表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/93

18 謎の組織

「で、今日の用件は?」

「失礼致しました。先日のお台場での件ですが」

「ああ、あの後何か分かったの?」

「はい。まず一ヶ月前、点検補修でガンドム像が撤去され、事件の前日に戻って来たそうです」

「出入りの業者は?」

「当然確認済みです。持って行った業者の倉庫には、点検中のガンドムが未だ置かれていました」

「つまり?」

「あれを持ってきた業者はペーパーカンパニー、全くの不明です」

「トラックから足はつかないの? 持って来た奴の人相は?」

「現在、部下達が鋭意捜査中です。申し訳ありませんが、しばらくお時間をいただければ。ただ……」

「ただ?」

「不穏な動きのある団体は、幾つか押さえてあります」

「そっか」

 

 レオは席を立つと窓辺の方に向かい、外を見た。何か考え事をしているようだ。

 美咲もつられて外を見る。山に囲まれ緑豊かで、湖では鳥が軽やかに遊んでいる。

 

「また来るかな?」


 やっとレオの口が開いた。


「恐らく。あの見事なまでの分解は、用意周到な自爆装置です。全く足取りがつかめません。残念ながら、限りなく可能性は高いです。恐らくまた依頼する事もあるかと」

「こっちは稼げたら何でも良いよ」

「ご理解ありがとうございます。それではまた」


 龍乃宮は立ち上がり出口へ向かう。先ほどの秘書が扉を開け、そのまま立ち去って行った。


「どう?」


 龍乃宮が退席したあと、レオは美咲に聞いた。


「どうって、イケメンですね。サコにはちょっと劣るけど」

「そこじゃないよ」


 レオに諭されて、美咲は恥ずかしくなった。このガキ、いつかぶっ殺す。


「あのロボットはどっから来たと思う?」

「え〜 そんなの聞かれても」


 考えるのは、美咲の仕事では無い。


「まあ、そうだよね」


 レオは複雑な笑いで美咲を見た。


「今日はこの辺でお終いかな。また今度。ちょっと僕はしばらく忙しくなるけどね」

「あ、ありがとうございました。失礼します」


 釈然としない美咲であったが、言われた通り大人しく帰ることにした。



「ミサキお帰り〜」


 リムジンで帰宅し家事をした後に保育園へ迎えに行くと、大翔は青山先生と遊んでいた。

 青山先生はいつも笑顔で優しい顔だが、見た目よりがっしりして体力がある。


 普段から年長組の子供達を高い高いしたり、ぐるぐる回したりと大技が得意だ。

 今日も大翔はジャイアントスイングをしてもらって笑っている。


「お疲れ様です〜」


 美咲は青山先生に挨拶して大翔を引き取り、家に帰った。


 今日は公園で泥遊びをしたらしい。

 ドロドロに汚れた服の入った袋を持たされた。家に帰ると早速ベランダにある洗濯機を動かす。

 まだ給料日前だから、お金が殆ど無い。夕飯は小村さんが作ってくれた煮物の残りにする。

 

「こんどね、ぼくけっこんするんだ!」


 お風呂に入っているとき、大翔は無邪気に言った。


「え、誰と?」


 仲の良いユミちゃんかな? 体を洗いながら美咲は聞いた。


「マユちゃんとユウナちゃんとユミちゃん!」


 げっ!! 重婚か。

 

「そ、そうなんだ。良かったね。ハハ」


 子供の戯れだ、直ぐに変わるだろう。そういや自分はデカかったから、何時も男共を従えていたな。

 今のうちが華だぞと、心の中で思う美咲であった。


▷ ▶ ▷ ▶ ▷ ▶ ▷ ▶ ▷ ▶


 某日、都内某所にて。


『本日の売上げ五百万円、合計六千二百万円です』

「よっしゃぁあーー!! ペッピーさまさまやな! あとどんくらい必要なん?」

『あと三億は……』

「まだそんなあるんかい!! ま、ペッピーさんに稼いでもらいまひょか」


 グフフフフフと下衆な笑みを浮かべる、男であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ