表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

(5)

さぁ始まりました夏休み!

終わりはまだですか? 8月31日はどこですか?

僕はここにいますよ〜……。


「おはよ〜カズにぃ〜…」

「……あぁ、おはよう柚季。まだ眠そうに目を擦る柚季も可愛いね」

「え、えへへ〜…ありがとう、カズにぃ」

「でも、いつもの柚季の方がもっと可愛いと思うなぁ」

「う、うん。じゃ、じゃあ顔洗ってくる!」


俺が朝日を見ながら黄昏ていると、目をこすりながら柚季が起きてきた。

今の一連のやりとりだが、俺の本心からの言葉は「…あぁ、おはよう」の部分だけである。

それ以降の歯の浮くような、本当に兄が妹に言うだろうかと疑問に思わざるを得ないセリフは、『兄』体験の一環である。

喫茶店という接客業を経験していなければ絶対に無理だっただろう。

そんなことを考えていると柚季が戻って来た。


「カズにぃ、どう…かな?」

「うん、さっきよりもずっと可愛いね」

「で、でへへ〜…」

「じゃあ服を着替えて朝ご飯にしようか。母さんが作ってくれたご飯が冷める前にさ」

「そうだね。じゃあカズにぃにもっと可愛いって言ってもらえるように、気合い入れて着替えてくる!」

「あ、コラ柚季。そんなに走ると危ないだろ。お前が怪我したらどうするんだよ」

「ご、ごめん。…でもカズにぃにいっぱい可愛いって言ってもらいたいって思ったら我慢できなくて…」

「あぁもう、怒られてしょんぼりする柚季も可愛いなぁ…。ほら、俺の可愛い柚季。もう怒ってないから、もっと可愛い柚季を俺に見せておくれ」

「うん!」


柚季が元気を取り戻して部屋に戻っていく。

それに反比例するように俺の元気が無くなっていく…。

……まだ初日が始まったばかりだというのにこの疲れ具合。

残り40日とか耐えられる気がしない。

そして俺はまた黄昏る。

夏休みさん、終わりはまだですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ