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小ちゃいおっちゃん物語 其の三

鎌倉時代から時が進み

世は戦国時代


「聞いたか?小田原城に全国の大名が集まるみたいだぞ!」

「とうとう 猿が動き出したか…」

「小田原の殿様も今度ばかりはなす術なしか…」



ゴロゴロ…ピカッ!

ザァーーー

「いや〜 降って来た…まだか?」


「お湯を用意して!そろそろ産まれるよ!」

ここは某忍者の里


「お!そろそろ産まれおるか!」


ピカッ!ドン!

「キャー!」

「オギャーオギャー」


「頭領!元気な 跡取り です!」

「おぉ!そうか!でかしたぞ!」


ヒョコッ!

「おぉ こりゃめんこいのぉ!ベロベロ…バァ〜〜!」

「フギャ〜〜〜!」

「おぉ…よしよし!」


1年が過ぎ…

「昔 わしが初めて世話になった家の子供も小太郎殿と申してのぉ ほんにいい子じゃった!立派な武将になりおったんじゃ!お主も同じ名じゃ 立派に育つのじゃぞ!」

「バァ〜!」

「おぉ〜そうじゃ!その意気じゃ!」

おっちゃんは この頃になると赤子と話せる能力も使えるようになっていた


バーーーン!

「小田原城!落城!」

「して!殿は?」

「殿は…北条氏直様と…見事な最期を!」

「そんな…」

「落胆しておる時ではないぞ!猿の事だ この城も攻め落としに来るはず!迎え撃つ用意を!」


しかし 数年待てど秀吉は攻めては来なかった


「殿はどこにおる!殿〜!」


「おっちゃん 行ったか?」

「行きおったぞ!小太郎殿!」

「全く…豊臣が全国を制覇して平和になったのに 殿も何もあるか!」

「小太郎殿は悔しくはござらんのか?」

「何で?」

「何で?って…小太郎殿の父上は秀吉に討たれたんじゃぞ!」

「それが時代だぞ!父ちゃんは死して時代に名を残した…それだけだ…」

拳を握る小太郎をおっちゃんは見逃さなかった


「おっちゃん行くぞ!」

「小太郎殿 一つ聞いてもよろしいか?」

「ん?」

「小太郎殿は何故未だに忍術の修行をするのじゃ?」

「忍者だからだろ」

「本当か?」

「あぁ!本当だ!行くぞ!薄!」

「薄って言うな〜!全く…教えるのではなかった…」


「小太郎殿…」

「どうした?」

「なんか頭が…」

「寒いのか?おっちゃん禿げてるからなぁ…」

「そうそう…わしは頭が薄いから…って!違〜う!わしは禿げておらん!まだ生え揃ってないだけじゃ!痛てて…」

「生え揃ってないって…おっちゃんもう300歳越えてるだろ…」

「まだ 300歳じゃ!」

「どんな風に痛むんだ?」

「ズキズキというか…ガンガンというか…」

「その他には?」

「ん〜 食欲がない…飯粒を半分残してしもうた…」

「その他は?」

「そんなもんじゃ…今日はもう床につくとする…」

「そうしろ!おっちゃん おやすみ…って うっさ!もう寝てる…」


翌朝

「誰かある!殿が病に伏せておる!医者を…」


「殿 どこがどのように…」

「ん〜と!頭がガンガンって言うかズキズキって言うか…」

「後は何か?」

「後は…食欲!」

「夕べは何を食された?」

「ん〜と…あっ!飯粒を半分!」

「飯粒を半分…」

「そう!飯粒を半分だ!」


「薬を調合して起きましたんで食後半刻の内に飲むように!」

「おぅ!医者の先生ありがとう!」


「おっちゃん ほら薬だ!飲め!」

「小太郎殿…わしの為に…」

「おっちゃんは俺の父ちゃん代わりだからな!」

「小太郎殿…うぉ〜い おい おい…」

「おっちゃん…うっさいぞ…」

「ヒック…すまん…ヒック…」

「ほら 飯食ったんなら薬飲め!」

「かたじけない…」

おっちゃんは粉薬を ふた粒飲んだ

「おっちゃん 医者の先生が言ってたけど 薬無くなるまで飲むんだぞ!」

「何百年掛かるかわからんぞ…」


それから また数年後


「雷遁の術!」

ゴロゴロ!ピカッ!ドン!バリバリ…

大木が真っ二つに


「さすが小太郎殿!」

小太郎は雷が落ちた夜に産まれ

雷の申し子と呼ばれていた


「よし!これなら…」

「ん?小太郎殿 これならとはどう言う意味じゃ!父上の仇を成すという事か!それはダメじゃぞ!」

「おっちゃん…」

「お主は世が平和ならいいと言ったであろう!父上も その他の武将も皆 平和を守ろうと! 世を平和にしようと戦さをしておるのじゃ!…それで今が平和になりつつあるんじゃ!小太郎殿はその平和を壊そうとしておるんじゃぞ…わかるか?」

「……」

「小太郎殿はいい子じゃ その証拠にこうしてわしの事が見え わしと話す事が出来ておる」

「おっちゃん…」

「小太郎殿が 『おっちゃんが俺の父ちゃん代わりだからな!』と申した時 わしは嬉しかったぞ」

「おっちゃん わかった…」

「それでいい…わしも 息子を危険な目に遭わせとうない」


こうして人間と妖精の義親子が出来たのだ








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