2ー4 〜古竜との出会い⑤〜
遅くなりました。本当すいません。ジャンピング土下座<(_ _)>
「では、ザクラスさん!」
「待ってくれ、我が主よ。」
「?なんでしょう?」
私なんかいけないことでもしたかな?
「我は、我が主の従魔だぞ?」
「??そうですね。」
「そうだ、我は我が主の従魔だ。それなのになぜ、我をさん付けで呼ぶのだ?あと、敬語も。」
「そういえばそうですね。」
「我は従魔ゆえ、呼び捨てでいいのだぞ?と言うよりは、普通は命令口調だぞ?」
「へえ。そうなんですね。」
でも、仲間に命令口調って嫌だなあ。それって、「私の方が上だからな。お前は私より下なんだよ。」って言ってるようなもんじゃん。
私、そんな嫌な人になりたくない。
「分かりました、いえ、分かった。じゃあ、あなたのことは、えっと....。」
ザクラス、ザク・ラス、ザク....。
おおっ!!
「ザク!ザクって呼んでもいい?」
前の2文字とっただけだけど、グッと仲間感出るよね!
「ザク、か...。」
「い、嫌だった?嫌だったら、ザクラスでもいi」
「いや、気に入った!これからはザクと呼んでくれ我が主!!」
「分かったよ、ザク!!」
良かった良かった。あだ名気に入ってくれて。
「そういえば、我が主、」
「あ、ちょっとまって。」
「どうした、我が主?」
「ザク、私のこと我が主って呼ぶのやめて。」
「な、何故だ?」
「我が主って呼ばれるのなんか嫌だよ。」
「しかし、我にとって我が主は我が主だぞ?」
「ああ、いや、そういう事じゃなくて....。」
ううん、なんて言えばいいのかなー?確かに、ザクは従魔なんだけど、従魔として扱いたくないっていうか、なんていうか、その...。
あっ、そう!家族!!家族だ!!
「えっとね、ザク。私、ザクのこと従魔として扱いたくないの。」
「ど、どういうことだ?」
「確かにザクは周りから見たら、従魔だよ。実際そうだし。でも、私は従魔を仲間として扱いたいんだ。」
「仲間?」
「もっと言えば、仲間であり家族かな。」
「仲間であり、家族である....。」
「そう。」
「しかし、良いのか?我が主には我が主の家族がいるであろう?」
うーん。確かにいるけど、それは地球での話であって、この世界にはいないからなあ。いるっていえばいるし、いないっていえばいないし。どう説明したらいいか...。
「話しにくい事なのか?」
「うーん、いや、えっと...。」
「話しにくいなら話さなくて良いぞ、我が主。」
「え?」
「話しにくいことを無理に話させる気は無い。我は我が主が大切だからな。無理に強要したくない。」
「ザク....。」
「まあしかし、今日初めてあったとはいえ、我は我が主の従魔だ。少しばかり寂しい気もするがな。」
「....。」
ザクは私の気持ちを大切にしてくれてる。そんなザクに何も言わないなんて、酷い、よね?
ザクに地球のこと話すのは怖い。誰だって「は?何言ってんの?」って思うだろう。でも、ザクになら....。
よし。
「その、ザク。」
「どうした、我が主?」
ザクが優しく心配そうに見つめてくる。
「聞いて欲しいことがあるの。」
「わかったぞ。」
「その、本当にありえないような話だよ?」
「そうか。でも、良いぞ?」
「うん。実はね....」
私は、ザクに、全てを話した。地球で死んだこと、神様に、会ったこと、転移してこの世界にきたこと、不安だったこと...。
私が話している間、ザクは静かに聞いていてくれた。
「.......。という事なんだけど。分かった、かな?」
「ああ。信じられんような話だが。」
「そう、だよね。」
異世界から死んで来ましたー!なんて話、夢みたいなものだよね。
「だが、我が主はそれが本当だと言うのだろう?」
「うん。本当だよ。」
「なら、本当なんだろう。」
「信じてくれるの?」
「もちろんだ。我は我が主のこと信じるぞ。」
「ほ、本当に?」
「ああ。我が主の全てを信じるぞ。」
「っ!あ、ありがとう...!!」
「礼を言われるようなことはしていない。我が主よ、」
「?」
「不安だったのに、よく頑張った。我は我が主を尊敬するぞ。」
「っっ!!」
そんな、そんなこと言われたら、泣いちゃうじゃん!
「う、ううっ!」
「我が主!?」
「うわーーーん!!!」
「主ーー!?」
おろおろするザクの前で、私は派手に号泣した。
不安で苦しかった気持ちを吐き出すかのように。
......
....
..
「お、落ち着いたか?」
「うん。ごめんね、ありがとう。」
「我が主が無事ならそれで良い。」
なんて男前なんでしょう、ザクは。
「それで、なんの話してたんだっけ?」
「我が主は従魔を仲間であり家族として扱いたい、という話だったな。」
「そうだった。」
忘れてたよ、やべー。
「で、どうでしょう?」
「どう、とは?」
「家族として、ザクをみてもいいでしょうか?」
「かぞく、か...。」
「うん。」
「我が主がそうしたいならそうすれば良い、と思うぞ。」
「えと、そうじゃなくて、」
「それに。」
私の言葉を遮って、ふいっと明後日の方をむく。
「我も、我が主と家族になりたい。」
「!!ありがとう!」
この世界で家族ができた!
「じゃあ、私とザクは家族だね!」
「ああ」
「ザクは、私のことミスズって呼んでね!」
「え、それは」
「家族なのに我が主はないよ。」
「しかし...!」
「ザク、ダメ?」
「〜〜〜!わ、分かった!ミスズ、ミスズだな!?」
「うん!ありがとう、ザク!!」
「全く。従魔に名前で呼ばせるなんて、普通はしないぞ。」
「ふふふ。うちはうち、よそはよそです!」
「なんだ、それは?」
神様、私、この世界で楽しく過ごすことが出来そうです。