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83 参戦

 平日昼間。入園者が絶えて久しいタマーランドで、いつもの企画が始まった。


 因みに、開催時間は平日昼間と決まっている。本当なら平日夜間や休日の方が参加者もネット視聴者も助かるだろうが、やはり付近の住民に迷惑がかかるので、この点は仕方なかった。


「はい、今日の挑戦者です。最近はめっきり減ったので、番組的に助かります。お名前は?」

「LITです」


 リーダーの浩が答える。


「同じ会社の仲良し五人組ですか。お仕事は大丈夫なんですか?」

「はい、有給とって来ました」


 ここではヅラをつける浩リーダーはダンディな白スーツで、直樹はヒップホップスタイル、彩はゴスロリ系で、美咲はOLスーツだ。レオだけ、スケボー持ってる普通の子供の衣装だった。


 皆サングラスをかけ、背中にはLP砲の各部品を括り付けている。

 ルタンチャーも武器や楯に変形させて、フル装備だ。


 コスチュームを揃えようかとの話も出たが、この点は個性の尊重で話がついた。

 ただ今回は頭部を保護するため、色違いのヘルメットを被っている。

 レッドが浩、ブルーが直樹、グリーンがレオでイエローが彩。そして美咲はピンクだ。


「えっと、それぞれの紹介文があるんですね。では紹介させていただきます」


 解説者が何やらカンペを取り出し、5人の説明をし始めた。


「まずは伝説のリーダー、ヒロシィイイイ☆! 五十代にしてこの筋肉美、ダンディな姿にはゴジ助もメロメロか? そもそもゴジ助は♂なのか♀なのか? 今日はリーダーとしてゴジ助討伐作戦をとりまとめます!」


 決めポーズをする浩であった。


「次は伝説の営業、ナァオキィイーー! 某メーカーで営業売上げ月間連続一位を達成した伝説の営業マン。得意の話術を駆使してゴジ助を倒せるか? ちなみに好きなタイプは西野八瀬です!」


 同じく決めポーズをする直樹。何にでも『伝説』をつけると格好良く感じるから、不思議だ。


「おつぎは伝説のゴスロリ、アヤ! 華奢な体からは想像つかないほどの攻撃力、今日はゴジ助を悩殺よ!」


 ちょっと恥ずかしげに一礼する彩。ちなみに文章はすべて直樹が考えたらしい。


「次は伝説のスケバン、ミサキ! おっぱいも大きいが態度もデカい! 顔に似合わず圧倒的な破壊力で、ゴジ助も瞬殺します!」


 押忍! と礼をする美咲であった。

(後で殺す)と直樹を睨んだが、向こうは気付いてない。


「そして最後は伝説の中学生、レオ! 中学生にして既に会社員、社畜サイコー! 一兆円をゲットして、みんなで豪遊したいな!」


 軽く手を振るレオだった。身分は誤魔化してる。


 浩の音頭で5人が円陣を組み、手を合わせる。みんなやる気MAXだ。


「LIT、やるぞ!」

「オー!!!!」


「さあ、気合い十分のようです。猿渡池さん、いかがでしょうか?」

「やっぱ彩ちゃんですかね」

「そうですか。あ、スタンバイオーケーのようです。ではいってもらいましょう!」


 平静を装う口調とは裏腹に、内心祈るような気持ちでLITを応援する猿渡池であった。


(彩ちゃん、今日も綺麗やなあ……あの服も破れるんかなあ……ネットで晒すのは嫌やなあ……)



「スリー,ツー,ワン,ゴーーー!!」


「さあ始まりました。5人のメンバーは、寝ているゴジ助の側へと走って行きます。ちなみにゴジ助がいるのは草原地帯であります。おっと、突然背中の銃を取り出して、射撃態勢をとりました。ピンクのミサキが中心で、両脇がレオとアヤ、両端がナオキとヒロシです」


「発射!!」


「ヒロシのかけ声で、レーザー光線が射出されました。これは5人とも違う色で、中心で交わり合って摩訶不思議な色になってます。おっと、上手い具合にゴジ助の脳天を直撃です!」


 ギャオオオォオオ!!!!!!


「これはどうしたことか! ゴジ助が一瞬で目覚めました!! 過去のどの攻撃よりも速攻で利いています!猿渡池さん、どう思いますか?」


「やっぱりアヤちゃんはミニスカートがええなあ」


「そうですか、良く分かりませんが利いたようです! これで五十万は固い。お、しかも立上がったあ!!

 ゴジ助、完全に攻撃モードに入っています!! これで一千万円は越えました。最速記録です!一糸乱れぬ統率された動き、完璧です! ここからゴジ助を討ち取って、タマーランドの救世主になるのでしょうか? これからの展開が楽しみです!」



 レオの作戦通りだった。


「まずはLP砲の距離感覚を掴む為に、一番最初に撃ち込むよ。どうせ波長はあいっこないし、逆にゴジ助の脳が混乱して暴れると思うよ」


 その通りに、不快な光線を浴びたゴジ助は目がまっ赤になり、一気に攻撃モードとなった。


 アイツラ、ヤッツケル!!


 立ち上がった百五十メートルのゴジ助は、正に山だ。足元の迫力と恐怖は、未知の体験である。

 だがLITのメンバー達は怯まずに、果敢に挑んでいった。

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