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07 攻撃開始!

(これ、何?)


 こんな塊をもらっても何をしていいのか分からず、美咲はキョトンとする。その様子を見て、直樹は何かに気付いた。


「あ、そうか。プログラム未設定だった。すいません。ちょっと待ってて」


 直樹は再びその粘土を美咲から取り返し、何か操作し始めた。

 するとそれは、あっという間に大きなハンマーに変形した。

 

 他の二人も慣れた手つきで、何か操作をしている。

 すると粘土の塊が、刀や長刀へと瞬時に変わっていった。


「何ですかこれ?」

「当社製品の一つです。プログラム可能な形状記憶合金で、予めプログラムを組み込んで、イメージした物体に変形させるんです。強度もダイヤモンドレベルから水まで再構成可能だから、何でも作れます。まだプロトタイプですけど。もとは金属の塊なんで銃刀法の適用外だし、相手も人間じゃないから、捕まりません」


 出来たばかりのハンマーを手渡されると、ずっしりと重い。確かにこれなら、十分武器になる。さっきまで頼りなく見えたメンバー達が、俄然頼もしく見えてきた。現金なものだ。


「けれど、こんな原始的な武器で効くんですか?」


 美咲は未だ不安だった。男相手なら手加減しないが、今回の相手は人じゃないので、感覚が掴めない。


「フォッティキュの力もあります。ルタンチャー(粘土細工)はかなり硬いから、組み合わせればトラックぐらい一発で壊せます。サポーターで保護されているから、存分に暴れて下さい」

「下着も特別なんですか?」

「いえ、あれは自分がネット注文した既製品です」


 げぇっ! 仕事とはいえちょっと引く。


「それより自衛隊とか来ないんですか?」

「戦争じゃないので無理です。国会の承認が必要ですし。最近こういったロボットの暴走犯罪が増加傾向なんですが、法律が無いから、警察も自衛隊も対応出来なくて、問題になっているのです。だから自分達が、製品モニターも兼ねて活動させてもらっています。被害を最小限に抑えると報奨金が出るので、それが美咲さんのお給料にもなるんですよ」


 そうなんだ。面倒だけど、給料が上がるなら、やる気も上がる。


「じゃあ美咲さんとアヤは後方にいて下さい。まず自分が動きを止めるので、止まりそうになった時に腕か胴体を壊すんです。他の建物に損傷を与えると賠償請求で減額されるから、気をつけて下さい」


 そういって直樹は背丈ほどの棍棒を持ち、先よりも更に増えた野次馬が見守るなかフェンガーから飛び出して、ガンドム目がけ大きく跳躍し、食らいついた。


 おーっ! と群衆から歓声が上がり、スマホで写メを撮り始めている。


 ガンッ!!


 頭部に当てた直樹の一撃で、ガンドムはよろめいた。だが敵もさるもの、傷一つ付いていない。


 ヒット&アウェイで離れた直樹は、腰から銃を取り出し、ガンドム目がけ撃ち放った。その弾はガンドム直前で爆発すると、青い霧が広がり、ガンドム周辺がキラキラと輝く。何か、下準備をしたらしい。


 今度はガンドムのお腹に向けて棍棒を喰らわせようと、再び棍棒を持ち直し、突撃していった。構えは素人だが、闘い慣れしたオーラを醸し出している。美咲はちょっと見直した。


 だが、


「うわっ、ぐげぇ!!」


 直樹は思いっきり振り回されたガンドムの腕に引っかかり、熊のヌイグルミみたいにあっけなく軽く弾き飛ばされると、地面に激突した。


「危ない!」

「大塔屋さん!」

「ナオ!」

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