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第1話 罵り合い

 これは、幾多ある異世界の中のひとつの物語……。

 異世界にはよくある、人間と魔族の戦いは何時終わるのとも知れない、そんな世界……。



 物語は、あるひとりの少女の怒声から始まる……。



「もういや!! いい加減してよ!!」

 両手で杖を握りしめながら、怒声を上げる小柄な少女の名は、フレーク、姓はココア。

 年齢は16歳だが、童顔で、腰の辺りまで伸びる紫色の髪は、盆の窪辺りで団子状に纏めている。頭にかぶっている三角帽子はボロボロ、体は傷だらけで、まとったローブは原形を留めていない。


「うるせえな!! 静かにしろよ!! 傷に響くだろ!!」

 フレークに言い返す、同い年の少年の名はガイン、姓はドマドール。手に持っていた巨大な斧は使い物にならず、地面に放り投げていた。

 茶色の髪は目を隠し、顔は大人びて見える。プレートメイルは壊れ、そこから剥き出しになっている身体は、16歳とは思えない。

 折れた左腕を右手で押さえ「くそっ…! 痛ぇ!! 痛ぇ!!」と唸る。


「うるさいのはガイン、あンたでしょ!? さっきから痛い痛いって、ムカつく!!」

 ガインに短刀を投げつけ、食って掛かる少女。名前はシルク、姓はカルザス。体格は、フレークと同じ位で16歳だ。

 髪は白いショートヘアで、年相応の顔つきをしている。身軽な服装をしていた為か、右腹部に深い傷を負っている。うずくまりながら、両手で傷口を押さえているが、流れ出る血は未だ止まらない。


 シルクが投げつけた短刀は、ガインの左頬をかすめ、壁に跳ね返った後、カラカラと音を立てて地面に落ちる。

 ベトベトに血のついた短刀が、シルクの重傷度を物語っている。


「てめえ!! 何しやがんだ!!」ガインは、激昂する。

「バカじゃないの!? 当たらないように投げたに決まってンじゃない!!」ガインに更に食って掛かるシルク。

「いい加減にしてってば!! どうしてそうなるの!?」泣きじゃくるフレーク。


「どうして、こうなったんだ……」

 折れた大剣を前に置き、怪我をした左目を押さえながらうずくまる少年。名前はランディス、姓はバーンシュタイン。やはり、16歳だ。ロングの金の髪はボサボサで、顔立ちは、どこか子どもっぽい。細身にまとうプレートメイルは、多少傷ついている程度だが、とうに失明した左目が、ランディスの恐怖心を煽る。


「ふざけんな!! ランディス!! てめえ、なに被害者ぶってんだ!!」ガインががなりたてる。

「何だよ、別に被害者ぶってなんか無いだろ!?」ランディスが言い返す。

「ほンと、うるさい!! 男ふたりで!! あンたら、バカじゃないの!?」シルクがきかなくなる。

「やめて! やめてよ!! やめてってば!!!」フレークは泣き叫ぶ。



 この四人組のパーティーは、何故こんな事になったのか?

 それを知るには、三年前に遡らなければならない……。

お読みいただき、ありがとうございます。


殺伐としたお話は苦手なのですが、お楽しみいただけたなら幸いです。


この小説は不定期更新です。

末永く、見守って下さい。

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