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【囚われのリオ】



帰り道、リオは意識してシグより数歩先を歩いていた。……怒っているわけではない。

ただ、その”範囲”に入らないようにする必要があった。


なにも、……嫌だとか、そういうことじゃない。……多分。

ただ、一度捕まれば逃げるのが困難すぎて厄介だった。

いつものように、シグが距離を詰める気配がある。それは日常の、”常に守る位置にいる”という距離。


――その気配に、飛びのく。


何事かと驚いた顔をするシグ。

リオは一瞬だけその金の瞳を見やって、……にやりと笑った。


「……俺の逃げ足なめんなよ、シグ」


そう言って、シグが何か言い返す前に、地面を蹴った。風を切るツバメのように、リオの姿が遠ざかっていく。



「……あ?」


ぽつり取り残されたシグの瞳がわずかに見開かれ、……次の瞬間、金色の双眸が鋭く細められた。話に聞いていた”逃げ足”……なるほど、アレは確かに、命綱にするだけある。

相棒は、もう豆粒のよう。


「……っは!」


笑みとともに漏れたかすれた吐息と共に、シグの足が地を蹴る。鞘に収めた剣が背で揺れ、落ち葉が巻き上がる。

森の小道を、リオを追って疾走するその姿には、戦闘時と同じ集中力が宿っていた。


こうして走ってみてわかる。本気を出せば、追いつける。……本気を出さねば、追いつけないのだ。


「……リオっ」


名を呼ぶ声は届かない。それでも、疾風のように駆ける後ろ姿が確かに見える。

若草色の瞳と小麦色の髪が、ちらりとこちらを振り返った。笑っていた。からかうように、嬉しそうに。


シグの口元が、ふっと緩む。


「……は、確かに、速ぇな」


認めるように呟いて、もう一度、地面を蹴った。

その先には、逃げているのに楽しそうな相棒――そして、同じ宿、同じ部屋、同じ夜が、確かに待っていた。






――バァン!!


鋭い扉の音と共に冒険者ギルドに駆け込んできた二人は、ぜいぜいと肩で息をしていた。

笑みのないリオの額には汗が張り付き、シグも軽く口元を拭っている。


ざわつくギルドホールの中、受付嬢のマリーナがわずかに腰を浮かし、慌ててリオたちに声をかけた。


「どっ、どうしたんですか!何か異常が!?」


かつかつと木床を鳴らして歩いてきたリオは、いつもよりへろりとした笑顔で笑った。


「はぁ、はぁ、いや、大丈夫、ちょっと追いかけっこしてきただけ……達成報告お願い……」

「……え、追いかけっこ……?」


マリーナは一瞬ぽかんとし、その後ぱちりと瞬きを繰り返した。その声はやがて、受付窓口周辺の冒険者たちへと伝播していく。


「えっ、今追いかけっこって聞こえた?」

「……どっちが追ってたの?」

「まさか……血風が追いかけっこ?嘘だろ?」


ざわ、ざわ、と騒めくギルド内。


その中心で、シグは無言で大扉を後ろ手に閉め、金の瞳をすっと伏せた。

リオの後を追う影に足音はなく、追いつめる気配も威圧も一切消したまま、リオの背後に立つ。

だが、息の上がった様子と濡れた襟元が、彼の“本気度”を物語っていた。


「…………」


リオの後頭部に一度だけ視線を落とし、半歩だけ距離を取る。が、その手はしっかりとリオの腰元に伸びていく。

さりげなく陣取るようにしているあたり、まだ“油断”はしていないらしい。


マリーナはというと事態をようやく呑み込み、大変ぎこちない笑顔のような、なんとも言えない表情を浮かべながら報告書を差し出した。


「……では、調査報告、お願いします。痕跡の記録や、生体数や……“逃がした数”とか」


さらりと、しかし妙に刺さる言葉を添えて。それにリオが何か返す前、隣のシグの肩がピクリと動いた。マリーナの頬が思わず緩みそうになる。


そんなやりとりもどこ吹く風、「あっちー」と手で顔を扇いでいたリオが、革鞄から小さな手帳を取り出した。


「報告ね!えーとね、幹の削り痕、果実の食害、寝床と糞の痕跡あったよ。対象は八体でシグが五体討伐、三体は逃がしちまった!

活動圏は大樹を中心に半径十五メートル圏内かなってシグが言ってた。あー!あっちぃ!」


すらすらと報告をしてたかと思いきや、突然リオが無造作に外套のケープを外した。

そのままシャツのボタンを二つ開け、ぺたりと閉じた手帳でパタパタと首元を扇ぐ。……そのまま、視線はシグへ。


「なぁー!グロサウレインの肉俺もらっていい!?果実食だからぜってぇいい味しているよアイツ!明日捌こうぜ!」


シグを見上げてそう笑う声は、……もう、誰一人として耳に入ってなかった。



どんっ。


カウンターの裏で、マリーナが座っていた椅子がひっくり返った。

後ろにいた書記官の一人は、報告用の羽ペンを折っていた。


「………っぶっ」


誰かが茶を噴いた。別の誰かは、椅子から転げ落ちる寸前で耐え、奥の冒険者テーブルでは(プレート)隊のベテランが、静かに椅子ごと後ろに倒れた。


「……っ、ちょ、汗が伝う肌……!」

「えっぐ……首筋……首筋が……ッ!」

「ボタン二つはもうアウトだろ!」


抑えきれない興奮と騒然とした熱気が、ギルド内を駆け巡る。

一部は既にメモ帳を取り出し、“首筋角度記録用ページ”に震える手で記録を走らせていた。


その中心で、当のリオはまるで気づくことなく笑っている。

シャツの襟元が開いたその姿に、シグが咄嗟に手を伸ばす……が、触れる寸前でぐっと堪え、口をへの字に引き結んだ。その代わり、低く一言。


「……閉じろ、すぐに」


それはもはや命令というより、悲鳴に近かった。


マリーナは倒れた椅子を立て直しながら、顔を真っ赤にしつつも、なんとか受付嬢としての責任を果たそうと、震える声で呟いた。


「ごっご報告、ありがとうございました……っ」


その瞬間、どこからともなく聞こえてきた拍手。

それはまるで、神の祝福すら感じさせる賛歌のようだった。




預けていた卵を受け取り、だるさの残る足を運んで冒険者ギルドを出る。

汗だくのリオに、街の子どもたちが楽しそうに声をかけてくる。


「リオおかえり!すっげぇ汗!」

「おう!だぁってシグ本気でおっかけてくんだぜ~?もう俺足くたくた!」

「えー!こえー!!」


そう言いながらも、子どもたちが半ばヒーローでも見るかのように、シグを見上げる。

シグが視線を落とすと、キャー!と笑いながら逃げていった。


「わっはは、シグ逃げられてやんの!」


日が傾いてきた街の中、西日に照らされたリオが快活に笑った。

シグは逃げ去る子どもたちの背を無言で見送りつつ、ふと小さく目を細めた。その表情はどこか柔らかく、完全に“やれやれ”といった表情だった。


「昼飯抜いちゃったから腹減ったなぁ!なぁどっか食いにいく?なんか作る?」


リオの笑い声が、そのすぐ横から響く。陽に透けた小麦色の髪、そして空に負けないほど明るい声色。

金の瞳が、わずかに細められる。


「……作ったもんがいい」


そうぼそりと呟きながら、シグは空いていた手をリオの背に軽く添えた。

無理に引き寄せるでもなく、ただ“隣にいる”と示すだけの、ささやかな接触。


冒険者ギルドの喧騒から離れ、夕暮れに包まれはじめた石畳の通り。

風が遠くから運ばれ、空にはまだかすかに白い雲が浮かんでいる。


「疲れたなら外でもいい。……食いたいもん、あるか?」


何でもないようなその一言に、リオの笑顔が一層深くなった。




シグが風呂を終えて部屋に戻ると、赤い西日が差し込む部屋……先に入浴を済ませていたリオが、肩にタオルをかけたまま夕食を作っていた。

簡易調理台を並べ、すでに硬めのパンが切り分けられている。温野菜のサラダの上に、酸味の香るソース。

鍋には、ゴロゴロと大ぶりの肉が入ったシチュー。それをゆっくりと、リオが混ぜている。


「もう少しでできるぜ~」


鍋のほうを見たままのリオから、そんな柔らかい声がする。

ベッドの上には、巣のように巻かれた毛布と、その中央で悠々と眠る卵があった。

もし顔があれば、ここが家なんです、という表情をしていそうだ。


シグは部屋の扉を閉めると、濡れた髪を軽くタオルで拭きながら、しばしその光景を見つめた。


西日がリオの背を照らし、橙色の輪郭がふわりと浮かび上がる。

鍋の湯気に混ざる香り。酸味と肉の旨味、それにどこか甘さもある、空腹を誘う匂い。

そして、その全てを当然のように仕上げている、肩にタオルをかけた背中。


「……帰ってきたって、感じだな」


誰にも届かぬほど低く、ひとりごとのように呟いた声。

リオには聞こえなかったかもしれないが、視線だけは鍋の向こうから一度だけ、ちらりと向けられた。


シグは静かに腰を下ろすと、ベッドの方へ視線をやる。

毛布の中で眠る卵は、ぽこりと一度だけ揺れたように見えた。


「……あの巣、いいな。あいつも、気に入ってるみたいだ」

「わはは、だろ~?」


リオの料理、リオの声、リオの手によってつくられた“家”。その中央に、あたりまえのように置かれた命と温もり。

それが、シグにとっての“守るべきすべて”だった。


やがて、シチューの煮込みの香りが濃くなり、リオが木杓子を止める。


「……手伝う」


そう呟き、シグがリオの隣に並び立つ。

鍋の中で立ち上る湯気が、まるで安堵の吐息のように、ふたりの間を満たしていった。






夕食の片づけも終わり、リオは机に向かって手帳を広げていた。

今まで手に入れた魔獣の素材や、野草、キノコなどの食材の、癖や調理法が書かれたメモ。

それをぺらぺらとめくっていたが、その手がクロウバットという魔獣のページで止まる。


……これも果実食の鳥型魔獣だ。グロサウレインを調理するときの、ヒントになるかもしれない。

火入れの方法や燻製した場合、漬けてから焼いた時の身の締まり。今から考えてもワクワクする。

そんな、ふんふんと鼻歌を歌うリオを、ベッドから眺める視線があった。


シグと、卵である。

毛布の中央、卵は相変わらず悠々と眠り続けている――かに見えたが、時折、ぴくりとかすかに揺れていた。

その傍ら、枕元にもたれて座るシグは、腕を組んだまま無言でリオを見ていた。

目線は一貫して、机に向かうリオの横顔へ。


額にかかる髪の揺れ、ペンを持つ指先の動き、時折ページをめくるために傾く頬。

そして、ふいにこぼれる鼻歌。声は小さいのに、楽しげで、どこか無防備な響き。


「……」


金の瞳が細められた。

戦場でさえ読み違えたことのないその目が、いま読み切れないのは、リオの“隙だらけ”なこの時間だった。


(……森で、抱きしめたはずなんだがな)


一度、視線が伏せられる。けれど、次の瞬間にはまた顔を上げていた。

意識しすぎていることが、自分でもわかる。だが、抑えようとしても、視線がどうしても吸い寄せられてしまう。


悶々としていたがしかし――リオがふと手帳から顔を上げた。……目が合う。


「あっ」


そのひと声に、シグの身体がぴたりと硬直した。


見ていたことがバレたか。誤魔化すべきか、否か。言葉をかけるべきか、黙っているべきか。

無敵の剣士、血風のエルラント――彼が無言で一瞬、脳内で会議を開いている瞬間だった。



「っぶね、忘れてた」


そう口をついたのは、リオ。ぴく、とシグの片眉が上がる。

そうだ、卵に魔力を注ぐんだった。きっと、シグの視線もその催促の目だ、と。

手早く手帳をたたみ、卵のほうへ駆け寄る。

自作の巣の中、ぬくぬくと温まっていた卵が、待ってました、と揺れた気がした。


「よしよし、魔力やろうなぁ~」


もぞもぞとその巣の中に入り込み、膝に卵を抱える。


シグは、駆け寄ってくるリオの動きに目を細め――そしてそのまま、身を乗り出すようにして横に滑り込んだ。

卵を膝にのせたリオの背に、自然な流れで腕が回される。

背後から抱えるようにぴたりと寄り添い、胡坐(あぐら)をかいて、すとん、と落ち着いた。


「おっ?」

「……この体勢が一番安定する」


言い訳のように呟きながら、両膝でリオを包み、腕で支え、まるで巣の壁にぴたりとはまるような仕上がりになっている。

金の瞳は斜めからリオの顔を覗き見る。その視線は無言で語っていた。


――逃がさないぞ。である。


卵はというと、ふたりの間でぽこりと一度だけ揺れてみせた。あたかも、はいはい、始めてくださいな、と言いたげに。


「……魔力、流しすぎんなよ」

「おう」


リオの手に、自分の指をそっと重ねる。

魔力の流れを確認するように、そのままの距離でじっと見守る。

外はもう完全に夜。カーテンの隙間からは月明かりが静かに差し込み、部屋の温度をほんの少しだけ下げていた。


(やっぱりもうこの体勢固定なのか……)


シグに後ろから抱えられながら、リオは乾いた笑いが出た。


ふわふわと魔力を流す。

手のひらの中、卵の内側から、ゆっくりと、しかしくるりと回るような振動を感じる。


早く出ておいで、という気持ちもある。

けどもう少しこのままでもかわいいな、という気持ちもある。


しばし魔力を流す。リオは”魔法”が使えるわけではない。魔力の放出は、完全に感覚だ。

自分の手に添えられたシグの手に、わずかに力がこもる。……これが制止の合図。今日はここまで。


「……そういえば、シグはなんか魔法とか使えんの?」


ふと沸いた疑問を、そのまま背後にぶつけてみる。

思えば、こうしてリオの魔力を感知することはできるようだが、……戦闘において魔法を使っているのは見たことがない。


「……いや。使えねぇ」


間髪入れず、低い声が返る。

リオの背にかけられた力が、ほんのわずかに強まった。


「感じるだけだ。濃いか薄いか、流れの方向くらいはわかる。……だが、使う術は持ってねぇ」


背中越しに響く声は、淡々としているが、どこかそれを“自分の持たざるもの”として、冷静に受け入れている音だった。


「剣と身体と、……戦術だけで十分だった。……ずっと、……そうしてきた」

「ふぅん」


敵を知り、戦況を読み、それに適した戦術を立てる。味方がいれば、手数は増える。今まで指揮を執ってきた現場で、死者を出したことはない。……しかし、ただそれだけの日々。

だが、リオと出会ってから……。


「……けど、お前といると、考える」


言葉の続きを選ぶように、ほんの少し、間が空く。それは迷いではなく、慎重さだった。


「もし、何かひとつ使えたら。お前を、もっと安全に守れるんじゃねぇか、ってな」


それは、決して口に出さないはずだった“弱さ”の一片。


ふわりと穏やかなリオの魔力。それを感じながら、シグはほんのわずかに背中を預けたリオの温もりへと意識を向けた。


「……ま、今はこれで十分だ」


言い訳のように、けれどどこか安堵に満ちた声で、そう締めくくった。



「わはは」



背中の呟きに、リオも思わず笑う。……からかうのではなく、どこかおかしそうに。


「俺が”戦えれば”って思うのと一緒だな」

「……」


ずる、とシグの手が、昨日のようにリオの胴に回る。――また、離さない構え。


「俺も戦えれば、もうちょっとお前の役に立てたのに、な!……っ」


そう言い終える前に、ぐるんと世界が回る。シグが、リオと卵を抱えたまま、ベッドに寝転がっていた。


はっとリオが気付く。これは……またなぁなぁでこのまま寝るつもりか、と。

もうすでに、シグの腕はがっちりと固定されている。背後ではなく、今度は正面から、胸に収められるように抱き込まれた格好だ。


「……お前は、もう十分、役に立ってる」


低く、ぼそっと呟かれたその声は、今夜のどの言葉よりもまっすぐで、どこにも逃げ場がないくらい、真剣だった。

腕の中には、軽く丸まったリオの身体と、ふたりの間に収まった卵の温もり。重さはないのに、失えば取り返しのつかないものばかりが、こうして揃っている。


「……それに、戦えても、俺の役目が減るだけだろ」

「……そういうもんかぁ?」

「そういうもんだ」


金の瞳がふいに伏せられる。その口元が、ほんの少しだけリオの額に触れそうな距離だった。


「全部守るために、剣振ってるんだ。……お前まで剣を持ったら、俺がいらなくなる」


それは、冗談に聞こえるように。けれどその言葉の奥には、どこか揺るぎない本音がある。


「……だから、いるだけでいい」


囁くように重ねたその一言は、まるで“今夜はここから動くな”と、静かに命じる鎖のようだった。返事を待たず、腕の力がじわじわと増していく。

リオが抵抗すればするほど、それは“正当な防衛”として強まるだろうことは、もう火を見るより明らかだ。


「……そんなもんかぁ?……」

「……ああ、そんなもんだ」


ぐいと引き寄せられて、シグの肩口の頭をのせる格好になる。

しかしなんとも、これがまた妙におさまりがいい。

長い腕が背中を丸ごと包んでいる。すり、とさすられる。俺は卵じゃないんだけどな。と思う


「……え、もうこれ毎晩やるの?」


わずかに顔を上げると、目と鼻の先に、眠そうな金の瞳があった。


「ああ」


眠気に滲んだその声が、あまりにも即答で返ってくる。まるで、問われることすら想定済みだったかのように。

金の瞳が半ば伏せられ、焦点が合っていないようでいて、しっかりとリオだけを捉えている。その視線の奥にあるのは、理屈でも義務でもなく……欲。


「この体勢が、一番……安全だ」


何度も言うその“理屈”は、もうただの口実であることを、シグ本人も分かっていた。だが、それを否定されるとわかっていながら、諦める気もさらさらない。


「卵も……お前も、まとめて守れる」


そう言って、再びリオの頭を胸元へと落とす。すぅ、と髪に鼻先が触れた。

吸い込むように深く息をして――それだけで、安心したように、シグの体温がわずかに緩んだ。


「……寝ろ。逃げても、無駄だ」


まるで悪役のようなその口調は、優しさに沈んでいて、抗う余地はなく。

ベッドの上では、すやすやと眠る卵もまた、”いつものやつね”と言わんばかりに丸く揺れていた。




(……一番安全って言ったってさぁ……)


引き戻された肩口は、やっぱり妙におさまりがよくて……ごく自然に、眠気を誘った。


街中の、宿屋の、鍵のかかる部屋で、どこに危険が潜むというのか。

どちらかといえば捕まったら最後、逃げ出せないこの状況のほうが、危険なような気もするが。



リオの意識もまた、ゆるゆると、眠りの中に沈んでいった。






――【囚われのリオ】

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