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華の乱  作者: 黒梟
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序章

 本日は晴天なり




 学校の花壇で草花の手入れを丹精に行い、綺麗な花が咲くようにと願いを込めて花に触れる。

 風や水は冷たいが、花の香りに自然と笑みが溢れる。


 高等学校2年 根垣あやめ 園芸部に所属している部員のうちの一人。

 中々に、花が好きでないと入ってくれる人の少ない部ではある。

 それでも、手入れをした草花が見事に育ち咲き誇ってくれればこれ以上ない喜びを得られる。小さいけれど温室もあるから、数種類の花を咲かせることができるのは嬉しい事。

 その花たちを更に綺麗に咲かせてくれるのが、本校の華道部の方達。女たらしの華道家のイケメン子息を筆頭に校内を生け花で彩ってくれている。

 棘のある言い方でも、花に罪はないしね。それにイケメンにはろくな人間がいない。そう私の周りには特に・・・・ね、ふっ。

 思わず乾いた笑いに顔が引きつった。

 それを見ていた友人に引かれてしまったのは仕方のないことだと思う。

 久しぶりに思い浮かべた男は30半ばには思えないくらいの容姿と均等の取れた躰つきをしているからだ。最近は特にご機嫌で顔が緩みまくってるから周りが必死で、

 “うちの娘を嫁に!”

 との売り込みがひっきりなしに来てると聞いたなぁ。既婚者に何言ってんだか、というか一目惚れですぐ様自分のとこに囲って、一途に思い続けてる人間の耳には届かんでしょ。

 なーんて思いながら作業をして、ふと顔を上げるとそこには昔お世話になった、ひい様が居た。

「え・・・?」

 有り得ない人の登場に驚きと戸惑いを隠せない。

 落ち着いた色合いの鮫小判の着物に身を包んだひい様が、申し訳なさそうな顔で私を見下ろしている。

 ひい様こと松葉(ひらぎ)。50代前半、色白で少しきつめの顔をしているが、温和で優しい性格の持ち主。今は当主補佐をしているので、きつめの印象を与えがちだと言われている。

 私が生まれ落ちてから中学入学までお世話になった方だ。

 そんな彼女がここにいる理由が分からない。

「・・・どうか・・なさったんですか?」

 戸惑いつつも思わず敬語で口を開くと、一言。

「約束を違えて御免なさい」

 その言葉が何を意味しているのか分からないほど愚かではなかった。

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