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08

お待たせいたしました。

どうぞお楽しみください。

「つまりネルファは名前が分からないから役職で呼んでいたのか。」

陛下は呆然と呟いている。


「そうなるわね。」


陛下の呟きに王妃は肯定する。


「違います。名前を間違えたら失礼になるからですよ。」


「ものは言いようね。」


王妃はネルファーティエの言葉に呆れ返っていた。


「セレティアーナ、どうすればネルファは名前を覚えてくれるんだ。」


陛下はさすがにこのままではダメだろうと思い王妃に相談する。

王妃は陛下の意図が分かり、自分なりの意見を伝える。


「私の場合は愛称で読んでもらってるわ。名前を全部覚えるよりもはるかに簡単ですもの。」


「そういえばそうだな。うむ。ネルファ、お前今日から俺たちのこと愛称で呼べ。いいな。」


陛下は名案だと口に出す。

解決策になっていないがネルファーティエは自分を思っての事だと理解しているため素直に従う。


「畏まりました。ヴェル様。」


「あら?そうすると、騎士団長の名前も愛称になるのかしら?」


王妃はコロコロと笑いながら陛下に訪ねる。


「ふむ、そういうことになるのか?」


ネルファーティエは心の中でギョッとする。

短くても付き合いのある陛下たちならまだいいが初対面の人に向かって愛称で呼ぶなんて命令でも失礼だろうとネルファーティエは思ったからだ。


「それは初対面の人に失礼にな「私はそれで構いません。」」


ネルファーティエの抗議に言葉を被せて騎士団長が返事をした。


ふいに、ネルファーティエは違和感を感じる。

いや違和感というより、ネルファーティエにとっては不快感を与える気配だった。

気持ち悪いです、ネルファーティエは瞬時に気配をたどり横にいる騎士団長の剣を奪いなにもないところに構える。


「どうした?」


剣を構えるネルファーティエに陛下が驚きの声を上げる。


「……魔法の気配と人の気配があるだけです。」


ネルファーティエは静かに答える。

すると、なにもない剣の先から緑のローブを纏った男性が姿を現した。


「また会えたね?僕の気配に気づくなんて…シルファスでも出来ないのに。強いんだね。」


そこにいたのはお花見会の始まる前に図書館で会った男性だった。

男性はまたニコニコと胡散臭い笑みを浮かべていた。

むしょうにイラッときたネルファーティエは剣を下ろし、騎士団長に謝りを入れて一言も男性には話しかけず自分の席に戻る。


「無視しないでくれよ。」


あんまり気にしてない癖にボソボソと男性は抗議している。

しかし、メイドたちによって席が用意されるとそこに静かに座った。


「ところでさ、話を聞いてると本題から随分とずれてるようだね?」


あとから来た筈の男性の一言にせっかく逸らした本題が引き戻される。

男性はネルファーティエの方を見てニッコリと笑う。


「それじゃあ、話してもらおうか?」


男性が浮かべる笑みにネルファーティエは顔を少しひきつらせた。


「うん。これで聞かせてほしいことは終わりだね。なんでこんな簡単なことに手こずるのかなぁ?」


質問攻めにされたネルファーティエはソファーの上でぐったりとしている。


その様子を見ていた陛下がぼそりとこぼす。


「なんでこんなやつが光魔法の保持者なんだよ?」


王妃は陛下の独り言に同意する。


「陛下それは、この城の誰もが思っていることよ?」


ネルファーティエはぐったりしながら二人の言葉を聞いて納得した。

嫌な気配じゃないのにネルファーティエに不快感を与える男性の原因は光魔法の保持者ということ、魔王であるネルファーティエが不快に感じるのは当たり前なのだ。

だが幸いに、ネルファーティエが不快感を感じるのは光魔法を使用されているときということも分かったのも事実なのだった。


「では、僕は仕事が詰まってるから失礼させていただくよ。ああ、それとネルファさんだっけ?君僕のこと知らないよね。僕は魔術師団、団長アルシェイド=リオネル。アルドでいいよ。」


と、アルシェイド=リオネルと名乗る男性はニッコリと微笑みを浮かべてさっさと部屋を退出したのだった。



ネルファーティエは時計を取りだし、もうそろそろ私も仕事に戻らなくてはと思い席を立った。

すると、王妃が何か思い出したのかネルファーティエに話しかけた。


「そういえば、ネルファちゃん。伝え忘れてたんだけど、いつもなら2日間だけど今回の休暇1日多めで3日間の休みを取ってちょうだいね?今回の不測の事態ほとんど全部ネルファちゃんが片付けたからそれくらいの休暇を取らないとわりにあわないのよね。」


ネルファーティエはそんなことならと静かに返事をする。


「畏まりました。」


ネルファーティエはドアをゆっくり開けて、「失礼いたします。」と一礼をした。

部屋を出る途中陛下が口を動かす。

「出来るだけ愛称でな?」と。


そして、部屋を出たネルファーティエは静かに仕事に戻ったのだった。




いかがですか?

誤字脱字・注意点がございましたら、よろしければ報告をお願いいたします。

次はアルシェイド視点で書きたいと思っております。

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