きらきらフェネックのはじめてのともだち【冬の童話祭2026】
とある森に好奇心旺盛な、なんでも知りたがりのフェネックがいました。
フェネックはいつも、遠くから身近にいる動物たちをじーっと観察しています。
フェネックには、特技がありました。
お母さんからもらった、ハートの髪留め、それをふわふわの頭につけるときらんっ!と光り、
気に入った動物そっくりに変身できるのでした。
今日、通りがかったのは鸚鵡でした。
青緑色の羽根は、陽に照らされて輝いていました。
まるでお母さんの宝箱の中にあった宝石のよう。
そして、鸚鵡の美しい声を聴いたフェネックは、どきどきしてきました。
「もっと近くで聴いてみたいなあ……!お話しできるかな?」
フェネックは、そっとハートの髪留めをつけ、
きらりん!
たちまち瓜二つの鸚鵡に変身します。
「やあ!なにを持っているんだい?」
フェネックが鸚鵡に変身して話しかけると、本物の鸚鵡は優しく笑いました。
「これかい?これはね、朝ひろった、木の実だよ。
おひさまに当てると、ほら!」
木の実は、羽根の間で光りました。
フェネックは目を輝かせて、「すごい!」
きらきらで話しが盛り上がり、鸚鵡と友達になりました。
――いつものように、あっというまに。
しかし次の日。
他の鳥たちと話していると、鸚鵡がふと首をかしげました。
「ねえ、君……なんだか尻尾の色がちがうよ?」
ひやり――。
フェネックの特徴的な尻尾の色だけは、
どれに化けても隠しきれないままでした。
たちまち化けの皮がはがれ、フェネックは森から、ぴゅーっと逃げてしまいました。
落ち込んで歩いていると、草むらの向こうにリスがいました。
ふわふわのしっぽが、月の光を受けて
きらきら ほわん
と輝いています。
「あの……、どうしたの?」
そのままの姿で、そっと声をかけるフェネック。
すると、リスはびくっと跳ねて、もじもじしながら言いました。
「ぼ、ぼく……道に迷って、どうしていいか、わからなくて……」
「どこから来たのか覚えてる?」
「ううん、覚えてない……けど、あっちの方かなぁ?」
「それなら一緒に確かめに行こう!」
「う、うん!いいよ」
「えっ、ぼくのこと、頼りないと思わないの?きつねじゃないんだよ?」
「きみが何者でも頼りないとは思わないし、ぼくは、きみについていくよ?」
リスは、とても気弱で、フェネックはこまりました。
いつもなら、相手を手がかりにして化けたほうが話しやすいのに、何も思いつかないや。
このリスには化け技がぜんぜん通用しませんでした。
ある日、フェネックは勇気を出して言いました。
「ぼく、変身が得意だけど……
本当は、ぼくのこと……みんなにどう思われるかこわかったんだ。」
「きみがしたいことをすれば……それで、いいんだよ?」
その言葉は、フェネックの心をあたためました。
涙で瞳を潤ませながら、こう言いました。
「ぼく、このままで友達になってもいい……?もう、変身しなくていい?」
リスは恥ずかしそうに、でもフェネックの目を見つめながら答えました。
「う、うん……なりたい……!無理に変身しなくてもいいよ、したいときにすればいいさ。」
こうして、フェネックは、はじめて、
変身しなくても安心できる友達をみつけたのでした。
いつまでも星がふたりを照らしていました。




