第5話 留学準備完了、迎えがやってきた!
3月末、ようやく土産の準備は完了した。
しかし、、、他の準備は全くしていなかった!
だって、オウゴウヌ王国って外国でしょ?
だったら、ビザとかパスポートがいるじゃない?
まあ、パスポートは、博士号を取得する過程で、何度か海外で学会発表しているから持っているけど。。。
パスポートは有効期限内なので更新する必要はないけど。。。
だけど、、、あれだけ大量の土産を運ぶとなると、船で行くんだろうけど、、、、
乗船券は確保していない!
いや! そもそも、オウゴウヌ王国行きの船なんてあるの?
仮にオウゴウヌ王国に着いたとしても、オウゴウヌ王国に日本の紙幣や貨幣は使えないだろう。
だったら、換金だって必要だ。
さっき言ったように、博士号を取得する過程で、何度か海外で学会発表しているから、クレジットカードはある。
ただ、オウゴウヌ王国で、そもそもクレジットカードが使えるのだろうか?
そもそも、オウゴウヌ王国の言語って何?
日本語や英語以外は話せないよ。。。俺。。。
その英語も片言しか話せないけど。。。
しかも。。。どうもオウゴウヌ王国ではスマホは使えないらしい。。。
なので、スマホの自動翻訳機能とか、決済機能は期待できない。。。
ま、スマホでの録音とか、カメラとかは使えるそうだけど。。。
話を戻すと、そんな準備が全くしてなかったんだ。。。
ま、スーツケースに、着替えとか、背広とかは準備したけど。。。
あ、、、喪服も準備した。。。
この理由は数話後に話すことになるけど。。。
心配になって、僕(=修司)は父(=普一)に問うたんだ。
「ねえ、オウゴウヌ王国へのビザはどうするの?
それに飛行機や船の手配はどうするの?
向こうで暮らすお金はどうするの?」
すると、父(=普一)は笑顔で答えた。
「あー、ビザは不要。
というか、そもそも日本に、ビザを発給できる、
オウゴウヌ王国の大使館とか領事館なんてないし。。。
パスポートも不要。
飛行機や船の手配も不要だよ。
だって、オウゴウヌ王国から迎えに来るから。。。
向こうで暮らすお金は、必要な時にオウゴウヌ王国が立て替えてくれるから、
心配ない!
あ、それから、向こう(=オウゴウヌ王国)では、
クレジットカードは使えないから、我が家に置いておきな!」
僕は頭を抱えた。
『大使館や領事館もないのに、
どうやってオウゴウヌ王国の人が、我が国に迎えに来れる訳!?』
もう、『頭がおかしくなりそう!』
父(=普一)は笑顔で語り掛けた。
「ははは! まあ、あまり考え過ぎるな!
頭おかしくなるぞ~♪」
僕(=修司)は思わず、父(=普一)を罵った。
「とっくにおかしくなっているよ!」
僕(=昇司)はため息をついて、気を取り直し、再度問うた。
「はー、、、父さん、もう一つ教えて。。。
オウゴウヌ王国の言語は何?
俺、日本語と英語しかしゃべれないよ。。。」
すると、父(=普一)は笑顔で答えた。
「あー、、、日本語が公用語になっているから、、、
日本語で過ごせるから心配するな。。。」
日本語が公用語になっている国なんて、聞いたことが無いんですけど。。。
僕(=修司)は再び、頭を抱えた。。。
ところで、和泉家は数百坪の広い敷地があるが(第4話)、庭はほとんどない。
正確には、家屋と倉庫以外のスペースはかなりあるが、そのスペースに庭木とか芝生がほとんどない。
第4話で述べた通り、我が家の敷地は高い塀で囲まれている。
そして、敷地の南側に家族の住む家屋があり、北側に倉庫がある。
つまり、家屋と倉庫が正対している。
家屋と倉庫の間はコンクリートで固められている。
そして、家屋と倉庫の真ん中より、やや家屋よりに、高さ3m、幅6m、奥行1mの鉄筋コンクリート製の四角い枠がある。
本当に『枠』で、単なる吹き抜けである。
これも、家屋を建て直したとき(第4話)に設置した。
とても不格好な、『訳の分からんモニュメント』である。
ただ、どうも、倉庫と、この『四角い枠』はセットなようだ。
というのも、倉庫には車一台が十分通れるくらい、とても大きなシャッターがある。
そのシャッターからコンクリートの上をまっすぐ進むと、この『四角い枠』に行けるようになっているから。。。
しかも、『四角い枠』と家屋挟んで、これまたコンクリートで3つのモニュメントがあるんだ。
上から見ると『和泉家』と大きく書かれている。
そして、 倉庫と『四角い枠』の間のコンクリートには、上から見ると矢印の形で削られたマークがあるんだ。
その矢印は『四角い枠』を指している。
ところで、父・普一がオウゴウヌ王国に行った30年前も、祖父・賢治が行った60年前も、4月1日にオウゴウヌ王国から迎えが来たそうだ。
しかし、僕の場合は3月1日に、母(=エリーゼ)曰く、
「創造神ガエリア様が私の枕元に立ち、
今回はオウゴウヌ王国側の都合で、
迎えに来るのは4月10日になる。」
とのお告げがあったそうだ。
父(=普一)も祖父(=賢治)も母(=エリーゼ)も、このお告げには首を傾げた。
特に、母(=エリーゼ)は戸惑った。
「オウゴウヌ王国の都合で、遅らせることはない。
創造神ガエリア様の合図で、
オウゴウヌ王国から日本へ迎えに行くことになっているから。。。」
一方、この日程変更は、出発に立ち会う堤代議士・前橋弁護士・高畑税理士に、を父(=普一)を介して伝えた。
3人とも、「その日は予定を空ける」と返事を頂いたそうだ。
和泉家には大きな和風の門がある。門の脇にインターフォンがあり、来客者はそのインターフォンを鳴らす。
インターフォンが鳴れば、門に設置されたカメラから、その人物を確認する仕組みとなっている。
僕(=修司)は、てっきり、オウゴウヌ王国から僕を迎えに来る人は、『門から来る』と思っていたんだ。
4月10日までは。。。
4月10日の午前中、僕(=修司)は僕の部屋で、ネットを見ながら、漫然と、迎えに来る人が待っていた。
だが、門からインターフォンは鳴らなかった。
正午過ぎ、僕はダイニングで、家族(父・母・祖父・弟・妹)と叔父と叔母と、昼食を食していた。
ま、昼食と言っても、デリバリのハンバーガーだったが。。。
父(=普一)と母(=エリーゼ)と祖父(=賢治)は、ダイニングから、家屋と倉庫の間にある、『四角い枠』をずっと見ていた。
突然、祖父(=賢治)は、『四角い枠』を指さし、「来た~!」と叫んだ。
何事かと思い、『四角い枠』を見た。
すると、『四角い枠』の下に、直径5mで半円の形をした、『光のアーチ』が浮かび上がっていた。
『光のアーチ』と言っても、眩しいわけではなく、と言って薄暗いわけでもなく、柔らかな光を放つ、光のアーチだった。
光の輪の幅は10cmくらいだろうか。。。
その『光のアーチ』は内側は、つまり光の輪の内側は、まるで一枚の鏡のように、全ての物を反射して映っていた。
驚いた僕(=修司)と弟(=幸一)と妹(=倫子)は、家屋から出て、『四角い枠』に近づいた。
しかし、「触るな!」と大きな声が響いた。
振り返ると、母、エリーゼが真剣な表情で、僕(=修司)と弟(=幸一)と妹(=倫子)を見つめていた。
そして叫んだ。
「下手にそのアーチに触れば、身が粉々になるぞ!」
父(=普一)は真剣な表情で、僕(=修司)と弟(=幸一)と妹(=倫子)に語った。
「あと数時間後に、オウゴウヌ王国から迎えに来る。
それまでに準備するぞ。」
そして、父(=普一)は、脇に立っていた叔父(=将司)と叔母(=智子)に顔を向けた。
叔父(=将司)と叔母(=智子)は黙ってうなずいた。
それからは留学準備の最後の作業だった。
僕(=修司)と父(=普一)は倉庫から10台以上の軽トラと1台の7人乗りワンボックスカーを出した。
そして、その荷台に何が乗っているかを確認し、目録通りにあることを確認した。
叔父(=将司)は寿司を買いに行った。回転寿司店ではなく、高級寿司店だ。
しかも数桶買ってきた。もちろん、前日までに予約してあり、受け取るだけだ。
『桶は返却不能』ってことで、前もって、桶ごと買うことを了承してもらっている。
ちなみにこれは、叔父(=将司)のポケットマネーだ。
叔母(=智子)は、自らが経営している農業法人の畑から、採れたての野菜を、軽トラの荷台にいっぱい乗せて戻ってきた。
実は、今朝、収獲済なのだが。
母(=エリーゼ)曰く、
「日本産の野菜は、オウゴウヌ王国産の野菜とは一味違う!」
とのことだ。
ちなみにこれも、叔母(=智子)のサービスだ。
実は軽トラもろとも、オウゴウヌ王国に持っていく。
弟(=幸一)と妹(=倫子)は、百貨店のデパ地下に行って、新鮮でブランド名のある魚介類と、高級スイーツや高級果物を大量に買ってきた。
これも前日までに予約してあって、受け取るだけであったが。。。
え? 肉とか酒類がないって?
心配いらない。
すでに牛、豚、羊、鶏、鴨に至る肉は数日前から昨日にかけて購入済だ。しかもブランド肉ばかりだ。
軽トラの荷台に搭載済みだ。
しかも、軽トラは保冷車として改造済で、保冷庫の中にある。
この保冷車に改造された軽トラも、オウゴウヌ王家への土産である。
もちろん、高級酒類も購入済で、軽トラに荷台に搭載済みである。
高級酒類が積まれた軽トラも、オウゴウヌ王家への土産である。
ただ、こう言った飲み食いに関する物は、『経費として補填されない』。
あ、さすがに軽トラ本体や、軽トラの改造費は補填されるけど。。。
あくまで『経費として補填されるもの』は、オウゴウヌ王国にとって必要とされるものだけだ。(第3話)
つまり、『飲み食いに関する物は和泉家の負担』だ。
じゃあ、
『なぜ、こんな飲み食いに関するものまで、土産に準備したか?』
って言うと、いくつか理由がある。
1つは、今回は精密計測機器を含め、『経費を補填されるもの』を土産を持っていくことで、オウゴウヌ王国の発展に寄与していることを、オウゴウヌ王国の内部にアピールするためだ。
と言うのも、母(=エリーゼ)曰く、
「日本から人が来ることに反対意見を持つ人もオウゴウヌ王国内部にはある。」
とのことだ。
もう1つは、第3話で祖父・賢治が言ったとおり、
「オウゴウヌ王国に30年に1度、行くことにより、
和泉家は多くの利益を得ており、その利益を少しでも還元したい。」
ってことがある。
実際、『和泉家はバカツキとタタリの家』として、とても裕福な家だ。(第1話)
その感謝の証として、『経費で補填されるもの』だけでなく、『和泉家の完全負担』だってしなくちゃいけないって訳。。。
最後に、これが最大の理由で、叔父(=将司)と叔母(=智子)も関わる理由なのだが、『オウゴウヌ王国に頼みたいことがある』からだ。
これについては、数話後に話すが、第3話の第4話で叔父(=将司)曰く「大切な役割」と、今話で話した通り、僕が喪服を持っていくことに関連する。
こうやって、作業をやっている間に、連絡を受けた、堤代議士・前橋弁護士・高畑税理士も、我が家にやってきた。
それぞれ、息子と娘(堤典弘、前橋涼子、高畑一樹)も連れてきた。
第4話で紹介したとおり、堤典弘氏は議員秘書だが、前橋涼子さんも高畑一樹さんも、それぞれ弁護士・税理士の資格をとり、親の後を継ぐ予定だ。
あ、堤代議士は、和泉家のある市長・海原智氏も連れてきた。
これには驚いた。
父(=普一)との確認作業を終えると、母からタキシードを着るよう命じられた。
タキシードを着て、『光のアーチ』の近くに行った。
『光のアーチ』は、家屋と倉庫の間に出現したわけだが、父(=普一)の指示で、僕(=修司)は『光のアーチ』の倉庫側に立った。
『光のアーチ』から2mほど離れて、倉庫側の位置に立った。
ちなみに、父(=普一)も母(=エリーゼ)も祖父(=賢治)も『光のアーチ』の倉庫側に立った。
その他の者(弟、妹、叔父、叔母、堤代議士親子、前橋弁護士親子、高畑税理士親子、海原市長)は、光のアーチから10mほど、横に立っていた。
最後の準備が完了するのに、『光のアーチ』が出現してから、2時間が経過していた。
そして、僕(=修司)が『光のアーチ』の前にタキシードを着て、30分ほど待っていた。
やきもきしていると、まるで一枚の鏡の様であった『光のアーチ』の内側が、揺らぎ始めた。
その揺らぎはだんだん大きくなり、徐々に膨らんできた。
その膨らみの中心付近から、『弱い光の膜に包まれた一人の女性』が出てきた。
その女性が出てくると、『光のアーチ』の内側は元に戻った。
そう、『光のアーチ』の内側は、一枚の鏡のように戻った。
弱い光の膜に包まれた女性は、和泉家の風貌と同じで、髪はブロンド、瞳は青でパッチリ目、肌は白の美しい女性だった。
身長は175cm位だろうか、髪型はショートヘアで横分けだった。年齢は25歳くらいだろうか。
小学生の頃、ビデオで見せられた、若いころの母(第2話)に似ている。
そのブロンド女性は白いイブニングドレスを着て、白いハイヒールを履いていた。
そして、肩に大きなカバンを掛けていた。
その女性はニコリと笑うと、僕(=修司)、父(=普一)、母(=エリーゼ)、祖父(=賢治)に向かって歩いてきた。
僕達から約1mくらいの距離まで近づくと、足を止め、恭しく頭を下げた。
そして頭を上げると、微笑み、語り掛けた。
「和泉家の皆様、お初にお目にかかります。
我はオウゴウヌ王国、女王アンが第一王女、名はドーラと申します。」
次話は2026/3/2 6時に更新予定です。




