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第41話 始動(その1) ー僕の正体ー

「第4章 始動、そして模索」を開始します。


主人公・和泉修司の留学生生活がいよいよ始まります。


日本と異なる環境に置かれた修司はいろんな模索を行うことになります。


上位貴族との晩餐会(第37話)に参加した2日後、僕はドーラ分隊と共に、王立オウゴウヌ大学に向かった。

 

王立オウゴウヌ大学に行くのは初めてではない。医学部のルーク教授の研究室に機材を運び込んだことがあるから。(第33話)

 

でも、ドーラ分隊と一緒に行くのは初めてだ。

 

今回は農学部と医学部に機材を持ち込まなければいけないので、数台の軽トラと一緒に、王立オウゴウヌ大学に行った。

 

 

 

フレッド副長とローレンス曹長が騎乗した。

 

残りは全員、軽トラか僕が運転する7人乗りワンボックスカーに乗っていた。

 

あ、ドーラはワンボックスカーの助手席に乗っていた。

 

 

 

フレッド副長は馬を駆歩(かけあし)させ、一行を先導した。

 

その後ろを僕が運転する7人乗りワンボックスカー、そして数台の軽トラが続いた。

 

最後尾をローレンス曹長の馬が続いた。

 

 

 

フレッド副長とローレンス曹長が移動中の交通安全を担う。

 

ちなみに、この編成は、僕が王立オウゴウヌ大学に通う時は、いつも同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、今回は教育省の次官、アルバート・ネビルさんも同行した。

 

朝9時半に軍の倉庫で待ち合わせてね。同行したって訳。。。

 

僕の運転するワンボックスカーの後部座席に乗ってもらった。

 

 

 

え? なぜ、次官が同行したかって?

 

 

 

まあ、政府が王立オウゴウヌ大学と

 

 『僕(=修司)は、王家が招いた外国からの留学生』


として、

 

 『王家が招いた人間なので、近衛兵が警護必須』

 

調整したからね。。。(第21話)

 

 

 

一度は政府要人が王立オウゴウヌ大学に挨拶しなきゃいけないだろうってことで。。。

 

ははは。。。

 

 

 

本当はジョシュア教育相が直接大学に挨拶するつもりだったんだけど、スケジュール調整ができなくてね。。。

 

アルバート次官も多忙な身だけど、時間を割いて、同行してくれたって訳。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王立オウゴウヌ大学に到着すると、僕達一行は学長室に通された。

 

あ、正確には、僕とドーラとフレッド副長とアルバート次官だけ学長室に入って、その他のメンバーは学長室に接続している待合室で待ってもらった。

 

そりゃ、総勢12人も入れないから。。。

 

 

 

学長はバチャール・アスターさん。

 

バチャール学長は、丸顔で、パッチリとした青い目に、眼鏡をかけ、肌は白で、白髪のショートヘアを横分けにして、あごひげを生やしていた。

 

年齢は60歳ってところだろうか。

 

 

 

その学長室には、医学部のルーク・ハーディング教授、農学部のパスカル・ノット教授、理学部のカドワダドル・ウッドヴィル教授も待っていた。

 

 

 

パスカル農学部教授は面長で、切れ長の黒い目、肌は白で、白髪交じりの黒髪のショートヘア、年齢は50歳ってところだ。

 

カドワダドル理学部教授はベース型の顔で、パッチリとした黒い目に、肌は白、シルバーの髪の天然パーマ、年齢はパスカル教授と同じく、50歳ってところだろう。

 

 

 

 

簡単な自己紹介を済ませると、バチャール学長は小さな会議スペースに僕達を誘い、出入口手前側を僕、ドーラ、フレッド副長、アルバート次官が座り、反対側をバチャール学長、ルーク医学部教授、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授が座った。

 

 

 

アルバート次官はバチャール学長に頭を下げ、話しかけた。

 

「この度は急な留学の受け入れと、警護のための近衛兵の立ち入りを許可頂き、

 ありがとうございました。」

 

 

 

僕は慌ててバチャール学長に頭を下げた。

 

横目で見るとドーラもフレッド副長も頭を下げていた。

 

 

 

バチャール学長は両手を振り、笑顔で答えた。

 

「いえいえ、お気遣いなく。

 

 オリビア殿下も今、夜間学部に通っておられますし、

 その警護に近衛兵が立ち入っております。

  

 シャーロット殿下は昨年卒業なさいましたが、

 在学中は近衛兵が警護されてましたから。。。」

 

 

 

そう、オリビア第三王女は現在、王立オウゴウヌ大学の夜間学部に通っているが(第39話)、近衛兵が通学の警護しているそうだ。

 

後にドーラに聞くと、近衛師団騎兵連隊隷下の別の分隊が、オリビア第三王女の警護専属なのだそうだ。

 

 

 

バチャール学長は僕を見て微笑む。

 

「それに、、、

 修司殿は王家が招いた方、近衛兵の警護はやむを得ないでしょう。。。」

 

 

 

バチャール学長はアルバート次官に視線を戻し、笑顔で話しかけた。

 

「でも、今回は驚きました。

 

 これまで王室の方が本大学に通学した例はございますが、

 すべて人文系、とくに政治学や法学や経済学や経営学でした。

  

 それが、理数系の留学生とのことで。。。

 

 しかも、、、

 最新鋭の計測機器を持ち込まれ、

 具体的な研究テーマが指示されてましたから。。。

 

 ま、医学の方は、すでに研究がスタートしているようですが。。。」

 (第33話)

 

 

 

そう言うと、バチャール学長はルーク医学部教授を横目でちらりと見た。

 

ルーク医学部教授は苦笑いを浮かべ、バチャール学長に頭を下げた。

 

 

 

 

 

ルーク医学部教授は苦笑いを浮かべたまま、アルバート次官に話しかけた。

 

「これはヒラリーを経由して政府から口止めされているのですが、

 バチャール学長、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授には、

 修司殿の正体を話した方が良いと思うのですが。。。」

 

 

 

アルバート次官は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「そうですね。。。

  

 バチャール学長、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授だけに、

 お話しします。。。

  

 ただし、口外無用でお願いします。

  

 実は、修司殿は日本からの留学生なのです。。。」

 

 

 

バチャール学長、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授は一様に驚いた。

 

カドワダドル理学部教授は戸惑いながら、ルーク医学部教授に問うた。

 

「ルーク先生、、、どうしてあなたはそれを知っているのですか?」

 

 

 

ルーク医学部教授は苦笑いを浮かべたまま答えた。

 

「30年前、私は王立オウゴウヌ病院で働いていた。

 

 そのとき、修司殿の御父上、普一殿とは同僚だった。

  

 今回の研究テーマは、その普一殿からの依頼なんだ。。。」

 (第16話)

 

 

 

バチャール学長は戸惑いながらも、ルーク医学部教授に問うた。

 

「ちょっと待って、、、

 普一殿といえば、エリーゼ殿下とともに、

 29年前、日本に帰られた方と記憶している。。。

  

 つまり、修司殿は、エリーゼ殿下の。。。」

 

 

 

ルーク医学部教授が答えようとしたが、ドーラが片手で制し、答えた。

 

「はい、修司殿はエリーゼ伯母上の息子です。」

 

 

 

今度は同じ列に座っていたフレッド副長が驚き問うた。

 

「つまり、修司殿は王族に連なる方?」

 

 

 

ドーラは苦笑いを浮かべ答えた。

 

「ああ、、、

 母上であるアン女王陛下と修司殿とは、叔母と甥の関係にあたる。

  

 オウゴウヌ王国では王の3親等以下は

 王族として扱われる決まりとなっているから、

 修司殿は王族の一人という訳だ。。。。」

 (第18話)

 

 

 

バチャール学長は戸惑いつつ、さらに問うた。

 

「修司殿が王族の一人なので、

 近衛兵の警護が必要と言うのはわかりました。

 

 でも、ドーラ殿下、なぜ、あなたの分隊が警護を担うのですか?」

 

 

 

すると、ドーラは天井を見上げて、「ははは!」と笑った。

 

そして、視線をバチャール学長に戻すと答えた。

 

「修司殿は我の許婿であるからだ。

 1年後、我は修司殿と共に、日本に渡る。」

 

 

 

バチャール学長、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授、フレッド副長はあっけにとられていた。

 

 

 

 

 

フレッド副長は気を取り直して、ドーラに問うた。

 

「分隊長(=ドーラ)、軽トラや今日持ち込んだ精密機器は、

 修司殿の土産と仰いました。

 (第30話)

  

 つまり、軽トラや精密機器は、すべて日本産ですか?」

 

 

 

ドーラは黙ってうなずいた。

 

 

 

パスカル農学部教授は戸惑い問うた。

 

「じゃあ、もしかして、わが国にはまだない機器を持ってこられたと?」

 

 

 

すると、ルーク医学部教授は笑って答えた。

 

「ははは!

 

 すでに、附属病院では最新機器を使った研究を始めています。」

 (第33話)

 

 

 

アルバート次官は微笑み、バチャール学長に語り掛けた。

 

「先週、日本からの最新の専門書をお渡ししましたが、

 あれは修司殿からの土産です。

 (第21話)

  

 そして、30年おきに専門書をお渡ししましたが、

 それは修司殿の父・普一殿や、祖父・賢治殿からの土産です。」

 

 

 

カドワダドル理学部教授は驚いた。

 

「なんと!

 

 私が学生だった頃、大学図書館にあった日本からの専門書を何度も読みました。

  

 あれは、修司殿の父上や祖父の土産だったのですか?」

 

 

 

僕は黙ってうなずいた。

 

 

 

パスカル農学部教授は興奮してバチャール学長に問うた。

 

「バチャール学長、新しい専門書はいつから閲覧可能になりますか?」

 

 

 

バチャール学長は困った顔で答えた。

 

「いま、大学図書館で閲覧準備に入っている。

 

 そう遠くない時期に閲覧可能になるだろう。

  

 閲覧可能になったら学内周知するからそれまで待ってくれ。」

 

 

 

アルバート次官は真剣な表情で、バチャール学長、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授に語り掛けた。

 

「修司殿がアン女王陛下の甥にあたり、

 かつドーラ殿下の許婿で、

 加えて日本からの留学生であると言うことは、

 内密にお願いします。

  

 この国の科学発展に対し否定的な意見を持つ者がいます。

  

 大学内でも否定的な立て看板がありましたし。。。」

 

 

 

そう、大学内でアシエシア語で書かれた立て看板がいくつかあった。

 

もちろん、僕は読めないので、何と書かれているのか、ドーラに尋ねた。

 

ドーラは躊躇していたが、しぶしぶ答えてくれた。

 

 『創造神ガエリア様を信仰せぬ世界からの知識や技術を捨てよ!

  医学部・薬学部・工学部・農学部・理学部は即刻解体せよ!』

 

 

 

学内でも、異世界の知識や技術を拒否する人はいるのだ。。。

 

アルバート次官の言うとおりだ。

 

僕は日本人であることを隠した方が無難だ。。。

 

 

 

バチャール学長は戸惑いながら答えた。

 

「ええ、わかりました。」

 

 

 

そう言うと、バチャール学長はルーク医学部教授、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授に語り掛けた。

 

「いいか、修司殿の正体がバレないよう、接し方には注意するんだ。」

 

 

 

ルーク医学部教授、パスカル農学部教授、カドワダドル理学部教授は黙ってうなずいた。

 

 

 

(次話に続く)


第4章から1日1話となります。


次話は2026/3/19 0時に更新予定です。


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