-始まりは突然に-
彼女はそういったカードゲーム等と言った部類には無縁に近い所にいたはずだった。
「ねーねー、瑠熾亜~コレコレ!今流行りのゲーム!!一緒にやってみようよ♪」
この元気っ娘全開な少女に呼び止められ瑠熾亜と呼ばれた少女は一緒になって今流行りだというゲームのポスターに目配せる。
「ん…、何…?…カードゲーム…カードゲームとか私やってみたこと無いよ…第一、こういう本格的なのってルール覚えるの大変じゃないの?」
瑠熾亜が間延びするようなゆったりした返事を返した。
「噂によるとルールは比較的簡単で覚えやすいらしいよ。それに、何事にも経験しなくちゃ分からないのだよ瑠熾亜クン」
チッチッチッと人差し指を唇の前で振り悪戯な笑顔を浮かべた。
「もぅ…遥ったら」
遥と呼んだ少女にクスリと笑って返すと
「仕方ないなぁ」
と瑠熾亜はこの新しいゲームを始めてみることにした。
満足げな遥と共に。
かのゲームを求め歩を歩んでいるとぽつりと遥が呟いた。
「しっかし、今時珍しいよねぇ~。ほとんどのカードゲームは端末さえあればどこでも遊べるっていうのに特定の場所じゃないと遊べないっていうの。」
今の時代は電子の端末さえ持っていればどこでも遊べるものがほとんどだ。この新規のカードゲームが出た時は今時ない紙の端末でそれだけで話題性は十分だったが。
「そうだねぇ~」
そんな事を全く知らない瑠熾亜は間延びした返事をすることしか出来なかった。むしろカードゲーム等で遊んだ事はないし今までにそういったモノには興味がなかったからか彼女のこの反応は至極当たり前の反応なのだろう。
「んもぉ~反応薄いなぁ。…ふふっ、でも瑠熾亜らしいや。」
遥はそんな瑠熾亜にムスっとしながら、しかし彼女らしい反応に思わず笑ってしまった。
「でも遥がそんなに興奮しちゃうゲームっていったいどんなのだろう・・・楽しそうだといいね。」
遥は昔からゲームが大好きな少女だった。今でもそうだ。新しいゲームと聞くとジャンルを問わずなんでもかんでも飛びつくような娘だった。故にお目当てのゲームが初めて紹介された時も目を輝かせて飛びついていた。
そんなゲーム大好き遥だが周りからの信用は厚い。ゲームばかりやっていそうな彼女でも学校での成績は優秀でテストでは学年1位は当たり前、他の生徒達には彼女の人柄なのか慕って集まるほどで次期生徒会長は遥で決まりなどと噂されている。
瑠熾亜はそんな幼馴染が誇らしくもあるが、そんな彼女に取り残されていく自分が少し寂しくもあったりする。