、ザクさん?本気?」
「なんだミスズ、忘れたのか?我は黒竜ぞ?狼くらい朝飯前だ。」
「そ、そうですか・・・・。」
「では、行ってくr」
『アオー―ーン!!(誰か!私の子を助けて!!)』
「「!!!」」
遠吠えに声が重なって聞こえた!?
「い、今、助けてって・・・」
「うむ、確かに聞こえたな。」
ザクにも聞こえたなら、私の空耳じゃないのか!?
なら!!
「ザク!助けにいくよ!!」
「わかった、我が行くからミスズはここで・・・」
「ううん、私も行くよ!」
「だが!」
「私の聖魔法が必要になるかもしれない!」
「・・・。わかった。我のそばから離れるなよ。」
「もちろん!」
そして、私達は声のした方へ走り出した・・・
・・・・・・・
・・・・
・・
「いた!って、ああ!!」
視界に狼の姿を映せた瞬間、大蛇が狼にかぶりつこうとした!!
「大丈夫だ!」
ドオー――ン!!
ザクの声が聞こえたと思ったら、同時に大蛇に黒い稲妻が直撃した!
よ、よくわかんないけど、とりあえず大蛇一発K.O!!
「ミスズ、早く来い!!」
「ちょ、ちょいまち・・・っ!」
「急げ!」
ザクが早すぎるんだよ・・・
と思いながらザクと狼のもとへつくと・・・・
「うそ、でしょ・・・?」
「これは、酷いな・・・・」
狼は、身体のあちこちから血が出ていた。
生きているのが、奇跡のように。
そして、狼のお腹は、とても大きくなっていた。