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第48話 練兵場にて(その4) ー飛行魔法とドローンー

(前話からの続き)

 

 

 

無線機が好評だった前話(第47話)と同様、ドローンもドーラさんの分隊メンバには好評だった。

 

 

 

特に後方支援兵出身のフレッド副長やケイシー上等兵には好評だった。

 

 

 

ああ、後方支援兵とは、第33話で述べたように、兵站とか工兵とか衛生兵を担当する。

 

このうち、衛生兵は現場の兵士が負傷した際に必要となるので、歩兵、魔法兵、騎兵の各分隊に一人ずつ臨時派遣される。

 

つまり、ケイシー上等兵は本来は後方支援連隊所属であるが、近衛師団・騎兵連隊隷下のドーラ分隊に臨時派遣された衛生兵って訳。。。

 

 

 

 

 

話をドローンに戻そう。

 

ケイシー上等兵は笑顔で語る。

 

「これ(=ドローン)、災害発生時の被害状況の把握に助かります!


 後方支援兵って、災害発生時には真っ先に派遣されますし。。。」

 

 

 

 

 

フレッド副長は苦笑いを浮かべて語った。

 

「これまで、災害が発生した時は、

 飛行魔法を操る兵士に、被害状況の把握を依頼してました。。。

 

 しかし。。。」

 

 

 

僕は戸惑いながら、話の続きを促した。

 

「しかし?」

 

 

 

フレッド副長は苦笑いを浮かべたまま、話を続けた。

 

「飛行魔法を操ることのできる兵士は激レアな上に、

 一度に20~30分程度しか飛ぶことができないのですよ。。。

  

 しかも。。。」

 

 

 

まあ、そりゃ人間が空を飛ぶなんて物理法則に反しているから、いくら魔法を使ったとしても、あまり長い間飛ぶことはできないだろう。。。

 

でも、僕はフレッド副長の「しかも」が気になり、話の続きをなお促した。

 

「しかも?」

 

 

 

フレッド副長は苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「飛行魔法って、とても大きな魔法で、

 魔法器官に蓄積できる魔力の量にも依存しますが、

 通常、数回程度しか飛ぶことができないのですよ。。。」

 

 

 

そりゃ、人間が空を飛ぶなんて魔法は、そう簡単な魔法じゃないだろう。

 

人間が行使できる魔法には限界がある以上、人間が空飛ぶなんて魔法は、かなり制約があるだろう。。。

 

 

 

 

 

フレッド副長は話を続けた。

 

「つまり、災害時でも、

 飛行による被害状況の確認はあまり多くできないのです。。。

 

 ここぞというときだけです。。。」

 

 

 

ケイシー上等兵も黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

フレッド副長は笑顔で僕に語った。

 

「これ(=ドローン)なら、45分間飛べるし、しかも充電すれば何度も使えます。

 

 これは助かります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイス少尉も笑顔で語った。

 

「災害発生時だけじゃないわ。

 

 軍の偵察任務でも使えるわ。」

 

 

 

僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

ルイス少尉は笑顔のまま語った。

 

「飛行魔法って、軍の偵察任務にも使うのだけど、、、」

 

 

 

僕は戸惑いながら、話の続きを促した。

 

「だけど?」

 

 

 

ルイス少尉が答えようとしたが、ドーラが片手で制し、ドーラが苦笑いを浮かべて答えた。

 

「空にいるから目立つ上に、隠れる場所や逃げ場がないんだ。。。」

 

 

 

僕はなお戸惑い、話を促した。

 

「つまり?」

 

 

 

ドーラは苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「弓矢や魔法の絶好の的になるってことだ。。。

 

 弓矢や魔法の届かない高い空にいない限り。。。」

 

 

 

僕は戸惑いながら問うた。

 

「つまり、飛行魔法による偵察任務は大変危険な任務ということですか?」

 

 

 

ドーラはうなずき、答えた。

 

「ああ、大変危険な任務だ。

 

 しかも、フレッドが言ったように、そもそも飛行魔法が扱える兵は激レアだ。

 

 そんな兵士を無くすわけにはいかない。

 

 だから、災害発生時と同様に、ここぞというときしか使えないんだ。」

 

 

 

ルイス少尉もうなずきながら、補足した。

 

「でも、これ(=ドローン)なら、人命の心配はないわ。

 

 空から偵察し放題よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意外にもドローンが好評なため、僕は戸惑い、問うた。

 

「すみません。これ(=ドローン)も、無線機と同様、

  『どう使ってよいのかわからない』

 ってことで、突っ返されたんですが。。。」

 (第21話)

 

 

 

ルイス少尉はあきれた表情で答えた。

 

「結局、お偉方は現場を知らないから、

 想像力が乏しいのよ。。。」

 

 

 

ま、それもそうか。。。

 

考えてみれば、父・晋一や母・エリーゼや祖父・賢治が、オウゴウヌ王国で役立つと思って、土産として持たせてくれたものだ。

 

 

 

オウゴウヌ王国の実情を知る3人が、役に立たないものを持たせるはずがないのだ。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイス少尉は急に真剣な表情になり、僕に問うた。

 

「飛行魔法に話をすると、

 夜間の飛行魔法は方向や高度がつかめず難しいの。

  

 それはドローンも同じ?」

 

 

 

僕は戸惑いながら答えた。

 

「それはドローンも同じです。

 

 操作に慣れた人じゃないと、墜落させたり、紛失させたりするそうです。

  

 ただし、持ち込んだドローンは暗視カメラもついているので、

 操作に慣れれば、夜間も使用可能です。

  

 あくまで、『操作に慣れれば』ですが。。。」

 

 

 

 

 

ドーラはしかめっ面になり、ルイス少尉に語り掛けた。

 

「そもそも、このドローンって音がうるさいから、

 夜間に偵察に飛ばしても、バレルと思うぞ。」

 

 

 

ルイス少尉は顎に手を当てて、「それもそうか」とつぶやいた。

 

 

 

ルイス少尉は僕に問うた。

 

「このドローンの音を小さくすることはできないの?」

 

 

 

ドローンの風切り音については予備知識はあるものの、詳しいことはわからない。


だから、僕は戸惑いながら答えた。

 

「プロペラ、つまり羽根の形を工夫すれば、

 音は小さくなるそうですが、、、

 詳しくはわかりません。

 

 それに、、、

 なるべく音が小さいものを選んできました。。。

  

 また、音を小さくすることはできても、

 音そのものを無くすことはできません。」

 

 

 

ルイス少尉はため息をついて、つぶやいた。

 

「となると、、、

 まずはこのドローンの操作を習得した上で、

 特質を理解し、

 運用方法を工夫しないとダメね。。。」

 

 

 

 

 

ドーラは腕を組み、僕に語り掛けた。

 

「ルイスの言うとおりだ。。。

  

 まずは操作方法を習得するか?」

 

 

 

僕は黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこでオフロードバイクの運転教習を受けているエイミー少尉とローレンス曹長とベリンダ上等兵と、ドーラ以外の分隊メンバ、つまり、フレッド副長、ヒュー少尉、ジャクソン少尉、ケント准尉、ルイス少尉、ケイシー上等兵が、実際にドローンを操作し訓練を行った。

 

 

 

え? どうして、ドーラがドローンの操作訓練を受けなかったかって?

 

 

 

ははは。。。実は、最初のうちは操作訓練をしていたんだけどね。。。

 

 

 

ほら! 皆、ドローン操作が不慣れだから、しょっちゅう、墜落させたり、見失ったりしたわけ。。。

 

 

 

仕方ないからね。。。

 

 

 

ドーラが騎乗して、墜落させたり、見失ったドローンを、練兵場を馬で走り回って、回収したって訳。。。

 

 

 

メンバが「あー墜落させた!」とか「見失った!」と言う度に、ドーラは「えーい、仕方がない!」と叫んで、ドローンを回収しに馬を走らせていたよ。。。

 

 

 

ははは。。。

 

 

 

 

 

特にドローンが視野から外れると、分隊メンバはたちまち方向感覚や位置感覚がずれて、墜落させていたよ。。。

 

 

 

と言うのもね。。。

 

 

 

ほら!

 

この世界にはGPSがないし、世界地図にはオウゴウヌ王国ってないから(第2話)、ドローンの自動飛行機能が使えないのさ。。。

 

つまり、視野からドローンが外れると、ドローンの操作がいっぺんに難しくなるのさ。。。

 

ジャクソン少尉やケント准尉は「僕じゃ無理!」って言っていたしね。。。

 

 

 

 

 

それでも、フレッド副長はうまくドローンを操作していたな。。。

 

彼には並外れた方向感覚と位置感覚があるらしく、長距離飛行や視野からドローンが外れても、正確に操作できたんだ。。。

 

また、楽しそうだった。。。

 

 

 

その様子を見たドーラが騎乗したまま、ドローンを操作していたフレッド副長に語り掛けた。

 

「フレッド、メンバの中で一番適性があるようだ。

 

 ドローンをフレッドに預ける。

  

 適用方法を研究せよ。」

 

 

 

フレッド副長は「は!」と言ってうなずいた。

 

 

 

脇に立っていた僕もフレッド副長に語り掛けた。

 

「ドローンに関する文献も土産の中にあり、

 王立オウゴウヌ大学に寄贈してあります。

 

 僕と大学に行った際に、読まれると良いでしょう。」

  

  

  

フレッド副長は微笑み、うなずいた。

 

 

 

(次話に続く)

次話は2026/3/26 0時に更新予定です。

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