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小ちゃいおっちゃん物語 其の十三

「はぁ…はぁ…」

『どうした 息が上がっておるぞ!』

「わしは もう600歳近いのじゃぞ…」

『晶…そろそろ教えてやれよ…』

『仕方ない…お爺様がそうおっしゃるなら』

「小太郎殿…かたじけない…」

『禿げ お主はどんどん奥へ行っておるのじゃぞ』

「なんと…そうじゃったか…」

『今来た道を戻るのじゃ!』

「登るのか…」

『お主は気づかぬのか?アリの巣とはどこにある?』

「土の中…そうじゃ!地上へ出るには上じゃ…」

『不思議じゃのぉ…』

「晶殿…何がじゃ?」

『お主のその頭は飾りか?』

「ん?」

『使いもせぬのに何故禿げておるのじゃ?』

「上手い!腕を上げたのぉ…」


おっちゃんは晶殿の案内で出口を目指す

「ひぃ…ひぃ…」

『おっちゃん もうちょっとだぞ!多分…』

『しっかり致せ!そろそろ出口じゃ!』

「おぉ!そうか…」

『しかし そう簡単には出られぬぞ!』

「何故じゃ?」

『気づいて居らんのか?ここに来るまでアリに出会したか?』

「と申すと…」

おっちゃんが扉を開けると

「待っておったぞ!」

「ここは…わしが最初に居た部屋…」

『脱出するのは あそこに見える扉じゃぞ』


その扉にたどり着くには数百匹のアリを倒さないと…


「晶殿…あそこ以外は…」

『ない!』

「やはりか…やるしかなさそうじゃな!」

『おっちゃん大丈夫か?』

「わからぬ…じゃがやらねば…小丸や静殿 小次郎殿にまた会うには…」


ワシャワシャワシャワシャ…


『禿げや…気色悪い…早よ倒すのじゃ…』

「晶殿も女子よのぉ」

『おっちゃん 気をつけろよ!』

「手伝ってくれてもよいぞ!」

『甘えるでない!』

「ケチ…」

『おっちゃん 来るぞ!』


ワシャワシャワシャワシャ!

『小太郎殿!晶殿!耳を塞ぐのじゃ!』

『何を言うとる?』

『晶!耳を塞げ!』


バッ!ババッ!

ポーズをキメるおっちゃん

『おっ!なんかカッコいいぞ!』


スゥ〜〜〜〜!

「キェーーーーーーーーーー!」

バタ…バタバタ…

『おぉ おっちゃんスゲーな!』

「スゴイじゃろ!」

『喜んでる暇はないぞ 禿げ!次が来るぞ!』


カサカサ…ワシャワシャ…


バッ!ババッ!

調子にのるおっちゃん

「キェーーーーーーーーー!」

バタバタバタバタ…

「どうじゃ〜!」


カサカサ…ワシャワシャ…


『おっちゃん!また来たぞ!』

「小太郎殿!わしには この美声があるのじゃ!」


バッ!ババッ!ババババ!

だんだんオーバーアクションになるおっちゃん

「キェーーーーーー!」

バタバタバタ…


『禿げよ…威力が落ちて来ておるぞ…』

「はぁ…はぁ…声が…」

『おっちゃん大丈夫か?声が枯れてるぞ…』

『アリの巣一つに何匹居るかわかるか?』

「知らぬ!」

『数十万から数百万じゃ!』

「なぬ…そんなに居るのか…半分はやっつけたであろう!」

『いや…数百匹じゃな…』

「……」



その頃地上では


「なんか 下 からおじさんの声がするんだよなぁ」

「まさか…父上は アリに攫われたのでは…」

「水飴を流しに外に出た…小丸兄ちゃん!そうかも!」

「なら父上を助けに行かないと!」

「アリの巣の入り口を見つけないと!」

小次郎と小丸は軒下に潜り込みアリの巣の入り口を探す



「お主の武器はその声じゃな」

「出たな!女王アリ!」

『おぉ!初めて見たぞ!やっぱり女王アリデケェ!』


「わらわの(しもべ)達は後 百数十万匹じゃ!どこまで声が持つかな?」

「まだそんなに居るのか…」

『……』

『どうした晶?』

『百数十万匹のアリ…考えただけで身体中が痒くなる…禿げよ ようやった!わらわが手を貸そう!』

「本当か!晶殿!」

『わらわに良い考えがある!禿げよ!出口の扉まで走るのじゃ!』

「また走るのか…」

『文句を言うでない!』

「わかり申した…」

『どうするんだ?』

『お爺様も準備をしておいてください』

『雷遁か?』

『そうです!禿げや 出口の扉に真っ直ぐ走るのじゃ!よいか?その時に頭を出来るだけ左右に振るのじゃぞ!』

「頭を左右にとな?」

『考えてる暇はないぞ!それ!行くのじゃ!』

「信じておるぞ!晶殿!うぉぉ〜〜!」

おっちゃんは頭を振りながら出口の扉に真っ直ぐ走る


『水遁の術!』

ブシャ〜〜〜〜〜〜〜〜!

おっちゃんの頭から水が放水される

「ぬぉぉぁぁ…水圧で首が〜〜〜〜!」

『我慢致せ!もうすぐ扉じゃ!扉の外にも居るはずじゃ!そやつらも突き抜けるのじゃぞ!』

「わしの首が持てば…」

『水圧に負けるでない!お爺様のはもっと強烈じゃぞ!』


おっちゃんは扉を開け外のアリにも水をかけまくる

「たかだか水!ひるむでない!我が僕達よ!」

しかし 兵隊アリ達はおっちゃんの迫力…水圧により道をあけた


「晶殿!光が見えて来た!」

『今じゃ!禿げはアリどもの方に頭を下げるのじゃ!』

「何故わしが アリに頭を下げんといかんのじゃ!」

『良いではないか!そのような頭の1つや2つ!さっさと下げよ!』

「全く…晶殿は何を考えておるのじゃ…こうか?」

おっちゃんはアリに頭頂部を見せる

「うわぁ!」

アリが怯む

「お!わしの頭に怯みあった!」

『眩しいだけじゃ!お爺様 今です!』

「ちょ…ちょっと待…」

『雷遁の術!』

バリバリバリバリ!

「ギ…ャ〜〜〜〜〜〜〜!シ…ビ…レ…る…」

おっちゃんの頭から稲妻が…

もんどり打つ おっちゃん…


『おっちゃん…おっちゃん…』

「ん…はっ!アリどもは!」

『ようやった!アリどもは全滅じゃ!』

ピクピク……

水を浴びたアリ達は小太郎の雷遁により電気が流れ 虫だけに…虫の息だった

「勝ったんじゃな…」

『おっちゃん!やったな!』


フラフラになりながらアリの巣を出るおっちゃん


「父上!…頭から煙が…」

「小丸!…わし…頑張った…」

「おじさん!無事だったんだね!良かったぁ」

「死を覚悟したがのぉ…お主の母上の奇策のおかげで…」

『小次郎か?』

「晶殿 これが小次郎殿じゃ!大きくなったであろう」

『小次郎や…』

「おじさんどうしたの?」

「小次郎殿…今 晶殿と代わるから話すとよい」

「母上?どういう事?」


小次郎が産まれた翌日に亡くなった晶殿

おっちゃんを通して初めての親子対談が始まる





















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