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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第3章 始動直前、そしてこの世界の基礎知識
39/53

第39話 シャーロット第二王女とオリビア第三王女の話

【シャーロット第二王女の話】


余の名はシャーロット・オウゴウヌ。


オウゴウヌ王国の女王アンの第二王女にして、王太子である。




今、王室の周辺では2つの大きなことが進められている。


1つは30年ぶりに日本から来た修司殿の対応である。


ま、これはドーラ姉上が中心にあたっている。




もう1つは、余が即位したときのスタッフの選定である。


ああ、現女王であるアン母上は、5年以内に退位し、余が即位する予定である。


そのための準備を進めている。




アン母上は退位したとしてもすぐに引退とはならず、さらに5年ほど、つまり10年後くらいまでは後見人として助言するが、その後は完全に引退する。


つまり、余は10年以内にすべてを母から引き継がねばならぬ。






最初に余は王として、政治と行政と軍を手中に収めねばならぬ。


先あたって、政治と行政と軍のトップを決めねばならぬ。


政治のトップは元老院議長、行政のトップは宰相、軍のトップは近衛師団長である。






え? 軍のトップは軍事大臣や参謀総長じゃないのかって?


ああ、戦争となれば、王には非常大権が付与され、軍は王の直轄となる。


そして戦争となれば、近衛師団長はオウゴウヌ王国軍総司令官となり、階級も戦時のみであるが、大将から元帥になる。


つまり、戦時において、軍のトップは名実ともに近衛師団長となる。


ま、非常大権の付与は、元老院での投票数の過半数の賛成が必要であるが。。。




また、平時においても、近衛師団は王の直轄である。


すなわち、平時においても、オウゴウヌ王国軍の一番の精鋭、近衛師団1万は王の直轄である。


平時であっても、近衛師団だけは王の独断で動かすことができる。


なぜなら、近衛師団は王を守る最後の砦だからだ。




したがって、近衛師団長は王が絶対掌握せねばならん。


だから、現近衛師団長は、わが父、レオ・オウゴウヌなのである。


そして、余の未来の夫は、未来の近衛師団長になる予定だ。






余の未来の夫は、ドーラ姉上が人選を進めている。

(第37話)


ドーラ姉上は修司殿の警護だけでなく、余の未来の夫の人選もせねばならぬ。


結構大変だ。。。




ま、実際は、ドーラ姉上は一人だけを選ぶだけでなく、数人を推薦することになっている。


そして、最後は余が決めるのであるが。。。











未来の近衛師団長だけでなく、未来の元老院議長、未来の宰相も重要だ。




とりわけ、元老院議長は王の政治を安定させるためには、欠かすことができない。


我儘な貴族、とりわけ公爵達を、宥め、すかし、説得し、時に脅して、政治を進めねばならぬ。


そう、元老院議長も王が絶対掌握せねばならぬ。


だから、現元老院議長は、ソフィア叔母上の夫、オスカー・デービス閣下なのである。


そして、余の妹オリビアの未来の夫が、未来の元老院議長になる予定だ。

(第37話)






宰相も重要だ。実際の行政のトップであるのだから。


ある意味、宰相が一番大変だ。


元老院会議では、宰相をはじめ内閣メンバが、貴族達、とりわけ公爵達に叩かれまくる。


公爵達にとって、伯爵以下の貴族が自分達と対等な立場にいるのが気に食わないのだろう。



もちろん、王や元老院議長も擁護はする。


だが細かいところまで把握しているわけではないから、擁護と言っても、限界がある。


とてもストレスの高い職だ。大変だと思う。。。






さて、先述したように、未来の元老院議長、未来の宰相、未来の近衛師団長の人選が現在行われている。






実は未来の元老院議長の人選はオリビアではなく、余が行っている。

(第37話)


未来の元老院議長の座を射止めようと、晩餐会や舞踏会でオリビアに色々アピールしている貴族の若い男は多い。


だがそれは無駄だ。


よく観察すれば余が人選していることはわかるだろうに。。。


そういう観察眼のない男は論外なので、すでに元老院議長候補からは外れておる。






当主であれば元老院での日頃の言動、まだ当主でない場合は晩餐会や舞踏会での言動から見定めている。


ああ、まだ即位はしておらぬが、立太子した18才から、元老院会議は聴講しておる。


あと貴族学校に通っていた頃の言動も内偵で調査している。


やはり、王家の方針とは相容れぬ考えの男も論外として、元老院議長候補からは外れておる。






だが、その二つの条件だけで決めるわけではない。


先ほど言ったように、我儘な貴族、とりわけ公爵達を、宥め、すかし、説得し、時に脅して、政治を進める能力が必要だからだ。




正直、公爵家の若い当主あるいは次期当主の中で、この三つの条件を満たす適格者はほとんどいないのが現状だ。


まあ、そもそも公爵家は数が少ないのだが。。。


別に元老院議長は公爵家に限ると決まっているわけではない、伯爵家や、場合によって子爵家にまで広げてみても良いかもしれぬ。






ただ、そうなると、公爵家が反発し、元老院議長のいうことを聞かぬかもしれぬ。


ただでさえ、伯爵家以下から選抜される内閣メンバを、元老院会議にて公爵家が叩きまくるのだ。


伯爵家以下から元老院議長を選べばどうなるのかは火を見るより明らかだ。


やっぱり、公爵家から元老院議長を選抜するのが一番無難だ。


とっても、悩ましい。。。






実は、元老院議長は男に限るわけでもない。別に女性でもよい。例えば、ソフィア叔母上のデービス公爵家では全員娘で、次期当主は長女になる予定だ。彼女でもよい。


ただ、権力が集中しないよう、同じ公爵家から2代続けて元老院議長を選定することは避ける習わしになっている。


それに、ソフィア叔母上曰く、


 「元老院議長になると出費が激しく、2代続けて元老院議長になると、

  その公爵家が財政的に傾くのは必定。」


らしい。。。




つまり、デービス公爵家はありえない。。。






それに、余の妹、オリビアをどうするという問題もあり、、、やっぱり男か。。。



やっぱり、難しい。。。











え? ローガン・アサル公爵?

(第38話)




あやつは話にならぬ!


余がオリビアの結婚相手を人選していることに気付いておらん!

(第37話)


加えて、王家の方針とは相容れぬ考えの持ち主じゃ!

(第38話)




しかも、自分の父親を毒殺しよった!




ああ、ローガンの父と祖父は二代にわたり、王家を支えてくれた、大切な忠臣だった。


その忠臣ぶりを評価し、実は、大陸諸国との秘密外交の一部を担ってもらっていた。


鎖国状態ではあっても、大陸諸国とは、我が国は様々なチャンネルを通じて秘密外交をしていたのだ。


だから、約200年前の戦争後、大規模な戦闘は起きておらぬ。




秘密外交の結果、鎖国状態の我が国にあって、ローガンの父と祖父は諸外国の実情に詳しい、数少ない貴族となった。


その知識と経験は我が国の外交政策に大いに役に立った。


よって、その功績に応えるため、ローガン家を再び、公爵家に戻したのだ。

(第38話)




つまり、今回の毒殺は、ローガンとその母親は、王家に対する反逆を行ったに等しい!




それにしても、、、


ローガン本人とその母親は、父親の毒殺を王家が気付いておらんと思っている。




めでたい奴だ。。。


こういう奴では、そもそも、元老院議長など務まる筈などない。。。




父親に対する毒殺については、どうもローガンの母親が、教皇国の工作員から毒を入手したようだ。


ローガンの母親が、教皇国の工作員と、頻繁に接触していることは把握しておる。


ああ、この国には教皇国の工作員が何人か入り込んでいる。




約200年前の戦争の結果、我が国は、教皇国を盟主とした、大陸諸国連合軍と戦い、勝利した。

(第27話)


だが、教皇国は我が国を屈服させることをあきらめたわけではない。




軍事力では我が国を屈服させられないので、教皇国は工作員を使った政治工作をしているようだ。


特に、元老院メンバである、この国の公爵や伯爵に政治工作をしている。


その政治工作の一部が、王族派の貴族を、反王族派に寝返らせることなのだ。


その中で、アサル公爵の毒殺があったようだ。




このことも把握済だ。




一方、毒殺について、今、ローガン・アサル公爵を咎めれば、こちらの諜報活動の手の内を晒すことになる。


つまり、今は気付かぬふりをせねばならんのだ。




ローガン・アサル公爵と、その母親については、現在、王室調査室が内偵を進めている。


証拠を固めているから、いずれ、奴と母親には罰が下るであろう。












【オリビア第三王女の話】


私の名前はオリビア・オウゴウヌ、オウゴウヌ王国の第三王女である。


いずれ、どこかの公爵家に臣籍嫁下する予定である。


結婚相手は、シャーロット姉上を中心に見定めている。




『中心』にと言ったのは理由がある。


実際には、現女王である母上(=アン)と、現元老院議長であるオスカー・デービス閣下とも相談の上、決めるからである。


ま、この3人は、数人の候補を決めるだけで、最後は私の判断らしいんだけど。。。


最終的には私が結婚相手を選ばなくてはならない。。。











現在、私は王立オウゴウヌ大学の夜間学部に通いながら、昼間はジョージ宰相の秘書を務めている。


再来年には大学を卒業する予定だ。




あ、シャーロット姉上も、王立オウゴウヌ大学の夜間学部に通いながら、昼間は王太子の役割を果たし、昨年、無事卒業した。




昼間はジョージ宰相の秘書を務めているとは言っても、ジョージ宰相には何人もの秘書がいて、私は末席に過ぎない。


ま、夕方以降は大学に通わなくちゃいけないので、末席は仕方がないだろう。






朝は車に乗って、ジョージ宰相の私邸に伺い、ジョージ宰相を車に乗せて、王城内の宰相官邸にお連れする。


車の周囲は、騎乗した近衛兵が警護し、ジョージ宰相の私邸から王城へとお連れする。


なので、私が18才の時、車の運転の教習を受けている。











ところで、宰相官邸はとても大きい。3階建ての石造りの建物だ。


1階には私をはじめとするスタッフの事務所、2階には宰相以外の内閣メンバの個室、3階には閣議室と、宰相の執務室がある。




あ、宰相以外の内閣メンバには、例えば財務省とか、外務省とかの建物はあるが、王城の外にある。


そこに、もっと広い大臣執務室がある。


宰相官邸の個室は、閣議の合間の執務を行う場だ。




母、アン女王が閣議に加わることもあるが、その時は宮殿内の会議室で行う。


アン女王が宰相のオフィスに来ることは滅多にない。


つまり、3階の閣議室は、内閣メンバだけの閣議を行うときに用いる。











末席とはいえ、私がジョージ宰相の秘書を務めるのは理由がある。




最大の理由は、シャーロット姉上が即位したときの、『次の宰相を見定めるため』である。




実は同じ職場の宰相官邸のスタッフは、各省庁から選りすぐられた者たちだ。


しかも、若手官僚が多い。




実際、30年前もソフィア叔母上は当時の宰相の秘書として働いていたし、ジョージ宰相も当時は宰相官邸の若手スタッフの1人であった。


ジョージ宰相だけでなく、現在の大臣の多くは、30年前、当時の宰相官邸のスタッフだった。




そう、各省庁から選りすぐられた若者達が、今、私の同僚として、宰相官邸スタッフとして働いている。


私は、男女を問わず『誰が次の宰相にふさわしいのか』、見定めている。




そして一人が宰相になったとき、その者が別の内閣メンバを決める。


ま、未来の女王、すなわちシャーロット姉上と、私が相談に乗るが。。。


つまり、

 『現在の宰相官邸のスタッフの一部は、未来の宰相と内閣メンバ』

となる!


だから、各省庁で『選りすぐられた若手官僚がここ、宰相官邸にいる』のだ!











そして、私が将来、元老院議長の妻となったとき、将来の内閣メンバとのつながりを作るためだ。


私は末席ながら秘書として、運転手として、オスカー現元老院議長閣下の私邸、つまりデービス公爵家に、ジョージ宰相や他の内閣メンバをお連れすることが度々ある。




これは内閣提案の法案を元老院に通すため、前もってオスカー元老院議長閣下に相談するためだ。


この相談の場には必ず、オスカー元老院議長閣下の妻である、ソフィア叔母上も同席する。




法案の中には通すのが難しいものがある。そんな時は、オスカー元老院議長閣下は難色を示す。


それをソフィア叔母上が夫を説得する。行政を担った者の視点から必要性がわかるからだ。


ま、たまに、「この法案は建て付けが悪いわ。考え直しなさい。」と内閣に突っ返すこともあるけど。。。


要するに、ソフィア叔母上は、元老院議長と内閣との懸け橋となっているのだ。




内閣メンバもオスカー元老院議長閣下に直接話しにくいことだってある。


そういう時は、オスカー元老院議長閣下の不在を狙って、内閣メンバが事前にデービス公爵家を訪れ、ソフィア叔母上に相談しているみたい。。。


内閣メンバも、ソフィア叔母上は、昔の同僚なので、オスカー元老院議長閣下より話しやすいのだ。。。











もうすこし、ソフィア叔母上の話をすると、内閣が新しい法案を元老院で通したいなら、元老院で過半数の投票を取らねばならない。


そのため、元老院議長は、公爵家と伯爵家に良好な関係を構築しなければならない。




と言って、法案の中には、公爵家や伯爵家の既得権益を侵すものもあり、彼らに良い顔ばかりもできない。


それでも、公爵家と伯爵家の一部を切り崩さないと、内閣の投票数を足しても過半数を得ることはできない。




だから、公爵家と伯爵家に、いろんな『貸し』を日頃から作っておく必要がある。


たとえば、自然災害に遭った公爵家や伯爵家があれば、どの貴族よりも早く、どの貴族よりも多く、援助しなくてはならない。


お祝い事があった公爵家や伯爵家も同様だ。


しかも、定期的に宴席を設け、公爵家や伯爵家をもてなすことだって必要だ。






要するに、とてもお金が掛かる。




だから、


 『元老院議長を2代続けて輩出すると、その公爵家は傾く』


と言われている。




そう、私の嫁ぎ先は大変なのだ。。。ははは。。。











ソフィア叔母上は、日頃から、公爵家や伯爵家の御婦人や子女を取り込むことを怠らない。


説得が難しい公爵家や伯爵家の当主がいれば、ご婦人から丸め込むためだ。


子女を取り込んでおけば、代替わりしたときに、王族支持派に取り込むことができるためだ。




こうして、代々、オウゴウヌ王家の三女は、王家の政治と行政を円滑に進めるため、重要な役割を担ってきた!











だが、最近つくづく思う。『人選とは難しい』ことを。。。




宰相官邸の若手スタッフは、各省庁で選りすぐられた若手官僚達だ。


さすがに皆優秀だ。


一人に絞り込むのは難しい。




宰相ともなると、各省庁の利益の調整能力は必須だ。


だから、『出身省庁の利益だけを優先するスタッフ』は候補から外している。


彼等の立場を考えるとやむを得ないと思う時もあるが。。。






あと、宰相官邸スタッフ内の人間関係をどう構築しているかも、宰相選びでは重要だ。


だって、宰相は、自分以外の内閣スタッフを決めねばならぬ。


ま、私とジョージ宰相の三人で決めるのであるが。。。


だが、次期宰相の意見が優先される。


そうなると、次期宰相は他の省庁から派遣された若手官僚とも良い関係を築いている人が良いだろう。











ま、実際は数人に絞り込み、シャーロット姉上が選ぶ次期元老院議長、ドーラ姉上が選ぶ次期近衛師団長から、最適な組み合わせを、シャーロット姉上、母上、オスカー元老院議長閣下、ジョージ宰相閣下が決めるのであるが、、、


最終判断はシャーロット姉上となる。











それにしても最近つくづく思う。。。


宰相官邸の若手スタッフは極めて優秀だ。


上位貴族との晩餐会で私に言い寄る、上位貴族のアホな若い男達とは、まるで次元が違う。

(第37話)






さすがに宰相官邸の若手スタッフの一部は、私が次期宰相を見定めるために、秘書の末席にいるってことを勘づいている。。。


だから、未来の宰相を射止めようと、さりげなく、私にアピールしてくるのだ。。。


つくづくやりづらい。。。


(ため息)は~。。。











一方、上位貴族との晩餐会で思うのだ。


 『宰相官邸の若手スタッフと渡り合えるぐらいの若い男性公爵はおらぬのか?

  私はそこに嫁ぎたい。』


と。。。



だが、シャーロット姉上も言っているように、なかなか見当たらぬ。。。




いっそのこと、宰相官邸の若手スタッフ数人を公爵として取り上げてほしい。。。




でも、、、やっぱり、、、無理か。。。




(再びため息)は~。。。

次話は2026/3/17 0時に更新予定です。

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