第9話 オウゴウヌ王国側の準備(その3) ー最終段階ー
【4日目 午前11時頃】
我、ドーラが『光のドーム』に行くと、その傍らに、4歳下の妹、オリビアが立っていた。
オリビアは我に近づくと、語り掛けた。
「和泉家の敷地で、30年前繋げた場所に、
(魔法で)上空から見ると、『和泉家』と大きく書かれており、
かつ矢印があって、そこに四角い枠があります。。。
(第5話)
それが『光のドーム』に映っています。。。
おそらく、その『四角い枠を目印に出入口を作れ』と意味かと。。。」
我はうなずき、オリビアに語った。
「分った。ありがとう。」
我は微笑み、オリビアに語った。
「しきたりにより、
これより『光のドーム』には、我、ドーラ以外は入ることが許されぬ。
オリビア、そなたは自室で休んでおれ。」
オリビアは緊張の面持ちでうなずいた。
我は、一人だけ、『光のドーム』に入った。
これから、オウゴウヌ王国の王城の庭と、和泉家を結ぶ、極大魔法を行うためだ。
この極大魔法は人の力のみでは実施できず、創造神ガエリア様と共に行う必要がある。
しかし、創造神ガエリア様のお姿を見るのは畏れ多い。
よって、魔法を駆使する、我、ドーラしか『光のドーム』に入ることが許されていない。
我が、『光のドーム』に入った途端、『聖なる岩』の近くで、多くの光の粒が出現した。
そのうち、光の粒が集まり出し、人の形を作った。
そして、最終的には、一人の少女の形をなした。
身長は150cmほどで、髪はブロンドの長髪で、後ろで髪を束ねていた。
目はパッチリ、肌の色は白の少女だった。
衣服は我と同じ白い服に覆われていた。
人間で言えば、15歳くらいな感じだ。。。
その少女は笑顔で語り掛けた。
「驚いた? これが、私ガエリアの姿よ。」
思わず、我、ドーラは片膝をつき、頭を下げた。
創造神ガエリア様は、少女の笑顔で、両手を振って、我に語り掛けた。
「ヤメテ! ヤメテ! 立ちなさい!」
我は恐る恐る立ち上がった。
創造神ガエリア様は右人差し指を立て、彼女の口の前にもっていき、片目を瞑り、悪戯っぽく、我に話しかけた。
「でも、私のこの姿はナイショね。
だって、私の威厳が損なわれるもの。。。
この姿を見たものは、
今、生きている人間では、あなたを含め、たった二人だけ。。。
もう一人は、今、日本にいる、あなたの伯母、エリーゼだけよ。。。」
我は恐る恐る聞いた。
「つまり、我が国、オウゴウヌ王国では、
いや、オウゴウヌ王国のある大陸でも、
ガエリア様のお姿を見たのは、我一人ですか?」
創造神ガエリア様は、微笑み、黙ってうなずいた。
ところで、第7話で、我が3姉妹(ドーラ、シャーロット、オリビア)は、左手に『聖なる岩』を添えた。
そして、ずっと、左手は『聖なる岩』に添えたまま、右手を掲げ、魔法を放った。
これは、左手から創造神ガエリア様の大いなる力のほんの一部を受け取るためだ。
そして、その大いなる力のほんの一部は、一旦、右下腹部にある器官に一時保管し、右手から魔法が放出される。
比較的小さな魔法であれば、右下腹部のある器官の保管量で十分なため、左手を『聖なる岩』に添える必要などない。
しかし、大きな魔法だと、右下腹部のある器官の保管量では不十分なため、左を『聖なる岩』に添える必要がある。
つまり、『聖なる岩』には、創造神ガエリア様の大いなる力の一部が、蓄えられている。
『聖なる岩』の創造神ガエリア様の大いなる力の一部を、右下腹部のある器官に保管することなく、直接、魔法を放出するのだ。
実は、そんな大魔法は人体の負担がとても重い。
一方、1日目から3日目まで、我らが3姉妹は、そんな大魔法を連発したのだ。
よって、下腹部の痛みと吐き気に悩まされていたのだ。
創造神ガエリア様は笑顔で我に近づき、語り掛けた。
「これから行う魔法は、『聖なる岩』に蓄えた力の量じゃ、とても足りないの。
だから、あなたには、私から直接力を注ぐ必要があるの。
でも、それは、あなたが通常受け取る力の量、
およびあなたが通常放つ力の量とは、桁違いなの。。。
よって、あなたの肉体は、トンデモナイ負担がかかる。
わかる?」
我はうなずいた。これは、事前に母上・アン女王や、ソフィア叔母上から聞かされていたことだったから。。。
創造神ガエリア様は我の下腹部を見て、苦笑いを浮かべ、つぶやいた。
「だいぶ、右下腹部の器官が傷んでいるわね。。。
まずはそれを治してあげる。」
そう言うと、創造神ガエリア様は右の手のひらを、我の下腹部に添えた。
すると、一瞬で、右下腹部の痛み、吐き気、発熱が収まった。
我は、創造神ガエリア様の力に驚いた。
我の驚きをスルーして、創造神ガエリア様は彼女の右手で、我の左手を握った。
そして、彼女の左手を我が下腹部に添えた。
次に、創造神ガエリア様は笑顔で語り掛けた。
「これから、あなたへの負担が小さくなるように、
私はゆっくりとあなたに私の力を注ぐ。
それでも、私の力は、人間にとって大きすぎるので、
あなたの肉体を傷つけてしまう。
だから、同時にあなたの肉体を治す。
それでも、それでも、あなたの肉体への負担は大変重いわ。
ちょっとだけ我慢してね。」
我は無言でうなずいた。
創造神ガエリア様は微笑み語り掛けた。
「まず、最初に、和泉家の四角い枠と、王城の庭に、蓋を作るわ。」
我は思わず問うた。
「どうして蓋を作るのですか?」
創造神ガエリア様は苦笑いを浮かべ答えた。
「蓋を作っておかないと、次に作るトンネルがなんでも吸い込んでしまうの。。。
近づいたものは引きちぎられ、バラバラになり、吸い込まれてしまうの。。。
だから、蓋をするの。。。
でも、蓋に触れちゃだめよ。
蓋の中に入って良いのは、最終段階の加護魔法を受けた者と、
その者が手を握った相手だけ。。。」
我はうなずき答えた。
「『アーチ』の中に入って良いのは、
加護魔法を受けた者だけと言うのは聞いています。」
創造神ガエリア様は微笑み、語り掛けた。
「そう、まず、『ホール・キャップ』と唱えなさい。」
我は、『光のドーム』に映った、和泉家の四角い枠に向け、右手を掲げ、「ホール・キャップ」と、唱えた。
すると、和泉家の四角い枠と、王城の庭に、『光のアーチ』が出現した。
(第5話)
創造神ガエリア様は表情を変えた。
真剣な表情になり、語り掛けた。
「ここからが本番よ。
和泉家の四角い枠と、王城の庭のアーチを結ぶため、
『コネクト・アナザ・バース』と唱えなさい。」
我は、『光のドーム』に映った、和泉家の四角い枠に向け、右手を掲げ、「コネクト・アナザ・バース」と、唱えた。
一瞬にして、今まで体験したことのないような魔法が右手から放出された。
右手が焼けるように熱い。右手が破裂しそうに痛い。
いや、右手も右腕も右肩も焼けるように熱い。
右手も右腕も右肩も破裂しそうに痛い。
激痛だ。
そこから、創造神ガエリア様が左手から、彼女の大いなる力を注いだ。
今まで体験したことのないような力が、我が左手に注ぎ込まれた。
左手が焼けるように痛い。左手が破裂しそうに痛い。
左手も左腕も左肩も焼けるように熱い。
左手も左腕も左肩も破裂しそうに痛い。
激痛だ。
中間地点にある、右下腹部がとても痛い。激痛だ。
しかも、とても熱い。
そんな我の身体を、創造神ガエリア様が猛スピードで治す。
でも、どんなに創造神ガエリア様が猛スピードで我の身体を治しても、追いつかなかった。
痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!
熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い!
おまけに吐き気もしてきた。
気持ち悪い! 気持ち悪い! 気持ち悪い! 気持ち悪い!
しまいに我は我慢できず、「うげ~~~!」という叫び声と共に、嘔吐した。
すると、創造神ガエリア様が声をかけた。
「我慢しなさい!
ほら!
もう少しで、繋がるわ!」
そう、「コネクト・アナザ・バース」と唱えると、王城の庭の『光のアーチ』から、和泉家の四角い枠の『光アーチ』に向かって、少しずつ、『光のトンネル』が延びて行った。
あと3m。あと2m。あと1m。 もう少しで繋がる!
我は痛みと吐き気を我慢しながら、魔力を放出し続けた。
創造神ガエリア様は大いなる力を我に注ぎながら、我の体を治していった。
あと少し、あと少し、あと少し、あと少し、あと少し、、、
ついに、和泉家の四角い枠の『光のアーチ』に繋がった!
和泉家と王城が『光のトンネル』で繋がった!
『光のトンネル』が完成すると、創造神ガエリア様は力を注ぐのをやめ、我に語り掛けた。
「よく頑張ったわね。。。」
しかし、今度は、我の右下腹部に今まで体験したことのないような痛みが来た。
昨日も右下腹部が痛かったが、それとは比較にならないくらい。
痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!
いや、それだけじゃない、右下腹部が焼けるように熱いのだ。
右下腹部だけでじゃなく、全身が熱い。
熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い!
全身が燃えそうだ!
そして、もう吐き気を我慢できず、再び、「うげ~~~!」という叫び声と共に、嘔吐した。
我は思わず、その場に倒れ込んだ。
創造神ガエリア様は優しく語り掛けた。
「もう、あなたの魔法器官はダメね。
私が取り除いてあげる。」
そう言うと、倒れ込んだ我の背中に右手を添えた。
すると、我の右下腹部が軽くなった。そして、痛みが消えた。
そして、右下腹部の熱さもなくなった。
でも、このとき、我は魔法を操る能力を失った。
ただ、この時は、疲労から意識が遠のいた。
創造神ガエリア様は、再び、多くの光の粒に分かれ、消えた。
そして消える間際にこう言った。
「さあ、最終段階よ。」
我はその言葉を聞くと、そのまま意識を失った。
気がつくと、我は自分の部屋のベットに寝かされていた。
ベッドの傍らには、母上、女王アンが座っていた。
母上、女王アンは、我が目を覚ましたことに気がつくと、優しく語り掛けた。
「よく頑張ったな。ドーラ。
『光のアーチ』ができてすぐ、『光のドーム』が消えた。
そして、そこに、お前が倒れていた。
慌てて、衛生兵にお前をここに運んでもらった。」
すぐに、4歳下の妹、オリビアがベッドに駆け寄り、我に話しかけた。
「姉上、大丈夫ですか?」
我は微笑み、「大丈夫だ」と返した。
2歳下の妹、シャーロットもベットに近づき、微笑み、我に話しかけた。
「最終段階を行いますが、、、姉上、大丈夫ですか?」
我は微笑み、「大丈夫だ。シャーロット、そなたの方が大丈夫か?」と返した。
シャーロットは微笑み、「大丈夫です。休養は十分です。」と返した。
我は聖女としての白いドレスを脱ぎ、和泉家に行くため、白いイブニングドレスを着て、白いハイヒールを履いた。
この日のためだけに、王家が我に用意してくれたドレスだった。
我と2歳下の妹シャーロットは、『光のアーチ』に向かって歩いて行った。
あ、シャーロットは聖女としての白いドレスのままだ。
シャーロットはこれから大魔法を行うため、ヒール魔法をかけてもらい、ポーションを飲んだ。
我も、魔法器官を失った後は気分は良くなっていたが、念のため、ヒール魔法をかけてもらい、ポーションを飲んだ。
『光アーチ』は『光のドーム』と同様、兵士10名が周りを固めていた。
『光のアーチ』はこれから1年間、王城の庭と和泉家の四角い枠の両方に、出現し続ける。
しかし、うっかり触れば、そのものはバラバラに砕け散る。
それを防ぐため、『光のアーチ』に近づかないよう、周りを固めているのだ。
『光のドーム』の近くにあった天幕はそのままに、天幕の下には、母上・アン、我が父・レオ、我が妹・オリビア、そしてデービス夫妻が、折り畳みの椅子に座っていた。
シャーロットは、『光のドーム』の近くにある、『聖なる岩』に左手を添えると、私に右手を向け、「ビッグフィルム」と叫んだ。
すると、我は、半径10mほどの『光の保護膜』に包まれた。
この『光の保護膜』に包まれた者しか、王城の庭と和泉家に設置された出入り口である『光のアーチ』を通ることができない。
かつ、『光の保護膜』に包まれた者しか、王城の庭と和泉家の間にある、『光のトンネル』を通ることができない。
言い換えれば、『光の保護膜』に包まれた者しか、王城と和泉家を行き来することができない。
母上、女王アンは、我に近寄り、一つの大きなバックを手渡した。
「ドーラ、このバックを和泉家に手渡しておくれ。
このバックの中には、オウゴウヌ王国関係者から、
和泉家への手紙やビデオメッセージが入っておる。」
我はそのバックを受け取り、右肩に掛けた。
そして母上、女王アンに「分りました。」と話した。
母上、女王アンは、『光アーチ』を指さし、我に語った。
「さあ、これから、和泉家に行って、そなたの許婿を連れてくるのじゃ。」
2歳下のシャーロットも微笑み、我に語った。
「ご存じと思いますが、この『光の保護膜』は1時間が限度です。
1時間以内に連れ帰ってください。」
我は苦笑いを浮かべて返した。
「分っている。」
そして、我は笑顔で、母上、女王アンに手を振り、「それでは行ってきます。」と告げた。
我は『光のアーチ』に入り、『光のトンネル』を歩いた。
『光のトンネル』の長さは10mくらいであろうか。
直径5mほどの半円型のアーチで、円弧の部分は柔らかな光を発し、水平な通路は少し薄暗い。
つまり、明るさで歩く場所がわかるようになっている。
ところで、『光の保護膜』は半径10mほどで、『光のトンネル』より断然大きい。
我が『光のトンネル』に入れば、自動的に『光の保護膜』はイコール、『光のトンネル』になる。
つまり、自動収縮するのだ。
しかも、我に手をつないでいれば、その者は『光の保護膜』に包まれ、安全に『光のトンネル』を行き来できる。
これは我が国、オウゴウヌ王国を1年間を過ごす、和泉家の男性が荷物を運び込むことに配慮したものだ。
『光のトンネル』は10mほどなので、すぐに、和泉家側の出口に出た。
出口を出ると、4人の人間が待っていた。
1人は老人の男性で90歳くらいだろうか?
たぶん、60年前に我が国に来られた、賢治様なのだろう。
では、賢治様と一緒に日本に行かれたマーガレット大伯母上はどうしたのだろうか?
たぶん。。。
次の2人の男女は初老で、60歳弱ってところだ。
女性の方は、なんとなく、母上、女王アンと、ソフィア叔母上に似ている。
たぶん、30年前に日本に行かれた、エリーゼ伯母上だろう。
だが、母上、女王アンより年上の筈だが、母上より断然若く見える。。。
多分、60歳弱の男性の方は、30年前に我が国に来られた普一様だろう。。。
次にタキシードを着た30歳前後の男性は、、、
きっと、彼が我が許婿殿なのだろう!
我は思わず小さく笑った。
そして思った、『やっと許婿殿に逢えた!』と。。。
我は4人の方の1m手前まで進み、足を止め、頭を下げた。
そして頭を上げ、微笑み、我を名乗った。
「和泉家の皆様、お初にお目にかかります。
我はオウゴウヌ王国、女王アンが第一王女、名はドーラと申します。」
(第5話)
次話は2026/3/3 6時に更新予定です。




