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華の乱  作者: 黒梟
9/14

 

 暗雲後雷鳴時々雨





 会場は、ホテルの会場を貸切って行われていた。

 費用は出席者から集めているそうだが、出席していない者からも無理矢理徴収しているらしい。松葉もまた然り。

 それが余計葉様と紫炎の癇に障ったのだ。

 だから頑としてし支払わなかったのが、別の人間経由で請求されるものだから(言わいる立て替えされていたのだ)、彼等の依頼等絶対に受けなかった。

 その意味を彼等は理解していなかったのだろう。楽観的な考え方にある意味拍手を送りたくなった。

 そして今回、当主代理の私が行く事で、御しやすくなったと思われている事についても、だ。


 どれだけ愚かなのだろう。何でも自分の思い通りに行くことなんて、人生のうちで一回あれば良い方ではないだろうか?

 相手は同じ人間であっても、中身は別の個人なのだ。尊重する事も出来ずに、相手を言いなりにさせようと思ってる時点で間違っている。

 自身の子に対しても同じことが言えるのではないだろうか?生まれ落ちた時から自分を持っているのだから、操り人形では無いのだ。

 それがなぜ分からないのか?

 跡を継がせなければいけないから?優秀な血が欲しいから?文化を無くしてはいけないから?

 全部自己の欲を押し付けているだけではないのか?そんな疑問しかない。

 確かに失くすのは簡単だが、新たに創るのは難しいのかもしれない。

 結局のところ松葉も、家をなくしても良いと言われているが、仕事は無くならない。それなら管理しやすくしておいた方が良いだろうとの事だけ。


(真面目にひっそりと暮らしたいな・・・、無理かな~)




 何故か私を筆頭に受付に来ると、怪訝な顔をされた。

「招待状はお持ちですか?」と。


「装いその物が招待状だと松葉紫炎から聞いていたのですが、どうやら偽りを吹き込まれていたようですね。

 仕方ありませんね(何が?)。今回をもって、この会の参加を拒否し他の者が立て替えている参加費も支払いません。

 これは松葉の決定であって、私個人の決定では無い。

 その点お間違えなく。では、これで失礼させていただきます」


 一礼して踵を返す。続いていた者達も、「では我々も今回限りで」と、受付を後にした。

 流石に焦った受付の男の一人が、主催者を呼びに行き、もう一人が帰ろうとする者達を足止めするが、私には何も言わなかったので、完全スルーで去って行った。

 ホテルの玄関まで来て初めて、会場に向かうだろう人物に声を掛けられ戻る羽目になった。

 どうやらその人も、今回限りで参加を辞めたかったらしい。いい迷惑に捕まってしまった。



 もう一度、受付で確認される。


「本当に松葉の方ですか?」


 松葉の家紋も知らないのか?という思いより、何度も確認させられてイラッ、っときてそれがあからさまに顔に出てしまった。

 瞬間お爺に羽交い締めにされ、茶道の兄弟には腕を動かせないようにされてしまった。


 知らない者は、何をしているんだという風に見てくるし、知っている者は、「落ち着け!早まるな!」「まだ先は長いんだから!」「辛抱出来るようになったのではないのか?」等など、一気に距離を取って声を掛けてくる。


(・・・こいつらの方が喧嘩売ってるんじゃ無かろうか)


 まあ、気持ちは分からなくもないが、下っ端風情に文句言っても、ねぇ?

 そんな想いで顔を見渡せば、サッと拘束を解かれた。


 そしてお爺が説明と言うか、証言してくれた。

「紛うことなき松葉である」と。


 それでも食い下がろうとする受付をほおって置いて、会場内に足を踏み入れた。

 勿論、大名行列に成っている後ろの者達もそれに続いた。


(金魚のふん以上に酷いな)


 どうにかならんか、と言う表情は消しておいて、主催者だろう人物を探す。

 っと、一角で食事をしている人達に目がいった。かなり年齢を重ねた人達で、物静かに食べている。

 ふと顔を上げた一人の人物と瞳が合った。

 引き寄せられるようにそちらに向かい、膝まづき、最上の礼をもって挨拶をする。


「お久しぶりでございます。松葉葉がお気に入り、あやめで御座います。

 この様な場所ですが、またお会いすることが出来て嬉しく思います」


 高齢だから、聞こえているかは分からないが、かなり大きめの声を出した。


 相手が何か話す前に、主催者らしき恰幅のいいおじさんが慌てて止めるようにこちらに来た。


「貴様、誰に口を聞いているのか分かっているのか?貴様などが話していい方々では無いぞ!」


 それを無視するような豪快な笑い声が聞こえ私は顔を上げた。それはもう満面の笑みで。


「お前は下がれ」


「はっ?いや、しかし・・・」


 狼狽える主催者をひと睨みして、私の方に顔を向けるのが気配で分かった。


「久しいのう。彼奴の葬儀以来か?随分と大きくなったな」


「はい、皆様方もお変わりないようで喜ばしく思います」


「まあ、そなたもこんな所に来たくなかったろうし、要件が済んだら、またこちらに戻ってこい。そなたに頼みたいことがある」


「・・・・・帰っていいですか?」


「ほっほっほっほっほっほ」


 笑って却下されてしまった。・・・・おかしい、仕事を請けに来た訳ではないのだが。

 何を言っても無駄だと悟り、さっきのおじさんを探した。というより、隣に居た。物凄く睨みつけられた。


 古参の方々に無視されたからって、睨むなおじさん。人間関係君が知らないことの方が多いんだよ?


 そんな思いで見返す。そして風の如く優雅に立ち上がり、一応の礼は取る。


 思わずといった感じで息を飲み、目を見開く姿が目の前にあった。声を出さなかっただけ出来た人間であろう。はたまた、その逆か。

 やっとの思いで、自分の、いや松葉の言葉を口に出来るのだ。

 そう思っただけで、目が据わり口角が上がるのが分かった。



 これ以上くだらない事に、紫炎と華を巻き込んでくれるな!





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