表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/55

第54話 練兵場にて(その10) ー息子、父に似るー

(前話からの続き)


僕は、「届いた。。。」とつぶやいた。

 

そして、ホッとして、しばらく放心していた。

 

 

 

数十秒経っただろうか、僕に向けて「修司殿!」と罵る声が聞こえた。

 

その声の方向に顔を向けると、ダグ騎兵連隊長が上半身はシャツ、下半身はズボンをはいた姿のまま、僕を厳しい表情で睨みつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は僕を大声で罵った。

 

「修司殿!

 

 貴殿にはドーラ分隊に対する指揮権はない!

 

 貴殿は何の権限でドーラ分隊に指示したのか!?」

 

 

 

確かに僕は軍人ではない。

 

軍人でもない僕が、ドーラ分隊メンバに直接指示したのは間違いだった。

 

僕は下を向いて謝罪した。

 

「申し訳ありません。。。

 

 僕には権限はありませんでした。。。」

 

 

 

でも、、、どうしたら良かったのだろう。。。

 

あのまま、翼竜ソックリの巨大生物が、ルイス少尉に襲い掛かる様子を、ただ黙って見ていればよかったのだろうか?

 

 

 

だが、それを問おうとする前に、ダグ騎兵連隊長は僕を罵った。

 

「修司殿!

 

 貴殿の行った行為は軍の規律を乱す行為である!

 

 今後は控えていただきたい!」

 

 

 

 

 

続いてダグ騎兵連隊長は、視線をドーラ分隊メンバに向け、大声で罵った。

 

「次に、ドーラ分隊!

 

 貴様らは指揮権のない修司殿の指示を、どうして従ったのか!?」

 

 

 

次にフレッド副長、ケント准尉、ローレンス曹長を睨み、大声で罵った。

 

「特に、フレッド、ケント、ローレンス!

 

 貴様らは、なぜ修司殿の指示に従い、魔法を放ったのか!?」

 

 

 

 

 

最後にダグ騎兵連隊長はドーラを睨み、大声で罵った。

 

「ドーラ中尉!

 

 分隊の指揮命令系統は、一体どうなっておるのか!?」

 

 

 

ドーラは慌てて、ダグ騎兵連隊長の1m前に駆け寄り、直立し、頭を下げ、大声で返した。

 

「ダグ・ハミルトン騎兵連隊長閣下!

 

 大変申し訳ありません!

 

 私の指導不足であります!」

 

 

 

ドーラは頭を上げると、フレッド副長、ケント准尉、ローレンス曹長に駆け寄り、3人をグーパンチで殴った。

 

「私の指示なしで魔法を駆使するとは何事か!」

 

 

と叫びながら。。。

 

 

 

 

 

最後にドーラは僕に駆け寄り、僕をグーパンチで殴った。

 

そして、


「修司殿! 私の指揮命令権を侵すな!」

 

 

と叫んだ。。。

 

 

 

ま、母・エリーゼから何度もグーパンチで殴られているから(第1話)、慣れっこなんだけどね。。。

 

 

 

あ、、、

 

母・エリーゼが、父・普一、僕、弟、妹をグーパンチで何度も殴るのは(第1話)、こういうことね。。。

 

 

 

母・エリーゼも30年前は軍隊に所属して、分隊長を担っており、こんな風にグーパンチで部下を殴っていたのだろう。。。

 

 

 

それにしても、、、

 

ドーラの方が若い分、グーパンチの威力は、、、


母・エリーゼより高かったよ!

 

つまり、滅茶苦茶痛かった!!

 

 

 

 

 

ドーラは僕をグーパンチで殴った後、僕の頭を抑えた。

 

そして、一緒にダグ騎兵連隊長に頭を下げた。

 

「ダグ・ハミルトン騎兵連隊長閣下!

 

 大変申し訳ありませんでした!」

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は不機嫌そうに返した。

 

「今日午後、予定していたオフロードバイクの訓練は中止だ!

 

 ドーラ分隊には、夕方まで官舎での謹慎を命ずる!」

 

 

 

ドーラは頭を下げながら、「は!」と返した。

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は上空を見上げ、ドーラに語った。

 

「ルイス少尉はかなり離れた場所に降下しそうだ。

 

 収容しに行け!」

 

 

 

ドーラはなおも頭を下げながら、「は!」と返した。

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は、第二騎兵大隊長に顔を向けると、なおも不機嫌そうに指示した。

 

「第二騎兵大隊長!

 

 練兵場に落下した巨大生物の死骸を解体した上で、

 地中に埋めるように!」

 

 

 

第二騎兵大隊長は頭を下げ、「は!」と返した。

 

第二騎兵大隊長は頭を上げると、その場にいた第二騎兵大隊の100名近い隊員に大声で指示した。

 

「第二騎兵大隊は巨大生物の死骸の処理を行う!

 

 まずは練兵場の倉庫に行って、道具を取りに行くぞ!

 

 副長!

 

 この場にいない残りの400名の隊員も動員するから、呼んでくるように!」

 

 

 

第二騎兵大隊の100名は直立し「は!」と叫ぶと、一斉に倉庫に走って行った。

 

 

 

 

 

最後に、ダグ騎兵連隊長はレオ近衛師団長に頭を下げ、大声で語った。

 

「近衛師団長閣下が指示されたとおり、

 自分はこれから溜まった書類を処理してまいります!」

 (第52話)

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は頭を上げると、練兵場の官舎へ歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長のそばにいた、ウオーレン魔法兵連隊長は、ダグ騎兵連隊長が脱ぎ捨てた軍服の上着を拾い、ダグ騎兵連隊長の後を追った。

 

そして、ダグ騎兵連隊長の両肩に上着を掛けると、彼の左脇の下に、自分の肩を乗せて、ダグ騎兵連隊長と一緒に歩き出した。


つまり、ウオーレン魔法連隊長は、ダグ騎兵連隊長を左脇を担いで、一緒に歩き出した。

 



ウオーレン魔法兵連隊長はダグ騎兵連隊長を担ぎながら、ダグ騎兵連隊長に顔を向け、あきれて語り掛けた。

 

「カッコつけやがって。。。

 

 身体強化魔法(第53話)の反動で、ロクに歩けないくせに。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長もウオーレン魔法兵連隊長に顔を向け、苦笑いを浮かべて、答えた。

 

「そう言うな。。。

 

 娘(=エイミー少尉)の前でみっともない姿は見せられね~。」

 

 

 

 

 

レオ近衛師団長もダグ騎兵連隊長の後を追った。

 

そしてウオーレン魔法兵連隊長とは反対側、つまりダグ騎兵連隊長の右脇の下に、自分の肩を乗せて、ダグ騎兵連隊長と一緒に歩き出した。

 

そしてレオ近衛師団長もダグ騎兵連隊長を担ぎながら、ダグ騎兵連隊長に顔を向け、あきれて語り掛けた。

 

「だったら、、、

 

 書類作業をさぼるなよ。。。

 

 君の娘のエイミー少尉は、頭を抱えてあきれていたぞ。。。」

 (第51話)

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は正面を向き歩きながら、苦笑いを浮かべたまま答えた。

 

「それとこれとは別だ。」

 

 

 

レオ近衛師団長は正面を向き、歩きながら、苦笑いを浮かべ、ため息をついた。

 

 

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長はダグ騎兵連隊長の左脇を担いだまま、正面を向いて語る。

 

「でも、ダグ。。。

 

 修司殿の判断は(第53話)、やむを得ないぜ。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は両脇を抱えられながら、正面を向いて歩き、ため息をついて答えた。

 

「わかっているさ。。。

 

 でも、誰かが、、、

  

 言わなくちゃならね~。」

 

 

 

 

 

レオ近衛師団長は、ダグ騎兵連隊長の右わきを担いだまま、ウオーレン魔法兵連隊長に顔を向け、苦笑いを浮かべて語る。

 

「ダグは、僕とクラリスを慮って、嫌な役を担ってくれたんだ。。。」

 

 

 

そして、レオ近衛師団長は、ダグ騎兵連隊長に顔を向け、申し訳なさそうに語った。

 

「ダグ、、、すまないな。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は正面を向きながら、鼻先で笑った。

 

そしてレオ近衛師団長に顔を向けて、苦笑いを浮かべて答えた。

 

「レオ、、、

 

 やっぱり、あんたが俺の上官でよかったぜ。。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長は、レオ近衛師団長とウオーレン魔法兵連隊長に両脇を抱えられながら、官舎へ歩いて行った。

 

そしてその途中、ダグ騎兵連隊長は正面を向き、歩きながら、ウオーレン魔法兵連隊長に語った。

 

「ウオーレン、、、

 

 修司殿が生み出した、フレッド、ケント、ローレンスの合体魔法だが、、、」

 (第53話)

 

 

 

ウオーレン魔法兵連隊長は、ダグ騎兵連隊長の左脇を抱え、正面を向き、歩きながら、苦笑いを浮かべて答えた。

 

「ああ、、、


 とっさに、大魔法を修司殿は生み出した。。。

 

 3人それぞれが放った魔法はそれほどの大魔法じゃない。。。

  

 だから、あれなら、、、

  

 何発も打てる。。。」

 

 

 

ダグ騎兵連隊長はなおも歩きながら、正面を向き、右わきを抱えていたレオ近衛師団長に語り掛けた。

 

「なあ、レオ、、、

 

 血は争えねーなー。。。

  

 修司殿は普一殿にソックリだ。。。」

 

 

 

レオ近衛師団長は、正面を向き、歩きながら、苦笑いを浮かべて答えた。

 

「ああ、、、

 

 どうやら、異世界から来る人は、、、

  

 我々が思いもつかないことを思いつくらしい。。。」

 

 

 

そうして3人は官舎の中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダグ騎兵連隊長が立ち去ると、エイミー少尉がタンクトップ姿のまま、力なく座り込んだ。

 

ドーラはエイミー少尉に近づき、優しく話しかけた。

 

「エイミー、、、身体強化魔法(第53話)の反動で、、、

 

 力が入らないのか?」

 

 

 

エイミー少尉は力なくうなずいた。

 

後で聞いたんだけど、身体強化魔法にはリスクがあり、身体強化魔法が切れると体に力が入らなくなるんだって。。。

 

ダグ騎兵連隊長は、娘のエイミー少尉の前ではカッコつけたけど、本当は体に力が入らず、まともに歩ける状態ではなかったんだって。。。

 

 

 

ドーラはエイミー少尉の軍服を拾うと、タンクトップ姿のエイミー少尉の両肩に掛けた。

 

エイミー少尉は座り込みながら、軍服を着た。

 

 

 

ドーラはケイシー上等兵に顔を向けると、優しく話しかけた。

 

「ケイシー、、、エイミーにヒールとポーションを。。。」

 

 

 

ケイシー上等兵は「は!」と言うと、エイミー少尉に駆け寄り、ヒール魔法をかけ、エイミー少尉にポーションを飲ませた。

 

でも、、、しばらくはエイミー少尉は動けなかった。

 

 

 

 

 

ケイシー上等兵がエイミー少尉の治療を行っている間、ドーラはずっと上空を見て、ルイス少尉の様子を見ていた。

 

ルイス少尉の着地を確認すると、騎乗し、着地地点にむけて馬を走らせた。

 

そう、、、ルイス少尉を収容するために。。。

 

 

 

 

 

ドーラはルイス少尉を乗せて、帰ってきた。




ルイス少尉は下馬すると、、、




と言っても、、、


ルイス少尉はショックでまともに動ける状態ではなく、、、


身体強化魔法で動けなくなっているエイミー少尉以外の分隊メンバに、下馬を手伝ってもらい、、、


その場に座り込んだ。。。




ルイス少尉は座り込むと、、、


下を向き、、、


涙を流しながら、、、


両腕を固く結び、、、


ガタガタと震えていた。。。


口からはガチガチと歯をかむ音がした。。。




ルイス少尉が使っていたパラシュートは巨大生物に何度もつつかれたせいで、ボロボロだった。


よく持ちこたえたと思うくらい。。。

 

 

 

30年前の父・普一からの土産であった、パラシュートは大幅に修復するか、ゼロから新たに作り直さない限り、使い物にならないだろう。。。

 

 

 

 

 

否!

 

パラシュートのことなんか、どうでもよい!!




ルイス少尉はどんな恐怖を味わったのだろう?!

 

 

 

空中では逃げ場や隠れる場所はない!

 

そんな場所で巨大生物に襲われた恐怖は、どれだけだっただろう?!

 

 

 

しかも、、、

 

いつパラシュートが破れて、地表に叩きつけられるかもしれない、、、

 

そんな恐怖も味わったのだ!

 

 

 

そう、ルイス少尉は、その2つの恐怖の中にいたのだ!

 

ルイス少尉がガタガタ震えている様子は、その恐怖を物語っていた。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイス少尉の母親であるクラリス参謀総長は、ルイス少尉に近寄った。

 

そのルイス少尉がガタガタと震え、座り込んでいる様子を、心配そうに覗き込んだ。




そして、クラリス参謀長は、突然、僕に振り向くと、僕に駆け寄った!

 

彼女は大粒の涙を流し、僕に頭を下げ、叫んだ!

 

「修司殿!

 

 娘(=ルイス少尉)を救ってくれてありがとう!!

 

 あなたの判断は間違っていないの!!!」

 

 

 

僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

(次話に続く)


次話は2026/4/1 0時に更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ