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小ちゃいおっちゃん物語 其の十五

ウゥ〜〜〜〜〜〜!

「またじゃ!」


時は昭和20年

第二次世界大戦終戦間近


「逃げろ〜!」

ヒュ〜〜…ドッカ〜ン!

バババババ…


「愚かじゃ…何故同じ人間同士で殺し合うのじゃ…」

「父上…」

「小丸 わしらは大丈夫じゃ…」


戦争により家を焼かれ おっちゃん達妖精は住む家を失くしていた


「静殿や小丸と こうして一緒に居られる事は嬉しいが…この状況 なんとかせねば…」


世界を巻き込んだ 地球史上最悪最大の戦争は 実に6年もの間続けられた


「薄様!」

「お主らも家なき子になってしまったのか…」


「父上…晶さんや小太郎さん 最近現れないですね」

「多分 新しい生を受けたのじゃろう…」

「こんな世にですか…」

「そうじゃな…今の世に産まれ落ちる試練…あまりにも酷じゃな…」


ヒュ〜〜〜〜…ドッカ〜ン!


おっちゃんは800歳になろうとしていた


「さすがに腹が減ったのぉ…」

妖精は1年くらいは 飲まず食わずでも居られるが かれこれ3年の月日が流れていた


「よし!背に腹はかえられぬ 明日 わしと小丸…後数名で食糧の調達に参るぞ!」



「ここにも 何もないか…」

おっちゃん達は仲間の為 手分けして食料を探した


「若!畑を発見しました!」

「ならぬ!人のものに手を出してはならぬぞ!」

「しかし…」

「ダメじゃ!人が居ればわしらは栄える 人を生かせば わしらが住むところも出来るのじゃ!先ずは 人 なのじゃ!」

「わかりました…」

「すまぬ…もう少しの辛抱じゃ…このような愚かな戦さ いつまでも続く訳がない…」

おっちゃん達はなんの収穫もなく みんなが待つところへ帰った…


「皆の者すまん…明日は山へ行って木の実でも探して来よう…」


「ねぇねぇ 何してんの?」

おっちゃんが振り返る

「…お主ら わしらの事が見えるのか?」

そこには 小さい男の子と女の子

ちょこんと腰をおろして頬杖をついておっちゃん達をジッと見ている

(あきら)ちゃん何か居るの?」

「スゴイ小さい人がたくさん居る!」

「ん?そっちの男の子にはわしらが見えんのか?」

「太郎ちゃんはね 戦争で目が見えなくなったの…」

「なんと…」

「でも声は聞こえるぞ!」

「お主ら こんな夜中に何をしておる…父上や母上が心配しておるのではないか?」

「お父さんもお母さんも…」

おっちゃんはハッと思い 聞いた事を悔いた

今は戦争の真っ最中…

このような子供が沢山居たのだ


「それ以上申すでない…お主らは友達か?」

「違うよ!私達は双子の姉弟だよ」

「おぉ そうか 仲が良いのじゃな」

「うん…太郎ちゃんは私をかばって目が見えなくなったから…私が今度は太郎ちゃんを守るの」

「そうか お主らは偉いのぉ…」


太郎と晶は毎日 おっちゃん達のところへ通うようになった

「こんにちわ」

「おぉ 太郎殿 晶殿」

「今日は いいもの持って来たぞ!」

「はい これ!」

「おぉ!握り飯!どうしたのじゃ?」

「私達が居る 孤児院で昨日 久しぶりに白い御飯が出たんだよ!」

「それは良かったのぉ」

「おじちゃん達にあげるのに 太郎ちゃんと私の分 半分残して握って来たの!」

「お主ら…それはお主らが食べるのじゃ…」

「いいから食べてよ!とっても美味しいよ」

「そうだぞ!美味いから食べろ!」

2人の笑顔

「…すまぬ 皆の者!有り難くいただくのじゃぞ!」


おっちゃんを始め妖精達は噛み締めて飯粒を食べた


「美味かっただろ!」

「今までで一番美味かったぞ!」

「でしょ〜!」

おっちゃん達はこの日食べた飯粒の味を忘れないだろう


「父上…もしかして…」

「私もそう思いますよ」

「うむ…間違いないじゃろう!あの2人は小太郎殿と晶殿の生まれ代りじゃな」


戦争時代に産まれ落ちた双子の太郎と晶におっちゃん達は小太郎と晶殿の面影を感じた


「おじちゃん!」

「おぉ!晶殿 待っておったぞ!」

「どうしたんだ?おっちゃんなんか楽しそうだな?」

「太郎殿 お主の目が治るかもしれんぞ!」

「ん?」

「実は 昨日もまた家を亡くした者が来たのじゃが…紅!紅は居るか!」

「はっ!若!」

「この者は 治癒能力に長けてる者でな もしかすると太郎殿の目を治す事が出来るやもしれんぞ!」

「本当に!やったね太郎ちゃん!」

「俺…このままでいい…」

「何故じゃ?」

「うん どうして?」

「俺…嫌だ…人が死んでいくのを見たくない…」

「太郎ちゃん…」

「太郎殿…よほど心に深い傷を負ったんじゃな…」


「ちょっと2人で話をさせてください」

「静殿…頼んじゃぞ」


太郎の心に刻まれた傷とは…


















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