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小ちゃいおっちゃん物語 其の十四

「小次郎…」

「おじちゃんの声じゃない…」

「小次郎様 その声がお母様 晶様のお声ですよ」

「静お姉ちゃん…これが母上の声…」

「小次郎 大きくなりましたね」

「母上…母上なのですね!」

「そうですよ」

「僕が思ってた通りの声!とっても優しい声だ!」

「小次郎 立派になりましたね」

「ひぃじっちゃんが亡くなってから おじちゃんと静お姉ちゃん 小丸兄ちゃんが僕にいろいろ教えてくれたんだよ!」

「そうですか!静さん 小丸ちゃんありがとうございます!小次郎をこのように立派に育てていただき…」

「うぉ〜ぃ!わしは!」

『黙れ!』

「うわぁ!晶殿ズルいのぉ!」

『禿げや 静殿の前で 水芸をやりたいのか?』

「すまぬ…」

晶殿はおっちゃんと話す時だけは おっちゃんの中で話しかける

「おじちゃん?どうしたの?」

「なんでもない 小次郎」

「あっ 母上になった」


小次郎は20年分晶殿と話をした


「小次郎…このような容姿ですまぬな…」

「いいえ 母上の声を聞けば 母上の顔がどのような顔だったかわかる気がします」

「ほんに 立派に育ったのぉ」

晶殿が涙を流す

「鬼の目にも涙じゃ…」

『禿げや…何か申したか?水遁…』

「うわぁ〜!嘘じゃ!嘘です はい…」

『晶も素直じゃないなぁ…本当はおっちゃんが心配で来たくせに』

『お爺様…』

「どう言う事じゃ?」

『おっちゃんがアリに攫われたのを見て 居ても立っても居られなくて…俺 気持ち良く寝てたのに…無理矢理連れてこられたんだぞ!』

「そうなのか?晶殿?」

『わらわはただ…小次郎が心配で…禿げが居なくなったら…』

「晶殿…かたじけない」

『わらわは知らぬ』

照れを隠す晶殿


「小次郎!」

「あっ!今度はひぃじっちゃんの声でしょ!なんとなくわかるよ!」

「そうだぞ!小次郎 ちゃんと修行してるか?」

「やってるよ!」

「そうか!小次郎は何の術を修行してんだ?」

「僕は 火遁だよ!」

「おぉ!火遁か!おっちゃんの頭から火が出るの楽しみにしてるぞ!」

「お主ら…わしの頭を最終試練に使うでなぁ〜〜い!」


『禿げや わらわとも代われ』


「静さん」

「晶さん」

「そろそろではないのか?」

「そうですね…」

『何がだ?』

「お爺様 静さん達妖精は夫婦になり100年経つとそれぞれの家主を選ばねばならないのです」

『そうなのか?』

「ぬぉぉ!忘れておった!」

「おまえさん 来春で100年目…小丸の家主も探さねばなりませんよ」

「あっと言う間じゃった…」

『おっちゃんはここに居るんだろ?』

「わしは このままじゃが…静殿と小丸は出て行かねばならぬのじゃ…」

「おじちゃん達 そんな規則があったんだ…」


おっちゃんは急に黙りこんだ


「おまえさん…」

「静殿…わしは幸せじゃった」

「私もですよ」


『……』


「母上!父上!僕は2人と暮らした日々 忘れません…」

「小丸…」


「小丸ちゃんは母上 父上が好きか?」

「うん!大好きです!」

「そうか!…小次郎!今すぐ 離れを2棟作るのじゃ!」

「母上…あっ!そう言う事か!わかりました!」

『どう言う事だ?』

『お爺様 新しく家を建てて 静さんと小丸ちゃんをそこの妖精とするのですよ』

『なるほど!おっちゃん良かったな!』

「晶殿…重ね重ねかたじけない…」

『禿げの為ではない!小丸ちゃんをお主と静さんから離したくないだけじゃ!』

「すまぬ晶殿…」

『その代わり…小次郎の事も頼みますよ』

「もちろんじゃ!小次郎殿は わしらの子も同然じゃ!」

『薄殿 小次郎を真っ直ぐに育ててくれた事 礼を申す』

「小次郎殿は晶殿のお子じゃ 自分で真っ直ぐ育ったのじゃよ!」


小次郎は 離れ を急がせて作らせた


「何故 あの様な小さい部屋を作らせられたんだ?」

「わからん…デカイ屋敷の片隅にあの様な部屋…それも両方に…」

「お主らは部屋を作っただけだからいいだろ…俺はそこに置く 箪笥などの家具を作らせられて 何度指が攣った事か…」


春が来る前に 離れ2棟が完成した


「おぉ!小次郎殿なんとお礼を申せば…」

「こっちが小丸兄ちゃんで あっちの 離れが静お姉ちゃんだよ!」

「小次郎様 今見て来ました あの様な部屋まで…」

「気に行ってくれた?」

「もちろんです!姿見からお風呂まで」

「なぬ!風呂も付いておるのか!」

「僕の部屋にもあったよ!」

「小丸まで…わしも自分専用の風呂が欲しいのぉ…」

『禿げはよい!』

「また来おったか…」

『悪いのか?水遁の…』

「ヒィ!よくぞ参った!会いたかったぞ 晶殿!」

『お主に会いに来たのではない!』


「母上なのですか?」

「小次郎 よく間に合わせましたね」

「はい!小丸兄ちゃんには ずっと親子一緒に居てもらいたいから」

「小次郎殿…」

「それで良いのです 小次郎は優しい子じゃ」

「僕は 母上の子ですから!」


新しい 離れ には小次郎の側近を住まわせた

「いい!朝晩は必ず 飯粒を供えるんだよ!」

「ハッ!」


「おまえさん それでは私達は 離れ の方に移りますね」

「おぉ〜い おいおい…」

「父上…すぐそこですよ いつでも会えるんですよ」

「ならぬ…外は怖いところじゃ…静殿も一度燕に攫われ わしはアリに攫われ…お主らを危険な目に遭わせとうない」


おっちゃんは家訓として

1人で外出しない事 という約束事を作った


「おじちゃん達が行き来したい時は僕が連れて行ってあげるよ」

「小次郎殿 よろしくお願い致す」


こうして おっちゃん家の家訓が出来上がった












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