魔話1 入学試験
ある時、魔王がいた。
その魔王は、世界最強の魔王だった。
誰も、彼には勝てず、強すぎる故に傍には誰もいない。
そんな魔王がある日、忽然と消えた。
この話は、その魔王が五千年後の世界にて波乱万丈を起こす話である。
◆◇◆◇◆◇◆
「はぁー、暇だな。」
「主、コーヒーでございます。」
「ああ、ありがとう。クレア」
俺は、魔王アベルで日本人『栗城瞬』であり『佐藤義雄』でもある。
なんで、俺が複数の記憶があるかと言うと、まず『佐藤義雄』の時は順風満帆な人生をおくり死んだ、そして輪廻転生して『栗城瞬』になったのだ。『栗城瞬』の時は今現在の日本を生きていたヲタクと言うやつだった、そしていつも通り学校の席でスマホを弄り小説やマンガを読むでいたら、急に教室が光だしそして俺は死んだ。その時に俺は『佐藤義雄』だった事を思い出した。その時俺は、思った。いい人生おくったなら、次は、戦いまくりたいと!!だから、生き返るなら魔法がある世界で、皆に恐れられる最強の魔王になりたいと願った。俺の夢でもあったからだ。そして、願っていたらなんと!叶ったのだ!!記憶も残っていたのだ!!だから、俺は赤ちゃんの時からずっと魔法やこの世界について考えながら特訓していた。そしたら、最強の魔王と言われ恐れられた。そんな時代を生きていたのだが俺にかなう奴がいなくなったから、自分の創ったダンジョンに今日までで五千年間隠居してたのだ。
「うん、やはりクレアの入れるコーヒーは美味いな。」
「ありがとうございます、主。それで今日は、どうなさるのですか?」
「今日は、久しぶりに外の世界に行こうかな!」
「そうですか、やっと外に出られるのですね、主」
「うん、五千年経ったからね。少しは変わってるといいんだけど。」
「変わっていると思いますよ。支度されますか?」
「うん、フル装備で行こうかな!」
「わかりました、主。呼んで参ります。」
「うん、お願い。」
ああ、説明が遅れたね。さっき隣にいた彼女はクレア。俺の配下でメイドであり武器である。彼女は、俺が創った存在である。まぁ、他にも何人かいるがな。その中で彼女が一番強い。まぁ、彼女についてはこんなところだろ。
「主。皆を連れてきました。装備の準備も整っております。」
「ありがとう、クレア。いつも通り早いね。」
「主のご命令とあらばなんでもいたします。」
「うん、ありがとう。よし、これでいいかな。じゃぁ、最後は《ガイアよ顕現せよ》」
ガラガラッ!!
俺のダンジョンが音を立てて崩れ、二本の剣が顕れた。片方は、ダンジョンガイアであり、黒曜石の様な綺麗な黒い輝きを放っている。もう一方は、この世の全てを飲み込み壊す様な飲み込まれそうに黒い輝きと紅黒い線が走っている剣である。理を滅し秩序を乱し宿命すらも断ち切ってしまう剣。名を理滅剣だ。名前と言うか概念だな。まぁ、そんなことは今はいい。
「よし、出発するか!!」
◆◇◆◇◆◇◆
地上
「おお、凄いな!!」
五千年前は、中世のヨーロッパより酷かったのに、今では日本みたいになっている。
「綺麗だな。五千年前は草原と森だけだったのに、こんなに建物が建っているとは。」
「えーっと、学校はっと?」
『あちらです、主』
「ありがとう。クレア」
『いえ』
今クレアは装備になっているので声は俺にしか聞こえない。
「よし、ここだな。」
ああ、言い忘れてた。今の俺、髪は白で服はまぁ燕尾服に鎧を付け足したみたいな服だ。身長は、少し高めの172だ。まぁ、実際の俺とは見た目は違うがな。
「えーっと、入学試験を受けたいんですけど」
「はい。入学試験ですね。では、あちらの列に並んでください。」
「はい。ありがとうございます。」
コソコソ
(なんだアイツ?)
(見ない顔ですね、辺境の人でしょうか?)
(カッコイイわ)
はぁー、よかった。俺だってバレてないな。バレたら本末転倒だからな。それに、最強の魔王がここにいるなんて誰も思わないよな。
「お集まりの皆さんお待たせしました。これから入学試験を開始していきたいと思います。では、まず教室に移動し筆記試験を受けて頂きます。その後は、格技場で実践試合をしていたたぎ、試験の総合結果で合格不合格を判断します。それでは、教室に移動します。ついて来てください。」
え、マジ?あれが先生なの?
コソコソ
(すげぇ、サリバン先生だ。)
(ほんとですね。かの御方に試験場に案内していただけるとわ)
(やっぱりサリバン先生ってイケメンよね!)
え、あの先生ってそんなに凄いのか?!そう見えないんだが?
「ねぇ、聞いてもいいかな?」
「ん?なんだ?」
「あの先生って、凄い御方なの?」
「お前サリバン先生知らないのか?!」
「田舎から出てきたから知らなくて、教えてもらってもいい?」
「そういうことなら、仕方ないな。教えてやるよ。サリバン先生はな、魔皇の一人でこの学校の理事長だ。そして、二千年前から生きてるんだぜ!」
魔皇というのは、魔帝の側近である。魔人族の憧れだな。あ、因みに魔帝と魔王は違うからな。
「へぇ〜!!凄い御方なんだね!!」
「ああ、凄い御方だ。第二魔皇だしな!」
へぇ〜、結構位高いんだ。なのに、あんななんだな。この世の魔人族は弱くなったものだ。
「はい。着きましたよ。ここで筆記試験を行ってもらいます。それでは、筆記試験について説明します。筆記試験は、このペンを使っていたたぎます。」
ほぇー、日本のボールペンみたいだな。でも、魔法文字でやらないんだな?なんでだ?
「監督は、私がやります。もし、魔法で不正を行ったらその時は覚悟しといてください。それではテスト用紙を配ります。」
◆◇◆◇◆◇◆
「テスト終了します。回収しますのでペンを置いて紙は裏返しにしてください。」
はぁー、やっと終わった。テストと言っていたからどんなものかと思って身構えたのに、魔法の基礎中の基礎とその応用と聖剣や魔剣、精霊などの基本知識だったな。あんなのになんで50分もかけるんだ?あんなの5秒で終わるだろ。意味がわからない。
「では、次は実践試合を格技場にて行っていたたぎます。では、移動開始します。ついて来てください。」
コソコソ
(ああ〜、やっと終わった。)
(少し難しかったですね。)
(そうかしら?簡単だと思うわ。40分もあれば解けるわ。)
はぁー!!あれを40分?!あんな簡単な問題を40分で解いたのか?!5秒でいいだろ?!
「おい、どうだったテスト?」
「うん?ああ、君か。余裕だったよ。」
「ほんとか?」
「うん。」
なんで、訝しむんだ?あんなの誰でも解けるだろ?
「はい。格技場に着きました。それでは、ペアを決めたいと思います。この箱から、紙を引いてその番号が一緒の人と試合をして頂きます。」
一対一か、まぁ負けることはないからなんでもいいが。
「それでは、引いてください。」
「皆さん、引き終えましたね。では、一番の方から順に試合をしてください。審判は私ですので、どれだけ無茶をしても結構ですよ。装備は自分のを使ってわいけません。その装備の力で負けたなどの問題を避ける為です。《多重結界》」
ほう?《多重結界》か。これなら、少し暴れても外に被害が出ることもないな。
「では、両者前へ。準備は良いですね?それでは始め!!」
◆◇◆◇◆◇◆
試験は順調に進んで、次は俺の番だ。
「よし、クレア俺の装備を見といてくれ。」
「はい。」
「よし、では行ってくる。」
「行ってらっしゃいませ、主」