プロローグ サンタクロースの落とし物
この小説はフィクションではありません。作者の中では、ノンフィクションです! いるんです! 可愛いうちゅーじんは!
自分の吐く白い息を追って、空を見上げた。空には黒い画用紙に修正液を間違って垂らしたような白い粒が所々に浮かんでいる。
僕は空が怖かった。今、自分が立っている暗い廊下に首無しの幽霊が現れるんじゃないのか? っていう薄気味悪さよりも怖いんだ。
僕の知る先輩、河霜扇辺りが僕の心情を手に取るように解る能力を備えていたら……
「夜、トイレに行くのが怖い幼女でちゅかぁ」
と、罵るだろう。
空のどこかで、誰かが僕を睨んでいるような気がして目を逸らした。
耳元で、
「天国ってある?」
そんな少女の声が微かに聞こえてきた。
恐れている。天国から憎悪の眼差しで僕を殺そうとする存在を。
背筋がぞっとしてきた。まるで毛虫が背中をすっと通り抜けた感触がしたんだ。
今日の桜餅学園警備のバイトも残すところ、科学室のみだ。その科学室が問題だった。
いつも、頼みもしないのに、河霜扇なる先輩は僕を愉しませてくれる。尤も、そう認識しているのは先輩だけだ。僕はひたすら、先輩の掌で踊っている。
科学室を示すプレートを見上げ、諦めの籠もった息を吐く。昨日は、この先にラブドールがいた。僕は裸の女性が倒れていると勘違いして、悲鳴を上げた。すぐさま、警備員の詰め所に戻り、警察と救急車を呼んだ。結果、僕は警察、救急隊員、学園からこっぴどく叱られた。それを横目でくすくすと笑ったところで、
「暗闇に人間の眼が慣れるまでかなりの時間を要する。ですから、米乃国太郎君が見間違えるのも無理はありません。最近の世の中は何処で、事件が起きるか解らない世の中ですし」
と、先輩の荒々しさとは真逆の優等生口調で警察、救急隊員、学園を黙らせた。黒髪ベリーショートヘアのくりくりとした守りたくなる小動物風の霜河扇の言葉を否定するものはいなかった。小動物を虐める奴は格好悪いっていうロリイズムが働いたのだろうか?
僕としては、ひたすら、先輩のロウで固めた鳥の羽根が溶けんが如き、笑顔に眉根を顰めていた。ライオンが子猫のふりをするようなものだ。そして、それが先輩の処世術だ。
朝まで固まっている訳にはいかないので、僕は仕方なく、レールのがたつく扉を開いた。
「ひっ、いぃ!」
開いた瞬間、目があった。紐で吊された汚らしい人形と僕、米乃国太郎が出逢った。ここでメルヘンな曲調が頭に浮かぶのは、辺りが明るく、人形がアンティークドールだった場合に限る。決して今、出逢っちゃっている金髪がデタラメなパーマをかけたようにボサボサで、着ているワンピースが所々、色の違う布で継ぎ接ぎになっている人形とは違う。思わず、童話の可哀想な少女達が走馬燈のように蘇ってくる。僕はその子を手に取り、
「怖いけど……よく見ると目が円らで可愛い。きっと、君は苦労したんだね、両親が死んで、生きていくためにエロゲショップで働いて。きっと、コスプレとかもしただろう。年齢を偽って、エロゲ声優業界にも参戦しただろう。けど、諦めちゃ駄目! 下積みっていうのはみんな、そんなもんなの。ファイトぉ。えーいぉ、えーいぉ、桜餅! えーいぉ、えーいぉ!」
そう叫んでいる内に自分のヘンテコな情熱が急激に冷めていく。業務用冷凍庫で自分を凍らせたい。そう、恥ずかしがりながら、お人形をテーブルの上にそっと、置いた。ばいばい、ナナ。
扇の仕掛けとしてはなんだか、生ぬるい。と思い、科学室の隅々まで探索した。だが、何処にもそれらしきものはなかった。
なんだ、とほっとしかけた時だった。
廊下側、いや……そのもっと、先の中庭から尋常じゃない音量の爆発音が聞こえてくる。僕は驚いて咄嗟に両耳を塞いだが、耳に心臓をぎゅっと掴まれたような死の音が鳴り響いている。それから数秒も経たずに……ガラスが床の上で粉砕していく音と、それと同時に冷たい突風が僕の背中を押した。
突風に堪えきれず、床に倒れ込んだ。
数秒後、静けさが戻った。ただ、違ったのはその静けさに同化するように何かが機械的に燃える音が微かに聞こえる。
口が上手く、開かない。
やっと、恐怖に震える唇が言うことを聞き、出た一声は、
「火事だ」
の間抜けな一言。とにかく、誰かに電話。と思い当たるのは二人の人物、頭脳明晰で僕をからかうのが趣味な河霜扇と、僕の自称母上を名乗る理事長兼清涼寮の寮長である宮御紲。さぁ、どっち?
僕は河霜扇を選んだ。何故ならば、携帯電話なる文明の利器を米乃国太郎は所有していないからだ。
素早く、ポケットからトランシーバーを取りだし、通信スイッチを押す。
「扇ちゃん。頼むから応答して」
「こちらの電話番号は現在、使われておりません。電話番号を再度、お確かめの上、お掛け直しください」
「え! 電話番号、間違えた。えーと、えーと、何番だっけ? う、こんな時になんて僕の頭は豆腐なんだ!」
思わず、声が上ずっていく。もう、緊張を越えて、神経が千切れそうだ。今にも倒れそうだ!
爽やかな笑い声が、窮地に立たされている僕の耳元から聞こえた。あ……そうか。
「お前、トランシーバーだぞ。携帯じゃねぇよ。で、何か用、米乃国?」
「そ、そうだ、扇ちゃん。火事、火事、中庭で火事、ガーデンファイアー! ファイアーだよ」
「あー、お前。昨日の事忘れたか? ラブドール事件。あー、まず、早とちりは非常にヤバイから現場、確認して来い。ほら、行け」
まるでフリスビーを投げたから取ってこい! みたいな簡単なノリで扇は僕に指示を与えた。僕の体、百四十七センチを倒すほどの突風が外には待ち構えている。火の勢いも相当、酷いに違いない。
僕は放尿しそうだった。あまりの過酷な試練に。
「おい、ヘタレ。早くいけよ。そして、この通信も早く終われ。今、良いところなんだよ。ライトノベルの挿絵部分を凝視中なんだよ。ほら、あんだろう? 湯煙の合間からおにゃのこの股間が見えそうで見えない。絶対領域? でも、こう、目を凝らせば実は見えるのでは」
扇の要求通り、トランシーバーの電源をオフにした。恐怖が身体を科学室に留め、一種の地縛霊にさせようとするが、扇の僕をからかう行為がネコの額ほどの男気を全面へと平手打ちさせてくれた。
「行くぞ! 米乃国太郎。お前はヘタレじゃない、ナイーブなだけだ!」
と僕は叫びながら廊下を駆けていく。廊下には音から予測した通り、ガラスの粉が散らばっていた。破片として残っているガラスは少ない。それだけ、衝撃が強かったと物語っている。
学園指定の上履きがシューズで良かったと、ガラスの粉を踏みしめていた。そんな余裕はすぐに消えた。
コンロ上にしか存在してはならない朱色の鮮やかな光が木々を燃やしていた。
「炎、火」
炎が中庭で一番、大きな桜の木を舐めている。
それにも驚愕して、両足がぶるぶると震えたのだが……すぐ横に目を向ける。そこにはとんでもないものが存在していた。小型の機械の塊がこんがりと焼けている。もう、原型を留めていない。さらにその近くに不思議な物体があった。
卵だ。スーパーやコンビニなんかで売っているサイズのおよそ、二百倍くらいの大きさだ。その卵から人間の足が飛び出している。
「なんで、卵に人間の足……。いやいや、ラブドールに違いない。また、扇ちゃんが僕を脅かす為に用意していたに違いない。大方、清涼寮の手狭な部屋に置けないから、卵の中に隠しておこうって……。いやいや、ないよ。ないよ、そんなのないよ」
卵に触れてみる。ざらっとした材質だ。そして、覗くと、そこには僕と同じ年代か、一個下の少女がいた。
エメラルドグリーンの虹彩は不思議と見つめていても、目を逸らしたい気分に僕をさせなかった。少女の方も僕を認識したのか、にこっと微笑んだ。笑窪が可愛い。
少女の小柄な顔以外に目を向ける。全裸だった。思わず、両手で視界を塞ぐが、指と指の合間から見てしまうのは健全な男子高生の証ということで許して欲しい。誰かに、主に警察に、何でおにゃのこの裸を凝視した、この変態! と怒られたら、そう言い訳しようと思考する片隅で、お持ち帰りしたいほどの美人さんだなと生唾を飲んだ。
ちょっと、胸は小振りだが、そこがプリティーだ。むしろ、それが良い! 肝心な多分、桜色の二つのボタンは少女の長い黒髪に隠れている。このサラサラヘアが、またまた、肝心な恥部を隠している。まるで、アニメの地上波放送のようだ。そこはDVD仕様にして欲しかった。
卵の殻に座る少女の足はすらっとしていて、踝の皮が薄く、骨の形が解る。その骨が私に触れてごらんと誘惑している。その一方では円らな瞳がキラキラと好奇心の輝きに帯びている。
「とりあえず、君? ここ、危ないし、僕と一緒に避難しよう」
そう、優しく声を掛けたというのに、少女の薄い唇は動く気配も見せない。唇から視線をエメラルドグリーンの深海に向ける。きっと、僕が信用するに値する人間なのか? 判断に窮しているのだろう。
「知らない男がいきなり、現れて君は戸惑っているんだろう? けど、今はその時じゃない。だって、火事だよ」
「……」
「ねぇ、行こうよ。本当に危ない。風の方角は卵と……呼んでいいのか解らない物体の逆方向だけど、いつ、変わるか解らないよ」
「……」
僕は少女のピアニストのように繊細な指に触れた。
同時に少女が瞬きをする。
そのあどけないしぐさを見て、僕は思い出さずにはいられない遠い日に僕の本当の名前と一緒に封印した過去を思い出しそうになる。ああ、もう、駄目だ。僕はあいつじゃない。僕はあいつじゃないんだ! それでも僕は陽乃心だ。あいつだ……。
「……僕には君を助ける資格なんてないのかもしれない」
「……」
「どうしてだろう、変なんだ。君の目を見ていると、嘘つきだらけの米乃国太郎でいられなくなる。僕は……ね。酷い奴なんだ。うん、僕は人殺しなんだ」
勝手に涙が込み上がってきた。これだけはどうしようもない。どんなに自分に対する防壁の言葉を何重に心に打ち建てても……涙が全て、台無しにするんだ。
「うん、僕は人殺し。それも、将来を誓い合った女の子の、母親と……女の子の妹を殺した。あっけなかった」
「……」
透き通った瞳はつぶさに僕の鼻水で開きの悪くなった口からだらしなく垂れる情報を吸収しているようだ。
「ごめんね、こんな世の中で一番汚い情報を君に与えてしまって。信じてほしいから、君をこんな寒空の下で――。あ」
忘れていた。目の前の少女は裸だったのだ。なんて事だろう、僕は自分勝手な台詞を述べるだけで相手を労る気持ちを忘れていた。
自分の羽織っているブレザーを少女に貸そう。僕はその為に一度、少女の指と別れようとした。だが、僕の指は少女の指と別れられない。ぎゅっと、とても強い力で握られていた。
「くぴっ……」
雛のような何処までも透る声が少女の口から飛び出した。第一声だ。
「君、言葉が喋れないの?」
「くっぴぃ? くっぴぴ」
疑問文口調は理解しているのだろう、少女は必死に首を傾けたまま、考える。解らないのか、だんだん、顔色が曇り空に変化していく。
やばい。だが、少女には言葉が伝わらない。どうしよう?
「何をヘタレておるのじゃ。キスすれば良かろう。キッスで互いに暖め合えば、安心するのじゃ!」
僕の丁度、斜め後ろから幼い女の子が無理矢理、威厳に満ちた口調で喋っている。
「あ、そうですね。キスですね。ご親切にありがとうございます! って、誰だ、あんた?」
横入りしてきた声の持ち主は仁王立ちしていた。いかにも強気な深紅の瞳、冷風に晒されている二つ結び、それだけでは髪のオプションが足りないとばかりに地毛の金髪とは異色な雪色のエクステーションが左右対称に剥き出しの鎖骨まで伸びていた。夕焼け空と同じ彩色なのに僕の目を夕焼け空よりも惹き付けるドレス、太腿全体をカバーするオバーニーソックスは赤い薔薇をイメージした刺繍が至るところに施されている。さらに、幼い声の主が豊満な胸を持つやや、背の低い少女だった事実に僕は間抜けにも好気の眼差しで魅入るだけだった。
深紅の瞳を怪しく輝かせた少女は妖艶に笑う。
少し間を開けて、地上に這う全ての人間が虫けらだと言わんばかりのやや、僕を小馬鹿にした口調で僕の問いかけに応える。
「我か? 本来ならば、なれに名乗る名など、持ち得ていないのじゃがな。萌え星人の幼女に一瞬にして好かれるとはなかなか」
僕はすっかり、泣いてしまった少女に目線をちらっと向ける。困った、本格的に泣き出している……。そして、警戒を解いて、目線をやわらかく、深紅の瞳の少女の方へと向く。
「いや、泣かれてますけど? 好かれてないようなぁ……。ってそれよりも火事ですよ! あんたも逃げないと駄目ですよ」
「火事? そんなものはすぐに止まる。あんなのブラックホールの群れにぶつかったのと比較するとじゃ……どうってことないじゃろう。消滅可能な訳じゃし。おい、やれ」
深紅の瞳の少女は顎をしゃくる。誰かにサインを送っているようだが、桜餅山の麓に位置する桜餅学園に夜遅く、闖入してくる馬鹿はいないだろう。当然、僕は怪訝な表情を浮かべる。これで合っているはずだ。
「おい、やれって誰に?」
そのちょっとバカにした言葉はすぐに撤回される。
唖然……。って言葉がこれほど、似合う場面はない。何もない空間、しいて言えば孤独な自動販売機なる絵画名がつきそうな空間から続々と屈強な男達が現れた。男達は皆、そのまま、葬式に出席できそうな黒いスーツに身を包み、ランドセル程の容器を背負っていた。その容器からはホースが繋がれていて、そのホースの先にある発射口部を男達の黒手袋に包まれた両手はがしっと握り締めていた。
「うわぁ、なんか出てきた!」
「くぴっ!」
と、怖いよと言う代わりに叫んだのだろう。同時に僕に向かって、少女は跳ぶ。
その瞬間だけは自分の脳内ハードディスクに永久保存した。宙に浮く少女の裸体は想像以上に神秘的だった。少年か、少女か? を区別するには恥部で判断するしかない年代の裸体を凝視することすら、禁忌なのに僕はそれを堂々、看破する。
乳首の色は――
「うわっ、やっぱり桜色!」
そう、狂気の叫びを洩らす僕に変態を咎める嫌悪を露わにする深紅の瞳の少女。その瞳を無視し、僕は両腕にすっぽり、収まった少女の熱を守る決意を固める。
黒服の男達は好きなアイドルの話を仲間としながら、手に持った発射口を延々と校舎を蒸し焼きにしている炎に向けていた。その発射口から特殊な液体なのだろう、透明な液体が勢いよく、噴射されている。ともかく、その液体の効果は凄まじかった。消しゴムで間違った文字を消すみたく、簡単に炎を始末していく。
「ふっ、火事の消火完了じゃ。グッ~ジョーブぅじゃ、皆の衆」
グッジョブと親指を立て返す謎の黒服集団。その集団は一箇所に集まっていた。
もう、僕の頭はおかしく、なっている。頭痛なんていうレベルを越えて、めまいがしてきた。決して、腕の中に収まる少女の芳しい匂いでくらっときているのではない……はず。
「何、これ? 扇ちゃん、もう出てきていいよ。これ、扇ちゃんの仕込みでしょう? 幾ら何でも女の子を裸で放置は犯罪だよ」
「ん、なれ、頭のネジ締め直すのじゃ。うむ、その子は今、産まれた。信じようが信じまいが、人生は去勢ルートなのじゃ」
「もしかして、強制ルート」
「そうとも言うのじゃ。ともかく、地球の運命を左右する萌え星人の幼女に名をつけるのじゃ。う○ことか、ち○ぽとか、禿げ山ハゲ憎とか、つけたら、地獄行きなのじゃ。ほれ、用意してあるぞ、地獄なのじゃ」
「さぁ、ユー、キメちゃいなよ」
そう、黒服の一人が渋い声で言った。それは別に問題ではない。何が問題か? って黒服全員がサブマシンガンを構えているからだ。何処から出した? なんていう質問はこの際、止めておこう。どうせ、黒服達が出現した方法と同じだろうから。
「……蒼空」
僕は平穏な空を見上げて、そう呟いた。それは尤も、嫌いだったはずの言葉だ。でも、それしか、僕の頭には思い浮かばなかった。不思議と拒絶反応が起きない。
「くぴっ?」
「解らないかな? 米乃国太郎」
「陽乃心」
僕は二つの僕の名前を言いながら、自分自身の胸を指さす。
少女を一度、僕の胸から引き剥がす。寂しそうな顔をする少女には悪いが。
「蒼空」
僕は少女の桜色の乳首を指さす。
「くぴっ!」
「蒼空」
もう、一度、そう言って、今度は僕の頭よりも高い位置にある蒼空の頭を指さした。
「そ、らぁ」
発音は不明瞭だったが、自分の胸に手を添えて確かに蒼空はそう辿々しく言ったのだ。さらにその言葉を連呼し続ける。楽しそうだ。
「仲間に入れるのじゃ、雛みみる」
いちいち偉そうに聞こえる深紅色の瞳の少女は雛みみると名乗った。自分の胸を指さして。
「では、宇宙連合主催の試験の開始なのじゃ」
「は?」
「試験内容はそこにいる娘。うーと、蒼空じゃったな。なれと蒼空は共に暮らすのじゃ。蒼空の命が尽きるまで……。そうすれば、なれらと、我は同盟を結べるのじゃ。どうじゃ、良い提案じゃろ」
「何処がですか……」
出逢いは四月と相場が決まっているのに、少女達と出逢ったのは十二月二十四日、クリスマス イブ。神様は僕に厄介なプレゼントをしてくれたものだ。
僕はただ、生きるのも、死ぬのも、怖くて……ただ、動かぬ岩の如く、そこに在ることを望んでいた。いや、今も望む。
予感がした。僕は変わらざるを得ない。だから、この出逢いを無効にする言い訳を探していたんだ。サンタクロースの落とし物とか?
結局、そんなの何処にも存在していなかった。
「話しは聞きましょう。でも、聞くだけです。せっかくのサンタの落とし物を拾ったことですし、オタ話に付き合うのもやぶさかではないです」
「後悔するのじゃ、米乃国とやらは。にやり、なのじゃ」
結果、僕は後悔した。本当だった。