78 さらば
痺れて動けぬケラミュ達が死屍累々と横たわる中、見下ろすゴジ助は不気味な笑いを浮かべている。そして再びゴジ助が息を大きく吸い込むと、今度は口から何かを吐き出した。
それは、無数のワイヤーであった。
先端が釣り針になっており、一本一本が無情にもケラミュ達を突き刺していく。
痛い!
グワー!!
ケラミュ達はワイヤーを外そうと悶えるが、釣り針は一度刺さると簡単には抜けない。
そして今度は、ケラミュ達を釣り上げるかのように、ゴジ助は大きく息を吸い込んだ。
ゴゴゴゴーーーー!!!!
勢い、ケラミュ達が次々とゴジ助の口の中へ吸い込まれていく。
技を繰り出そうにも、先ほどのレーザービームで無力になっていた。
うわーーー!!
助けてーー!!!
ピコピコーー!!
「これまでか。さらばじゃ、浩殿!」
「ゼルネロス!!」
沢山のケラミュ達がゴジ助の口に入っていき、ゴジ助の体内へと消えてしまった。
今や、生き残ったケラミュは僅かしかいない。
「食べてる?」
「そ、そうみたい……」
ムシャムシャ
ゴジ助は美味しそうにプチモン達を消化した。そしてその結末は、更なる悪夢を呼び起こした。
グワッアアアアア!!!
ゴゴゴゴゴーー!!!!
ゴジ助の体がむくむくと膨張し始める。喰ったケラミュ達を取り込んでいる。
目の前であっという間に巨大化していった。
「お、大きくなっちゃったあ!!」
「これヤバい、ヤバ過ぎる!!」
ゴジ助は三十メートルの体長から百五十メートルへと、ウルトラ進化を遂げた。
背びれは二重で爪は鋭く目は真っ赤、顔もひときわ兇暴になり、正に悪魔の化身だ。
遠くにあるタマー川の向こう岸からも、その姿がよく見えるようになる。
騒ぎを聞きつけたのか、報道ヘリコプターの飛ぶ音もし始めた。
先ほどまで同じ高さだったタマーキャッスルロボが、大人と子供の関係へと変わる。
再びミサイルを放ったが、足元に当たるだけで、既に治った皮膚へのダメージすらない。
もう弾薬も切れ、明らかに形勢不利である。さすがに猿渡池も、この事態は予想外だった。
(うわ〜、これ死ぬフラグ?)
ゴジ助に睨まれたタマーキャッスルロボの中で、猿渡池は恐怖に震えた。
しかも先ほどの恨みか、ゴジ助は真っすぐやって来る。何を選択しても結果は一つだろう。
(しゃーない、やるか)
猿渡池は腹を括って、操縦レバーをグッと握りしめた。
「うぉおおおーー!!!!」
ガッガッガ!
捨て身の突進でタマーキャッスルロボはゴジ助に突進していった。玉砕覚悟の突撃だ。
だが、
あーーれーーー!!
ガシャーーンン!!
ゴジ助のつま先で向きを変えられ、少し蹴られただけであっちの丘へと吹っ飛んでいったタマーキャッスルロボは、もろに激突して粉々となった。
LITも敵う相手じゃない。今のタマーランド内で、ゴジ助を倒せる物はなくなった。




