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小太郎 わしをスキーに連れてって 32

「先生 おはよ!」

「拓海くん 今日は早いねぇ 作文書いて来た?」

「書いたよ!」

「そっか!誰の事書いたかは授業で聞くからね」


キンコンカンコ〜ン


「さぁ 今日はみんなのお父さんお母さんが後ろで見てるからって緊張しないでね」

「そう言いながら 先生が一番緊張してんじゃないのか?出席簿忘れてるぞ!」

「あらやだ…ちょっと待っててね」


「あらあら あんなんで大丈夫なのかしら」

「あの人先生のたまごみたいですよ」

「あれじゃ 先生には向いてないですわね」


バンッ!

「うっせぇ!先生の悪口言うな!」

「まぁ…どこの子かしら 親の顔が見たいわ」

「あの子の父親は病院の院長先生で母親は弁護士さんですよ」

「そんな家庭の子が野蛮ですこと…」


ガラガラ

先生が戻って来る

「ごめんなさいね…拓海くん どうしたの?席に座りなさい」

「は〜い…」


「はい では今日読んだ作文はみなさんが書いたそれぞれの人にあげてください」

「先生 集めないのか?」

「先生が集めてもみんなの想いがその人に届かないでしょ?」

「そうだけど…」

「ちゃんと想いを告げて渡すように わかりましたか?」

「は〜い!」


放課後


「先生!また明日な!」

「拓海くんさよなら 気をつけて帰るんですよ」

「おぅ!」

「拓海くん なんかいい事でもあった?」

「なんで?」

「なんか楽しそうだから」

「今日 父ちゃんと母ちゃん 久しぶりに早く帰って来るんだ!」

「そっか!それは良かったね」

「うん!姉ちゃんも今日は部活早めに切り上げて帰って来るみたいだから」

「それは楽しみだね」

「うん!んじゃな先生」

校門へ向かう拓海

それを見送り職員室に戻ろうと振り返った時

キキィーーーー!ドンッ

信号無視の車に拓海が轢かれた…



タタタタタ…

「拓海くんのお姉さん?」

「はい…」

「ごめんなさいね お母さんに連絡したんですけど 席を外してるみたいで…」

「そんな事…たっちゃん…拓海は!拓海は大丈夫なんですか!」

「今 お父さんが診てます」

「そうですか…いろいろありがとうございました」

「私がもっと注意していればこんなことには…ごめんなさい」

「先生 ですよね…謝らないでください 学校からの帰りまで先生に非はありませんよ」

「でも…」

「失礼ですが 教育実習の先生でしょ 拓海から毎日聞かされてます ずっと あの人 が先生だったらなぁって 珍しいんですよ 拓海が学校の話するの」

「そうなんですか?」

「そうですよ ご存知の通りウチは両親共に忙しくて なんとか私が親代わりとしてやってるんですが」

「それは大変ですね」

「もう慣れちゃった 拓海にだけは寂しい思いさせたくないし いろいろ学校の話聞いても『大丈夫だ!』ってしか言わなかった拓海が 先生の話は自分からするんです」

その時 手術中の灯りが消えた


「お父さん!拓海は?」

「ダメだ…」

「そんな……」

「今夜が山だ…それを越えたとしても このまま意識が戻るかどうか…」

「拓海!」

「お母さん…」

「どうなの?拓海はどうなの!」

「ここは病院だ あまり大きい声を出すんじゃない」

「ごめんなさい…拓海は?」

「今夜が山だって…」

「そんな…」

「あの…すいませんでした 私がもっと注意していれば」

「あなたは?」

「拓海の先生だよ」

「先生ですか…頭を上げてください いつもお世話になっております」

「この先生になってから 毎日 拓海は学校の話してたんだよ」

「あの拓海が?そうですか…」


その日 先生(小太郎の母ちゃん)も残った

「先生 もう遅いから帰って休んでください」

「いいえ 大丈夫です」

「でも…明日も学校ですし…」

「朝まで…まだ正式な教師ではないけど…拓海くんは今 私の生徒です」

「先生…拓海が先生の話する理由がわかるような気がします」

「お姉さんだって」

「拓海が私の話を?」

「ううん お姉さんの話は聞いた事ないけど…これ」

「作文?」

「今日の授業参観で拓海くんが書いた作品です 本当は自分から渡すようにって言ったんですけど…」

お姉さんが拓海が書いた作文を読む


『俺の大好きな人


俺は父ちゃんも母ちゃんも好きだ

仕事で忙しくて俺が寝てから帰って来たりでなかなか会えないけど

それでも 父ちゃんと母ちゃんが好きだ

でも もっと好きなのは姉ちゃんだ

父ちゃんと母ちゃんが忙しいからって

俺の御飯作ってくれたり朝早く起きて弁当を作ってくれたりするからです

姉ちゃん毎日ありがとう』


「たっちゃん…」

「これが素直な気持ちだと思いますよ」









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