第4話 留学準備中
父(=普一)と母(=エリーゼ)と僕(=修司)は、堤代議士の事務所を出た後、前橋弁護士の事務所と、高畑税理士の事務所を訪ねた。
前橋弁護士も高畑税理士も協力を快諾してくれた。
二人とも、「和泉家とは、先祖の代からの長い付き合いですから」と。。。
数日後、堤代議士の秘書、堤典弘氏から、父のスマホに電話があった。
「僕がオウゴウヌ王国に出発するときは、堤代議士本人も立ち会うので、
日程を教えてほしい。」
実は、数日後、前橋弁護士からも、高畑税理士からも、同様の連絡が父にあった。
何? このプレッシャー。。。。
代議士に、弁護士に、税理士が見送りに来るって、、、
想像しただけでも、トンデモナイプレッシャーなんですけど!
ひっそり、出発したかったんですけど!
ま、こんなに大量の土産あっちゃ無理か。。。
(ため息)はー。。。
それにしても、、、
10台以上の軽トラ、1台の7人乗りワンボックスカーに、乗せた大量の土産って、、、
それを持って行くってことは、、、
飛行機じゃ無理だから、、、
オウゴウヌ王国には、飛行機じゃなく、船に乗っていくんだろう。。。
だから、オウゴウヌ王国への出発の場所は、、、
堤代議士や前畑弁護士や高畑税理士が見送りに来るのは、、、
どこかの港なんだろう。。。
そう思っていたんだ。。。
この時は。。。
ところで、この大量の土産は、留学の1年前から、少しずつ購入し、順次、僕の家の倉庫に保管されていった。
そう、僕の家は広いんだ。。。なんと、数百坪。。。
祖父(=賢治)や、父(=普一)曰く、
「120年前から多くの報酬を得ているからな。。。」
土地自体は、和泉家先祖代々の物で、土地の名義は、祖父・賢治のものになっている。
120年前に購入した土地で、元々はド田舎にあり、数百坪でも安かったらしい。
でも、今じゃ、高級住宅街のど真ん中にある。
でも、祖父(=賢治)や、父(=普一)曰く、
「和泉家はこの地から離れる訳にはいかない。」
なので、毎年、固定資産税を相当払っている。
ただ、周囲と比べれば、地価は割安なんだそうだ。
というのも、、、ホラ!
和泉家は『タタリの家』ってことで、薄気味悪がって、周囲の土地を買う人は少ないからなんだって!
つまり、和泉家周辺の土地は、ある種の『事故物件』扱いらしい。。。
(あきれた笑い)ははは!
さて、土地は祖父・賢治名義だが、家屋は父・普一名義になっている。
まあ、祖父名義の家屋はあったんだけどね。
祖母・マーガレットの体調悪化の原因について、父・普一は何か気がついて、10年位前に家にサウナやトレーニングルームを作った。(第1話)
その時に祖父名義の家屋は壊して、撤去して、新たに父名義の家屋を建てたんだ。
それ以来、家屋は父・普一名義となっている。
ただ、和泉家は数百坪の土地があるが、和泉家が住む家屋はそれほど広くはない。
ま、それでも大きな家屋なんだけど。。。
でも、和泉家が住む家屋より、倉庫の方が大きい!
この倉庫にオウゴウヌ王国への大量の土産が一時保管されている。
ちなみにこの倉庫も父名義になっている。
そう、この和泉家が住む家屋より大きな倉庫があるのは、30年に一度、和泉家直系男子がオウゴウヌ王国へ持っていく土産だけのためにある。
(あきれた笑い2回目)ははは!
え?
『そんなに家に住んでいて、泥棒とか強盗に狙われないか?』って?
そんなもん、和泉家の敷地の境界には、高さ3mの塀で囲って、監視カメラを何台も設置し、警備会社のステッカーをこれでもかとアッチコッチ貼って、セキュリティは高いよ。。。うん。。。
でも、これは
『泥棒や強盗が我が家に入ろうとする気にさせないため』
なんだ。
だって、うっかり、泥棒や強盗が入れば、タタリが落ちて、『面倒なことになる』から。。。
あれは、大学3年の時だったと思う。
祖母・マーガレットはかなり体調が悪くて、入院していた。
祖父・賢治と母・エリーゼは、祖母の看病で不在だった。
父は仕事、弟・幸一は大学、妹は高校で不在だった。
あの日はたまたま午後の授業が休講になり、僕は昼過ぎに家に帰ってきた。
家の中にいると、家の敷地内で、塀の中で、しかも塀の近くで一人の中年の男性が倒れ込んでいた。
僕はあきれて、その中年の男性に近づくと、語り掛けた。
「何しに来たの? 泥棒?」
その中年の男性は顔色は青く、冷や汗を流しながら、無言でうなずいた。
僕はさらに問うた。
「動ける?」
泥棒の中年男性は、首を横に振り、「両足が折れた」と答えた。
そう、うっかり、我が家に泥棒や強盗に入るものなら、その人はタタラレるのだ。
まあ、泥棒だと両足骨折する。
僕はおもむろにスマホを操作し、近くの警察署に電話を掛けた。
「はい、○○○署」
「すみません。和泉家なんですけど、
泥棒が両足を骨折して動けなくなってます。」
すると、警察署の受付はあきれたように返した。
「また? あんたのところのお母さん居る?」
僕もため息をこぼして、答えた。
「今、病院で看病しています。母が帰ってくるまでに、引き取ってもらえます?」
すると、警察署の受付は安堵したように返した。
「わかった。急いで引き取るわ。あ、こちらで救急車呼んでおくわ。。。」
そう、暴君の母・エリーゼがいようものなら、「泥棒とは不届きな! 修正してやる!」と言って、両足を折って動けなくなった泥棒を、殴って、蹴って、いたぶり、さらに腕の一本は折ることになる。
警察もあきれて、母・エリーゼを「過剰防衛!」と言って、注意する羽目になる。
でも、母・エリーゼはそんなことは気にもしない。
一度、片腕どころか、両腕も折ったこともあり、さすがにその時は警察に連行された。
その時は、父・普一が警察署に平謝りに行ったけど。。。
そう、うっかり、我が家に泥棒に入ろうものなら、タタラれるだけでなく、母から地獄の折檻が待っているのだ。。。
(ため息)は~。。。
え? じゃあ、強盗に入ったら?
泥棒に入って両足骨折なら、強盗ならそれ以上のタタリがあるだろうし、、、
泥棒の入って母から殴る蹴るの暴行を受けた後で片腕折られる。となると、強盗ならそれ以上になるだろう。。。
あまり、、、想像したくない。。。
ま~、どうも、犯罪グループにも、『和泉家はタタリの家』と言う評判があるらしい。
だから、滅多に泥棒が入ることはないけど。。。
このときの泥棒さんも、約30分後、警察署の人が来て、その約15分後、救急車に乗せられていったよ。。。
そして、警察官が、救急車に乗せられる泥棒さんに、あきれてこう言ったよ。。。
「泥棒に入るとき、事前調査するだろ?
『タタリの家』と知ってて、なんで入るの?
お前、バカか?」
泥棒さん、青い顔して「すみません。。。」と答えた。。。
(あきれた笑い)ははは!
実は、母・エリーゼの武勇伝はこれだけではない。
小さいころ、一緒に買い物に行ったスーパーで、ひったくりを見かけたことがある。
母・エリーゼはひったくりを追いかけて捕まえた。
ただし、犯人をボコボコに殴り、蹴った挙句、片足と片手を折って。。。
警察からは、「犯人逮捕に協力は感謝しますが、これは過剰防衛です!」って、散々叱られた。
そう、近くの警察署には、母・エリーゼは『困った人』として超有名人なのだ。。。
(ため息)は~。。。
さて、オウゴウヌ王国への留学の準備は、専ら、父(=普一)と母(=エリーゼ)と祖父(=賢治)が行った。
というのも、僕(=修司)は博士3年生で、博士号の取得で忙しかったから。。。
2月には目途が立ち、3月初旬に博士号を取得すると、僕も本格的に留学の準備を行った。
予定では、4月に僕はオウゴウヌ王国に旅立つ予定だ。
その約1ヶ月は、もー、慌ただしかった。
第3話で述べたように、精密計測機器を数台、オウゴウヌ王国に持ち込む予定だ。
それらは軽トラに積み込むのだが、精密機器なだけに、揺れや振動に弱いので、軽トラに制振装置や衝撃吸収装置を取り付けた改造車が数台ある。
それだけでなく、持ち込む前に、僕が操作方法を習得する必要があるし、日本で可能な限りの事前調整を行う必要があった。
と言うのも、オウゴウヌ王国で何があっても、メーカーに問い合わせることはできないらしく、全て僕一人で解決しないといけないらしいんだ。。。
(ため息)は~。。。
ま、精密計測機器の一部は、医学に関連することなので、父に操作方法を教えてもらったし、事前調整も手伝ってもらったけど。。。
精密計測機器だけでなく、土産には、10台のノートパソコンと5台のデスクトップパソコンがあり、その事前設定も必要なんだ。
と言うのも、『オウゴウヌ王国にはネットがない』から。。。
ネット繋げておかないと、設定できないものが多数あるので、これも父と二人がかりで事前設定を行った。
他にもいろいろ土産があるが、それらは後程、説明することにしよう。
あ、留学準備は父(=普一)・母(=エリーゼ)・祖父(=賢治)だけでなく、叔父と叔母にも手伝ってもらった。
叔父の名前は和泉将司、小さな会社を経営している。
叔母の名前は久島智子、小さな農業法人を経営している。
二人とも、ようやく、経営が軌道に乗った。何度も経営危機を迎えたけど。。。
その都度、祖父(=賢治)と祖母(=マーガレット)の多額の援助で、その経営危機をなんとか乗り切った。
二人とも近くに住んでいるので、よく祖父(=賢治)を訪ねに来る。
特に、5年前、祖母(=マーガレット)が亡くなった後は、祖父(=賢治)が心配なようだ。
叔父(=将司)と叔母(=智子)は、祖父に会いに我が家に来ると、弟(=幸一)と妹(=倫子)に笑顔で言う。
「いいか、この和泉家の経済感覚に毒されるじゃないぞ~!」
「そうよ、この和泉家の経済感覚に毒されたおかげで、
何度、経営が傾いたことか。。。」
父(=普一)も苦笑いを浮かべ、弟(=幸一)と妹(=倫子)に語った。
「どうして、私が開業医にならず、勤務医のままでいるのか分かるか?」
弟(=幸一)と妹(=倫子)は無言で首を横に振る。
父は弟と妹に語る。
「和泉家直系男子は『オウゴウヌ王国が必要するもの』を
選ばなきゃいけない定めがある。
と言うことは、和泉家長男は親と同じ職業を選ぶ可能性は低い。
つまり、私が開業医になれば、幸一や倫子がその病院を継ぐことになるだろう。
でも、私が生きているうちは、『報酬』が得られるから、
その病院は維持できるだろう。
そして、『報酬』を前提に、病院経営することになる。
でも、私が死ねば、『報酬』は得られず、たちまち病院は経営危機に陥る。。。
幸一や倫子のためを考えれば、私は開業医になる訳にはいかないんだ。。。」
祖父(=賢治)は苦笑いを浮かべ、叔父(=将司)と叔母(=智子)に語った。
「ワシの遺産は、この土地を除いて、将司と智子に譲るから。。。
もう、遺言公正証書を記載済だ。」
父(=普一)も叔父(=将司)と叔母(=智子)に語った。
「私も妻(=エリーゼ)も報酬を受け取っているから、
この土地以外は不要だよ。。。
それより、経営ガンバレよ。。。」
叔父(=将司)は苦笑いを浮かべて返した。
「お母さん(=マーガレット)の遺産も、智子と二人で分けたし、
助かったよ。。。」
叔母(=智子)も苦笑いを浮かべてうなずいた。
「そうね。。。
兄さん(=普一)は、この土地を離れるわけにはいかないもんね。。。」
父(=普一)は叔父(=将司)に苦笑いを浮かべて語った。
「今回の土産は、お前の会社を介して購入しているから、大変だったろうな?」
叔父(=将司)は苦笑いを浮かべて返した。
「そうだよ! 大変だったよ!
その都度、堤代議士や前橋弁護士や高畑税理士に相談してさー。。。
御三方、いろいろ駆け回ってくれたんだよ~!」
叔父(=将司)は、僕に顔を向け、語り掛けた。
「でも、修司君には、オウゴウヌ王国で、
俺(=将司)や智子にとっても大切な役割を担ってもらわなきゃいけないし。。。
そのためには、土産の準備をしないといけないし。。。」
叔母(=智子)も僕に顔を向け、語り掛けた。
「そうね。。。」
そう、叔父(=将司)と叔母(=智子)が手伝う理由は他にもあったんだ。。。
その理由は数話先に話すことになる。。。
次話は2026/3/2 0時に更新予定です。




