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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第3章 始動直前、そしてこの世界の基礎知識
36/52

第36話 この国の貴族について(その3) ー貴族にとって危険な存在ー

(前話からの続き)

 

 

 

執事はうなずき答えた。

 

「ええ、、、男爵や准男爵になりますと、

 徐爵式以外は、女王陛下と会う機会はないですな。。。」

 

 

 

 

 

この国の貴族階級、公爵・伯爵・子爵・男爵・准男爵の違いは分かった。

 

だが、一つ大きな疑問が生じ、執事に問うた。

 

「公爵領と伯爵領と子爵領は、独自の軍・警察・消防を持てますが、

 軍事・警察・消防の予算と同額を、国に納めなくてはならないと、

 仰いました。

 (第35話)

  

 でも、それは、オウゴウヌ王国成立直後からなのですか?

  

 貴族達はなかなか受け入れないと思うのですが。。。」

 

 

 

執事はため息をつき、うなずき答えた。

 

「仰る通りです。

 

 この制度を始めたのは、約200年前、大陸諸国との戦争(第27話)の直後です。」

 

 

 

僕は思わず問おうとしたが、その直前に、執事は片手をあげ、僕を制した。

 

そして、執事は話を続けた。

 

「実は、大陸諸国が我が国に侵攻を始めた時、

 多くの貴族が出兵を拒みました。

  

 それどころか、反乱を試みた貴族さえいました。

  

 我が国は、そんな反乱を試みる貴族達に対しても、

 兵力を割かざるを得ませんでした。

  

 つまり、我が国は全兵力で、

 大陸諸国の連合軍を迎え討つことができなかったのです。。。

 

 たった5万で、30万の大軍を迎え討つしかなかったのです。。。

 

 約200年前、外は大陸諸国連合軍30万の侵攻、

 内は貴族達の反乱を抱え、

 我が国は史上最大の危機を迎えたのです。。。」

 

 

 

それもそうか。

 

大陸諸国が連合軍として、大軍で襲い掛かってきたらと考えれば、、、

 

一部の貴族は恐れて、出兵を拒んだり、反乱を企てたりするだろう。。。

 

まさに、内憂外患の状態だったのだ。。。

 

 

 

つくづく思う。

 

約200年前、絶体絶命の中で、オウゴウヌ王国はよく戦争に勝てたものだ。。。

 

 

 

 

 

執事は話を続けた。

 

「まずは我が国は30万の大陸諸国連合軍を撃退しました。

 (第27話)

  

 次に、貴族の反乱を鎮圧しました。

  

 そして、当時の女王、『アンジェラ・オウゴウヌ』女王陛下は、

 この時の反省に立ち、王権の強化に勤めました。

  

 その政策の一つが、

  『公爵・伯爵・子爵は、独自の軍・警察・消防を持つことは認めるが、

   軍事・警察・消防の予算と同額を、国に納めさせる』

 というわけです。。。」

 

 

 

 

 

僕は慌てて問うた。

 

「え?

 だったら、公爵・伯爵・子爵に、

 独自の軍・警察・消防を持たせないようすればよいのでは?」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、答えた。

 

「まず、巨大生物に対抗できる魔法を駆使できる人ととして、

 貴族が成立した経緯があります。

 (第34話)

  

 独自の軍・警察・消防を持ち、巨大生物から領民を守らなければ、

 貴族の権威や存在意義を領民に示すことができません。

  

 さすがにそれは貴族が受け入れることができないでしょう?」

 

 

 

僕は思わず「あ!」とつぶやいた。

 

そうだ!

 

巨大生物や自然災害から領民を守る力を見せない限り、貴族は自らの存在意義を失ってしまう。

 

つまり、独自の軍・警察・消防は、貴族の存在意義を示すうえで、必要不可欠なのだ。

 

多くの貴族は、独自の軍・警察・消防を持たざるを得ず、泣く泣く予算の同額のお金を国に納めるだろう。

 

 

 

 

 

執事は笑顔で僕に語る。

 

「歴史を見るに、よくあの時代に、

 『アンジェラ・オウゴウヌ』女王陛下という傑物が、

 我が国の女王であったと思います。」

 

 

 

執事は笑顔のまま話を続ける。

 

「戦場で単騎で30万の大軍に突っ込んでいった勇気だけなく、、、

 

 教皇から破門を受けても、

 大陸諸国連合軍から侵攻を受けても、

 国是を貫いた勇気、、、

  

 そして、戦争後、王権を強化したのですから。。。」

 

 

 

そう、確かに約200年前の伝説の女王、『アンジェラ・オウゴウヌ』は傑物だったのだろう。

 

 

 

でも、ふと思う。

 

彼女を駆り立てたものは何だったのだろう?

 

可能なら、彼女に話をしてみたいと、そう思った。。。

 

 

 

 

 

僕は別の質問をした。

 

「公爵、伯爵、子爵から納められた、

 独自の軍・警察・消防の予算と同額のお金は、

 どう使っているのですか?

  

 軍・警察・消防の増強に使うと仰ってましたが。。。」

 (第35話)

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、「詳しいことはわかりませんが、、、」と前置きしたうえで、答えた。

 

「公爵領、伯爵領、子爵領になるべく近い、国王直轄地に、

 政府直属の軍、警察、消防が配置しています。

  

 たぶん、貴族の反乱に対する抑止力として。。。」

 

 

 

まあ、それもそうか。。。

 

貴族の支配地域の近くに、政府の軍が配置されていたら、反乱を企てる貴族は少ないだろう。。。

 

 

 

だが、執事の次の言葉に驚いた。

 

「もう一つは、貴族単体では対応できない、

 巨大生物の襲来や、自然災害への備えとして。。。

 

 ま、これは貴族からの救援要請が必要で、

 救援要請があれば、近くの国王直轄地から、

 軍、警察、消防から駆けつけることになっていますが。。。」

 

 

 

僕は驚き、問うた。

 

「え!?


 公爵・伯爵・子爵は独自の軍・警察・消防を持っているから、

 対応できない事態なんてないと思うのですか?」

 

 

 

すると執事は苦笑いを浮かべ答えた。

 

「ほとんどの公爵・伯爵・子爵の独自の軍・警察・消防は、

 必要最低限のレベルの規模しか有していないのですよ。。。

  

 だって、その予算の同額を国に納めなくちゃいけませんから。。。」

 

 

 

僕は「あ!」とつぶやいた。

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべたまま、話を続けた。

 

「だから、頻繁に貴族からの救援要請があるようですな。。。

 ま、これは仕方がないでしょう。。。」

 

 

 

僕は天井を見上げ、ため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は視線を視線に戻すと、問うた。

 

「先ほど、

  『公爵から伯爵、伯爵から子爵への降格もあり得る』

   (第35話)

 と仰いました。

  

 そして、

  『子爵が、公爵や伯爵に昇格することもある』

 とも仰いました。

  

 降格や昇格はどんなタイミングで行われるのですか?」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「基本的には、上の階級、つまり公爵や伯爵で降格や断絶で空きが出来た時、

 下の階級で実績から選ばれます。

  

 と言うのも、元老院でのバランスがありますから。。。」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべたまま、手のひらを天井に向け、両手を左右に延ばし、僕に語り掛けた。

 

「実際、約200年前の戦争直後、

 反乱を企てた貴族は断絶、出兵を拒んだ貴族は降格となり、

 逆に功績のあった貴族は昇格しました。

  

 結果として、貴族の階級が大幅に入れ替わりましたから。。。」

 

 

 

そう言うことか、約200年前の戦争直後、王家に反抗的な貴族は没落し、王家に従順な貴族は昇格したわけね。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執事は急に真剣な表情になり、僕に語りかけた。

 

「この前話したように、

 我が国、オウゴウヌ王国は、異世界の知識や技術を取り入れ、発展しました。

 (第26話、第27話)

  

 ただし、異世界の知識や技術は、魔法を使わないものです。

  

  『魔法を使わない知識や技術の流布は、

   魔法によって特権的地位を築いた貴族にとって、

   自らの地位を脅かすもの』


 でもあります。

  

 だから、貴族の一部は、修司様を始め、

 異世界人がこの世界に来ることを快く思っていません。」

 

 

 

執事は真剣な表情のまま、話を続けた。

 

「いいですか、修司様、貴族の前では言動を気を付けてください。

 

 特に、日本の政治体制は話してはなりません。」

 

 

 

僕は思わずうなずいた。

 

そう、確かに、

『貴族にとって、異世界の知識や技術を有する僕は危険な存在』なのだ。。。

 

 

 

 

 

僕は執事に問うた。

 

「以前、

  『国内でも異世界の知識や技術を吸収することを、

   快く思わない勢力がいます。』

 と仰いました。

 (第27話)

  

 それはこの国の貴族のことですね?」

 

 

 

執事は黙ってうなずいた。

 

 

 

僕は続けて、執事に問うた。

  

「そして、150年前の当時の第一王女への暗殺は、

  『国内外の反対勢力が手引きしたと推察される。』

 と仰いました。

 (第27話)

  

 つまり、この国の貴族が、

 暗殺の手引きをしたと推察しているということですか?」

 

 

 

執事は再び、黙ってうなずいた。

 

 

 

そういうことか。。。

 

 

 

執事は僕を見つめ、語り掛けた。

 

「よいですか、修司様、

 この世界において、特に貴族に対しては、言動は気を付けてください。

  

 修司様はこの国にいる間は、王族として扱われます。

 (第18話)

  

 加えて、修司様は、第一王女であるドーラ殿下の許婿です。

 (第12話)

  

 上位貴族である公爵や伯爵との接点をゼロにすることはできません。」

 

 

 

僕は黙ってうなずいた。

 

たしかに、僕がこのオウゴウヌ王国にいる間は、貴族との接点をゼロにすることは不可能だ。

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、僕に注意を与えた。

 

「修司様は、この1年間、大学に通われます。

 

 そして、ドーラ殿下の分隊が修司様を警護します。

  

 大学にも、軍にも、貴族の子弟がいることに注意してください。

  

 大学や警護の兵に何気なく発した言葉が、貴族に伝わり、

 修司様やドーラ殿下に危険が及ぶことも十分にあり得るのですから。。。」

 

 

 

僕は黙ってうなずいた。

 

そう、このオウゴウヌ王国にいる間は、僕は軽はずみな言動は控えなくてはならないのだ。。。

 

 

 

(次話に続く)

次話は2026/3/15 12時に更新予定です。

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