31 合体は怖い
「が、合体しました!」
「なにぃ!」
直樹も驚いている。
ペッピーが合体したその姿は、まるで大きな翼竜のようであった。
どういう原理で合体したのか不明だが、まあロボット合体なんてそんなもんだ。
とにかく眼前のペッピー達は美咲より遥かに巨大で、こちらを攻撃する気満々である。
(やらなきゃやられる!)
不安を覚えた美咲はスピードを上げ、追いつきがてら翼の部分に一撃をくらわせる。すると相手は少しバランスを崩し、河川敷へと落ちて行った。美咲も後に続く。
河川敷に降り立つと、既に敵は体勢を立て直したようだ。
こちらに向かって、攻撃的な姿勢を示す。
『美咲、反電子銃を使って!』
ジョニーのアドバイスに従い、腰に携帯している銃を引き抜き、ペッピーに向けて撃った。すると命中した箇所は僅かに動きがにぶくなる。効果あるようだ。
だがペッピー達の眼が光ったかと思うと、一斉にレーザーが発射された。倍返しの逆襲だ。しかも美咲に焦点を合わせている。間一髪で避けられたが、かすった肩が痛む。
巨大ペッピーは再び飛翔し、美咲目がけ何度もレーザーを撃ち放ち始めた。
「美咲さん、ルタンチャーのプログラムをCE0-341に!」
直樹の指示通りにすると、ルタンチャーは一枚の楯になった。これで避けろと言うことか。ペッピーは絶え間なくレーザーを放つので、美咲は楯で避けつつ逃げるのが精一杯だった。
「きゃっ!」
ちょっとした油断で、レーザーは美咲の腰を掠めた。スーツが裂けて、下着が露になる。今日は青地で透け気味のだから、これ以上破れると支障が出そうだ。美咲の馬鹿力も出力が弱まり、スピートも鈍ってしまった。このままではヤバい。
そのとき背後からペッピー目がけミサイルが飛んできた。直撃をくらい、派手な爆音が響く。さすがの衝撃に巨大ペッピーの一部は、瞬時にバラバラとなった。
ミサイルの発射元に振り返ると、直樹が駆けつけていた。
ランチャーを抱えて、フル装備だ。
これこそ銃刀法違反では? と美咲は思ったが、ルタンチャーは銃刀法適用外なのかも知れない。まあ、気にしない事にする。
「遅れてごめん!」
「直樹さん! ありがとうございます!」
リズム良く飛び回りレーザーを交わしながらヒット&アウェイで確実に巨大ペッピーにダメージを与える直樹は、お台場のときよりも動きが格段に良く、二割増かっこよく見えて、頼りがいがあった。
しかし相手も、中々に強い。
互いに攻撃を繰り出し、しばらく一進一退の攻防が続いた。




