02
執事長登場。柔らかそうな好青年です。
ではでは、お楽しみください。
朝の4時。
目を覚ましたネルファーティエは身体を起こすと、そのひょうしにさらりと落ちる綺麗な金色の髪が目に入った。
身なりを整え、メイド服に着替え髪を結わえる。
熱々のスクランブルエッグとウインナーを挟んだパンで朝食を軽くすませ、そのあと、使用人のミーティング室にむかうのだが、当たり前の如く部屋には誰一人としていない。
静かな部屋でネルファーティエのペンを走らせる音だけが響き渡った。
他の使用人が来てから取り掛かっても、十分定時には間に合うのだが...不足の事態が起きても手がまわるように早めに終わらせる。
それが、ネルファーティエの一日も欠かさない日課だった。
5時になると執事長がミーティング室に入室してくる。
そして、ネルファーティエと執事長で今日の仕事の予定を話し合うのが日課だが、今日は違っていた。
そう、今日は毎年行われる王家主催のお花見会が開かれるのだ。
しかし舞踏会なら如何せん、お花見会だ。
つまり、外で行われるため、庭園におもてなしの準備をしなくてはならないのだ。
正直言ってネルファーティエはめんどくさかった。
だって、そうだろう。多くのテーブルとイスを庭園まで配置しなくてはならないし、天気が崩れても実施出来るように結界も張らないといけない。料理の仕度に花を花瓶にいけなくてはならない...
考えなくても、やらなくてはいけないことが沢山あった。
まぁ、その分宴会など仕度の終わったあとには必ず休暇を与えられるので皆のやる気があって随分楽だったが。
「……って、聞いてますか?ネルファ」
どうやらネルファーティエは深く考え過ぎたようだ。
燃えるような紅蓮の瞳は私を見据え、眉間に手をあてている執事長は笑っていながら目が据わっているという器用な芸当をしていた。
...ふむ。これは『聞いてませんでした。』というフラグを立てればいいのでしょうか?
「フラグは立てなくて良いですからね。」
と執事長まるで私の心を読んだかのように確信をついた突っ込みをいれる。
ネルファーティエは少し気まずくて執事長から顔を反らした。
そんな私を見て、執事長はため息を吐きながらさらに眉間にシワをよせる。
「私が怒ると分かっているのに、ふざけたことをしているからですよ。」
とこぼす。
「以後気を付けます。(多分…)」
「いや、多分じゃダメですからね?」
多分と思ってたことに気付かれたネルファーティエは舌打ちをした。
「他の使用人が怯えてしまうので、舌打ちはやめなさい。貴女はたださえ無表情で冗談が分かりにくいのですから。」
執事長はネルファーティエに注意を促すと、懐からいつも使っている高価な懐中時計を取りだし時間を確かめる。
「もうそろそろ皆さんが来る頃ですね。確認しただけで、聞いていると思いますので再度の説明は大丈夫ですよね?」
ネルファーティエはクスリと音をたてて、はい。とだけ返事をした。
そして、朝の6時ミーティング室に他の使用人達が全員、部屋に入ると何列かに綺麗に並んだ。
「「「「お早う御座います。メイド長様、執事長様。」」」
綺麗に声を揃えて、全員がピッタリとお辞儀をする。
以前まで自分もやっていたことだとは思えないほどの完成度だった。
そんなことはおくびにも出さず、ネルファーティエは執事長と一緒に挨拶を返す。
「「お早う御座います。皆さん」」
挨拶を返せば今日のミーティングが始まる。
いかがでしょうか?
誤字脱字、注意点などがごさいましたら受け付けますので、よろしくお願いいたします。