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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第3章 始動直前、そしてこの世界の基礎知識
35/45

第35話 この国の貴族について(その2) ー貴族階級ー

(前話からの続き)

 

 

 

執事は表情を戻すと、僕に語り掛けた。

 

「先ほど申しあげたように、

 わが国には、上から公爵・伯爵・子爵・男爵・准男爵の貴族がいます。

  

 そして、今回、晩餐会に招かれているのは、

 上位貴族の公爵と伯爵の、当主とその妻と後継者です。


 ま、後継者はほとんどが長男で、

 男子に恵まれなかった家は長女ですが。。。」

 

 

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、語り掛けた。

 

「さっき話したように、

 オウゴウヌ王家は、貴族達の盟主として、

 我が国が成立した経緯がございます。

  

 よって、女王と言えども、

 全てにおいて独断専行が許される訳ではなく、

 重要事項は元老院での議決が必要です。

  

 その元老院の参加資格ですが、

 公爵と伯爵の当主は無条件で参加資格を与えられます。

  

 そして公爵は2票、伯爵は1票、元老院での投票権を持っております。」

 

 

 

 

 

僕は恐る恐る問うた。

 

「子爵以下には、元老院での投票権はないのですか?」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「我が国が成立した、約1500年前には投票権はありませんでした。

 

 しかし、時代が進むにつれ、

 政治を独占する王家と上位貴族に対し、

 子爵以下の不満が高まっていきました。

  

 そして、約1000年前、異世界の知識や技術を受け入れると、

 相対的に王家や上位貴族の魔法の重要性が下がっていきました。。。

 

 結果として、子爵以下の不満が、より深まる結果となりました。。。」

 

 

 

僕はなおも問うた。

  

「その不満をどう解消したのですか?」

 

 

 

執事はなおも苦笑いを浮かべ、答えた。

 

「約500年前、一つの政治改革というか、

 当時の女王は子爵以下の階級とは一つ妥協を行いました。

 

 内閣メンバに元老院での投票権を認めたのです。

  

 ま、元老院の総投票数の4分の1ほどですがね。。。」

 

 

 

執事はなおも続ける。

 

「また、富と権力を集中させないよう、

 公爵は内閣メンバには選出されない慣例としたのです。

 (第21話)

  

 平民でも優秀であれば、内閣メンバに選出可能な道も作りました。

  

 ただし、内閣メンバになると、

 一代限りの貴族、すなわち准男爵に叙せられますが。。。」

 

 

 

だが、それでも、日本から来た僕から見て、この国は不平等だ。

 

執事は片手をあげて、僕を制し、語り掛けた。

 

「日本の政治については分かっております。

  

 歴代の女王陛下も、

 なるべく平民も政治参加できる仕組みにしたいとは考えております。

  

 子爵以下はもっと政治に参加する機会が欲しいとの要求は増すばかりです。

  

  

 しかし、同時に、、、

  

 これまで、魔法が伝授され、2000年にわたって、

 多くの犠牲を払ってきた貴族、とりわけ上位貴族にとって、、、

 (第34話)

  

 折角手に入れた地位が低下することは、耐えがたいことでもあるのです。。。」

 

 

 

それもそうか。。。

 

なかなか難しい問題なのだろうな。。。

 

 

 

 

 

僕はため息をつき、別の質問をすることにした。

 

「公爵と伯爵には、元老院での投票権以外に、

 どんな特権が与えられているのですか?」

 

 

 

執事はため息をついて、答えた。

 

「公爵と伯爵は外交と戦争を除いて、領地に関しては統治自由です。」

 

 

 

僕は驚き問うた。

 

「じゃあ、それって。。。」

 

 

 

執事は苦笑いして答える。

 

「公爵領や伯爵領は、実質、自治領ですな。。。」

 

 

 

だが、執事は顔を横に振り、話を続けた。

 

「でも、まったく自由にしているわけではありません。

 

 公爵領と伯爵領では、独自の軍・警察・消防を持てますが、

 軍事・警察・消防の予算と同額を、国に納めなくてはなりません。

  

 国はそのお金を軍・警察・消防の増強に使う決まりとなっています。」

 

 

 

僕は戸惑いながら問うた。

 

「つまり、それって?」

 

 

 

執事はうなずきながら答えた。

 

「ええ、公爵や伯爵の軍事力増強に対する歯止めですね。」

 

 

 

執事は話を続けた。

 

「しかも、公爵と伯爵は、

 総収入・総支出を正確に女王に申告する義務があります。

 

 くわえて毎年査察があります。

  

 総収入と総支出の記載漏れを行えば、

 記載漏れの数倍の罰金を払う必要があります。

 

 しかもそれを繰り返せば、公爵から伯爵、伯爵から子爵への降格もあり得ます。

  

 査察の結果、意図的で、かつ巨額な不正と判断されれば、

 一発で降格になったこともございます。

  

 また、大幅な赤字が数年にわたって続くようなら、

 統治能力が欠如していると言うことで、国が赤字を補填した上で、

 降格処分となります。」

 

 

 

僕はため息をついて天井を見上げた。

 

公爵や伯爵も大変なのだ。。。

 

 

 

 

 

僕は別の質問をした。

 

「公爵と伯爵には、他に特典があるのですか?」

 

 

 

執事はうなずき答えた。

 

「もちろん。

 

 公爵と伯爵の当主とその妻は、

 月一回の晩餐会で女王陛下と会見できます。」

 

 

 

僕は唖然として問うた。

 

「つまり、今回の晩餐会って?」

 

 

 

執事は微笑み答えた。

 

「そう、公爵と伯爵が月一回、女王陛下と会見できる貴重な場なのです。

 

 ま、そうは言っても、元老院が開かれているときは、

 公爵と伯爵の当主は、毎日、顔を合わせますがね。。。」

 

 

 

ドーラは昨晩、月一回の上位貴族の晩餐会を第一王女としての公務と言った。(第34話)

 

王族として、上位貴族と月一回の晩餐会に参加することは公務のようなものなのだ。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は気を取り直し、別の質問をした。

 

「それでは子爵はどうなのでしょう?

 

 内閣メンバに選ばれない限り、元老院に参加資格がないことはわかりましたが、

 子爵領の統治は、公爵領や伯爵領の統治と異なるところがあるのでしょうか?」

 

 

 

執事はうなずき答えた。

 

「子爵領も、公爵領や伯爵領と同じく、独自の軍・警察・消防を持てますが、

 軍事・警察・消防の予算と同額を、国に納めなくてはなりません。」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべると、話を続けた。

 

「ですが、子爵領に対する統治の裁量は、

 公爵や伯爵と比べて、極めて狭いのですよ。。。」

 

 

 

僕は思わず、「え?」とつぶやいた。

 

執事はスルーして話を続けた。

 

「子爵領の行政に関する予算は女王陛下の認可が必要です。

 

 まあ、女王陛下が子爵領の予算案を一つ一つ細かくチェックし、

 認可することはできません。


 実質、財務省のチェックと認可が必要ですな。

  

 その過程で、税体系や統治のあり方を国に合わせるよう、指導が入ります。」

 

 

 

つまり、子爵は国からがんじがらめになるってことね。。。

 

 

 

執事は微笑み、話を進めた。

 

「まあ、統治の裁量が狭いため、領地自体の立地条件や、災害等による、

 赤字予算は国が補填します。

  

 でも、過半数の子爵領は赤字予算となり、国が補填していますが。。。」

 

 

 

僕は戸惑い、問うた。

 

「なぜ?」

 

 

 

執事は微笑み答えた。

 

「子爵領の社会インフラを整えるためです。

 

 国の指導で、子爵領の社会インフラを整えるため、

 国が子爵領の赤字予算を補填することは当然ですな。。。

  

 昨今では、国直轄領、子爵領、男爵領、准男爵領の方が、

 公爵領や伯爵領より、社会インフラが整っていることが多いですし。。。」

 

 

 

僕は苦笑いを浮かべた。

 

がんじがらめになることも、悪いことばかりではないってことか。。。

 

 

 

執事は微笑んだまま、話を続けた。

 

「また、領内の殖産興業や、子爵家の商売には、

 不法な物や、巨額の赤字を垂れ流さない限り、

 王家は口を出さないことになっています。

  

 ですから、成功した子爵も一部いて、

 公爵家や伯爵家より裕福な家もあります。。。

  

 先ほど言ったように、公爵や伯爵が降格処分を受けることがあるのですが、

 成功した子爵が、公爵や伯爵に昇格することもあります。」

 

 

 

なるほど、やる気があって、才能のある子爵家は、昇格する仕組みもあるってことね。。。

 

 

 

 

 

僕はさらに問うた。

 

「子爵となると、女王陛下に会見できる機会は少ないのですか?」

 

 

 

執事はうなずき答えた。

 

「子爵は、女王陛下に会見できるのは、年に1度だけですな。

 

 しかも一堂に会すだけです。」

 

 

 

僕は天井を見上げ、ため息をついた。

 

公爵、伯爵より、子爵は相当下の位置にあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は戸惑いながら、さらに問うた。

 

「じゃあ、男爵とか、准男爵は?

 

 子爵よりも領地の統治の制限が厳しいのですか?」

 

 

 

すると、執事は片手を振って、笑顔で答えた。

 

「いえ、男爵や准男爵は、領地の統治はしません。」

 

 

 

僕は思わず、「へ?」とつぶやいた。

 

執事は構わず話を進めた。

 

「領地の統治は国が行っており、領地の収入の決まった割合が、

 国から男爵や准男爵に支払われます。」

 

 

 

僕は戸惑い問うた。

 

「一体どうして?」

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、答えた。

 

「男爵や准男爵の領地は狭すぎて、

 領地の収入だけでは食べていけないからです。


 まあ、男爵や准男爵としての収入は、

 副収入とか、お小遣いと思った方が良いですな。。。

 

 そして、まとめて国で統治しちゃった方が、

 行政上も効率的だからです。」

 

 

 

僕は思わず、「そういうこと。」とつぶやいた。

 

 

 

執事はため息をついて、話を進めた。

 

「男爵領や准男爵領は、国が統治しているので、

 その領地に住む男爵や准男爵は稀ですな。

  

 住民ですら、自分たちの土地が、

 男爵領や准男爵領であることを知らないことも少なくありません。」

 

 

 

僕は再びため息をつき、天井を見上げた。

 

同じ貴族でも、上位の公爵や伯爵、中位の子爵、下位の男爵や准男爵では、天と地ほどの違いがあるのだ。。。

 

 

 

 

 

数秒後、僕は視線を執事に戻し、問うた。

 

「子爵が1年に1度しか、女王陛下に会えないとなると、、、

 

 男爵や准男爵はもっと会う機会が少ないわけですか?」

 

 

 

執事はうなずき答えた。

 

「ええ、、、男爵や准男爵になりますと、

 徐爵式以外は、女王陛下と会う機会はないですな。。。」

 

 

 

(次話に続く)


次話は2026/3/15 0時に更新予定です。

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