05
お待たせいたしました。
……すみません、予約時間を間違えました。
ではでは、お話をお楽しみください。
ネルファーティエは懐中時計を取り出す。
時間を確かめるとちょうど11時になっていた。
ネルファーティエは王妃に頼まれたお花見会に合う曲を探しに図書館に向かった。
図書館に着いたネルファーティエは曲が置いてある本棚へ向かう。
本棚には沢山の曲が置いてあり、ネルファーティエは直ぐに作業に取りかかった。
机の上にはいいかなと思った曲が散乱している。
……ネルファーティエはもう何曲かも分からないほど調べていた。
そして、次の曲を手に取ろうとしたとき誰かが館内に入ってきたのだった。
ネルファーティエは入り口の方を見て入館者を確かめる。
そこには、深緑のローブをまとった男性がいた。
ネルファーティエは取ろうとしていた手を戻し男性に向けて一礼する。
それに気がついた男性は何故かこちらに近づきながら話しかけた。
「ねえ、何を探してるんだい?」
男性はニコニコと綺麗な笑顔でネルファーティエを見てきた。
胡散臭くてめんどそうな男、それがネルファーティエがその男性に下した判断だった。
しかし、相手の方がネルファーティエより身分が高い。
当然、無視できる訳がなくその質問にネルファーティエは答えた。
「…お花見会で流すゆったりとした曲を探してるのです。」
ネルファーティエは時間がないので、相手に失礼だとは思いつつも作業を再開し始める。
そして、男性は何を思ったのかネルファーティエを通り越して本棚の上の一番隅にある1曲を取り出しネルファーティエに差し出した。
「この曲はどうだい?」
ネルファーティエはその曲を受け取り中身を確かめる。
良い…ネルファーティエは本気でそう思った。
ゆったりとして上品な、でも華やかさもちゃんとあるそんな曲。
ネルファーティエがいままで見てきた曲よりしっくりと来る曲だった。
ネルファーティエは曲から目を離し男性を見つめる。
「この曲使っても良いのですか?……ほんとにいい曲だとは思ってるんですが。」
男性はニコニコと頷く。
「うん。その為に君にその曲を提案したんだから。」
ネルファーティエは頭を下げた。
「ありがとうございます。」
頭を上げると男性はニッコリと笑って、
「さっきよりもいい顔になったね。」
といい、手を振って館内のさらに奥の方へと消えていった。
ネルファーティエは消えていった男性が言った言葉に驚いていた。
確かに心が弾んではいたが無表情の自覚があったからだ。
ネルファーティエは胡散臭くてめんどそうな男から、不思議でめんどくさそうな男に認識を改めたのだった。
11時45分、ネルファーティエは机の曲を戻し風魔法で音楽を流すよう指示をだした。
そして、お花見会の受付と控え室の案内を始めた。
楽しい楽しいお花見会が開幕したのだった。
いかがでしょうか?
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次の投稿は13日の0時になります。
長めに書く予定です。遅れても14日の0時には投稿いたします。……宣言しないで止めると怖いので宣言しときます。