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64 提案

『猿渡池指令、ケラミュ達からのデータ解析結果がきました』

「おお、そうかそうか」 にんまりする猿渡池だ。


『どうも、あのレーザー銃は彼女しか持っていません。また射程距離も15メートルです』

「ほほお。じゃあ、()()()()が適任か?」

『おそらく』

「ほな、待機させろ」

『御意』


 弱点も分かり形勢逆転と読んだか、不適な笑みを浮かべる猿渡池であった。


「たっちゃん、良かった〜♡ じゃあ私は愛する弟に会ってくるね。作戦よろしく」

「了解です!」


 ジェニファーもすっかり機嫌が直り、意気揚々と3Dホログラム室へと向かって行った。


「よっしゃ、やったるで〜」


 気を取り直し、猿渡池は仕事に励み始めた。


▷ ▶ ▷ ▶ ▷ ▶ ▷ ▶ ▷ ▶


「おばちゃん、大丈夫?」


 レオがヴォランタペ(空飛ぶスケボー)に乗って、草原地帯に到着した。残りの3人も集まる。


「おかげさまで、LP銃の威力は抜群です!」

「良かった良かった。じゃあ彩さん、ロボットネコ(ノイビオロ)はカッタクルスに回収させて。うちらは、まずここを抜けよう。刺激しないように、そっと歩いてね」


 レオを囲み周囲を窺いながら、5人は寝ているケラミュ(プチモン)達の群れから脱出した。



 突然、タマーキャッスル脇にジェニファーの巨大立体映像が現れた。5人からもよく見える。彼女は眼に涙を浮かべ、訴えかけるように喋り始めた。どこかのスピーカーから、声も聞こえた。


「レオ、いつまでお姉ちゃんをいじめるの? 昔はあんなに仲良かったのに、折角遊びにきてくれたと思ったのに…… お姉ちゃんは、ひっく、お姉ちゃんは、えぐ」


 昔を思い出したのか、巨大なジェニファーは、泣きそうになっている。


「いや、昔もそうやって泣きまねして、だまし討ちしたじゃん。その手に乗んないよ」


 レオの声はジェニファーまで届き、彼女はレオ達の姿を認めた。

 彼は、冷静にジト目している。


 女の涙ほど万能技はない。だが過去にやり過ぎたのか、(レオ)にはもう効果が薄れたようだ。演技を見破られ、慌てて素に戻るジェニファーであった。


「と、とにかく何しにきたの! もうLITなんかやめて、大人しく私の軍門に下りなさい!」


「いや、それはお断りするよ。でもさ、ちょっとお願いなんだけど、旧式で良いからコア部分一つゆずってもらえないかな? トミえもんてロボット、覚えてる?」


「トミえもん? ああ、昔作った試作機の一つね。あんたが気に入んなかったから直ぐに売り払ったんだけど。何かしたの?」


「そうだったんだ。益々悪かったな。今ちょっと、うちで厄介になっててね。どう? 可愛い弟の頼みを聞いてもらえますか? じ、ジェニファーちゃん?」


 レオもそれなりに姉をリスペクトしているのか、多少おだてて何とか事を運ばせたいようだ。


「そうね…… 無料でやるのはシャクだから、ゲームしよっか?」


 急にジェニファーは、何か閃いた顔になった。


「この前も来た丘、覚えてる?ピコチュウちゃん達の発電設備。あそこまで制限時間内に辿り着いたら、あんたの勝ちってどう?」


「良いの? ケラミュ(プチモン)は使えないけど」

「それくらい、ちょうど良いハンデよ。じゃあ十五分以内で。あ、そうだ、あんたが負けたらルタンチャー(粘土細工)の仕様書ちょうだい! スライム作りたくって」

「え、ちょっと割にあわないような……」

「嫌なら良いのよ? あのコア部分だって、私の汗と涙と努力の結晶なんだから!」

「分かったよ。じゃあその条件で」

「やっぱりレオちゃんね。聞き分けが良くて助かるわ」

 

 そう言うと、タマーキャッスル上空にデジタル時計が現れた。【15:00】と表示されている。


「いくわよー レディ、ゴー!!」


 ジェニファーのかけ声と共にデジタル時計が動きだす。5人は奥にある丘を目指し、走り出した。

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