小ちゃいおっちゃん物語 其の十二
小太郎と晶殿の活躍で 龍 を倒してから20年の月日が経とうとしていた
「小丸兄ちゃん おじさん大丈夫?」
「小次郎様 それが…」
昨夕…
「おじさん これ食べて!」
「おぉ小次郎殿 なんじゃこれは?」
「水飴だよ!とっても甘くて美味しいんだよ!」
おっちゃんが水飴を舐める
「おっ!これは美味じゃ!」
「美味いでしょ!これだけあれば1年は持つでしょ!」
「小次郎殿 いつもすまぬのぉ」
「全然いいよ!何か足りないの有ったら言ってね!」
「髪…」
「ん?おじさん何か言った?」
「いや…こればかりは小次郎殿でも…」
「んじゃ また明日ね!」
……
「小次郎様に頂いた水飴を食べようとして…」
……
「ぬぉぉ!小丸 静殿助けてくれ〜!」
「父上!」
「足が抜けん!」
「何をやってるんですか!」
「水飴を舐めようと思うて…」
……
「水飴はドロっとしてるからなぁ…」
「なんとか母上と引き上げたんですが…」
……
「ベタベタじゃ…」
「外に行って洗って来なさい!」
「わかり申した…」
……
「そのまま帰って来なかったのか…」
「どこ行ったんだろう」
一方おっちゃんは…
「ここはどこじゃ?」
暗闇の中にいた…
パチッ
灯がともる
「ん?なんじゃここは!これは飯粒か…」
「気がつきおったな」
「誰じゃお主は!」
「わらわは女王じゃ!」
「女王じゃと!お主 女王アリか!」
「その通り!これから産まれて来る子供達の餌になってもらうぞ!ぬわっはっはっは!」
「この飯粒は卵か…」
「わらわの子達を飯粒とな!」
「飯粒に見えただけじゃ!」
「まぁ 良い もう少しで産まれる子達の餌となるがいい!」
おっちゃんは昨夜 水飴に落ち夜露で体を洗っている最中眠りにおち 働きアリに巣に運ばれたのだ
ムクムク…
「うぉ〜産まれる〜!なんとかせねば!」
ムクムク…
「ん〜〜〜〜…」
スポッ!
「はぁ…はぁ…良し…手が抜けた…」
蜘蛛糸で縛られていたおっちゃん
なんとか糸を外す事に成功
パリンッ…パリパリ…
「ヤバイ!産まれおった!」
カサカサカサカサ…
「ぬぉぉぁぁ〜〜〜〜」
おっちゃんが逃げる
カサカサカサカサ…
「いったいどっちに行けばよいのじゃ〜!」
アリの巣はまるで迷路
「ここは…葉っぱの部屋か…」
たまに アリが葉っぱを運んでるのを見るが ここに運んでいたのか…
ジリリリリ……
「なんじゃ!」
アリの巣内に響き渡る非常ベルの音
ウゥゥゥ〜〜〜!
「なんなんじゃ〜!」
サイレンも鳴らされる
『餌が逃亡!餌が逃亡!』
「わしの事か?」
「居たぞ!餌発見!」
「やっぱりわしか!」
「餌を捕まえろ!」「おぉ!」
逃げるおっちゃん
「出口はどこじゃ〜!」
「こっちだ!」
「見つかってしもうた!」
『おっちゃん 楽しいか?』
「楽しいわけないじゃろ!…小太郎殿か?」
『そうだぞ!』
「おぉ!久しぶりじゃのう!小太郎殿が亡くなってから17年…ってどこに居るんじゃ!」
『おっちゃんの中!』
「わしの中?以前晶殿が居ったようにか?」
『そうだぞ!晶も一緒だぞ!』
『禿げ!』
「おぉ!その呼び方は正しく晶殿!久しいのぉ!って…どうしたのじゃ?」
『面白そうだから見に来たんだぞ!』
「面白そうだからって…」
『禿げや 突き当たりを左に…』
「晶殿 かたじけない!左じゃな!」
おっちゃんは突き当たりを左に曲がる…
「ぬぉぉ!」
「居たぞ!」
兵隊アリと鉢合わせ
『…行くと鉢合わせするぞ!と言おうとしたのじゃ!』
「晶殿〜!」
『なんじゃ?』
「わざとじゃろ!絶対わざとじゃろ!」
『キャハハハハ』
「……」
おっちゃんは回れ右してひたすら逃げる
『晶…おっちゃんをあまりいじめるなよ…」
「ところでお主ら何故わしの中に?」
『暇だから行こうってお爺様が』
「そんな簡単に来れるのか?」
『禿げは単純じゃから!誰が好き好んでこのような隙間風が吹くところなど!小次郎は元気か?』
「小次郎殿は素直で良き子に育っておるぞ!」
『そうか わらわに似たのじゃな』
「……」
『何故黙るのじゃ?』
『おっちゃん!次の突き当たり 左からアリが来てるぞ!』
「おぉ!小太郎殿が言うなら安心じゃ!右に行けば良いのじゃな!」
おっちゃんが右に曲がる
「居たぞ!」
「ヒィ〜〜〜〜!」
『禿げは馬鹿よのぉ お爺様が左右を当たり前に言うわけなかろう!』
「そうじゃった〜!誰も信じられぬ…」
おっちゃん またもや回れ右
「も…もう…ダメじゃ…」
『おっちゃん頑張れ!』
「足が…」
『よし!わらわが出口を教えよう!』
「…信用出来ん」
『なら ひたすら走るがよい!』
「嘘!嘘じゃよ…晶殿教えてくれぬか」
『良いか 一度しか言わぬぞ』
「一度?」
『次の突き当たりを右に曲がり次を左 じゃなく右次も右 そしてまた右 そうするとここに戻って来るのじゃ!そしたら左に曲がり2番目の扉を入って水分補給後 その部屋を出て 突き当たりを右!デカイ扉があるが入らずひたすら真っ直ぐ…』
「晶殿…悪意が感じるぞ…なんじゃ 最初の右 右…でここに戻るとは…」
『バレたか…』
久しぶりの小太郎 晶殿との再会
いじられまくりのおっちゃん
おっちゃんの運命や如何に!