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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第3章 始動直前、そしてこの世界の基礎知識
32/45

第32話 この世界の魔法

(前話からの続き)

 

執事は微笑み、僕を促した。

 

「それで、、、

  『幾つか教えてほしいことがある』

   (第31話)

 と仰いましたが、他に何をお答えすればよいでしょうか?」

 

 

 

僕は恐る恐る問うた。

 

「すみません。魔法について教えてくれませんか?」

 

 

 

執事は微笑み、「ああ、そういうことですか」と言うと、僕を『聖なる岩』まで連れて行った。

(第7話)

 

 

 

ま、近くに『光のアーチ』(第12話)があるけど。。。

 

 

 

 

 

執事は『聖なる岩』の傍に立ち、僕に語り掛けた。

 

「実は、創造神ガエリア様の大いなる力を分けて頂かない限り、

 我々は魔法を駆使することはできません。」

 

 

 

僕は驚いた。

 

「え? そうなんですか?」

 

 

 

そう言えば、ドーラが


 『魔法って、普通、

  創造神ガエリア様の大いなる力を、ちょっとだけ頂いて行うもの』


と言っていた。。。(第20話)

 

 

 

執事は僕の驚きをスルーして、彼の右下腹部に右手を添え、話を進めた。

 

「我々の右下腹部には『魔法器官』と言って、

 創造神ガエリア様の大いなる力を、

 ほんの少しだけ貯蔵できる器官がございます。

  

 この『魔法器官』に大いなる力を貯蔵しておかない限り、

 我々は魔法を駆使することはできません。」

 

 

 

そして執事は『聖なる岩』に右手を向けた。

 

「『聖なる岩』には、創造神ガエリア様の大いなる力が蓄えられています。」

 

 

 

次に執事は『聖なる岩』に左手をかざした。

 

「こうして左手をかざすことで、

 右下腹部の『魔法器官』に、

 大いなる力をちょっとだけ貯蔵することができます。

  

 本当に『ちょっとだけ』ですが。。。」

 

 

 

執事は左手を『聖なる岩』から離すと、微笑み、僕に語り掛けた。

 

「修司様、私の右手を握ってくれますか?」

 

 

 

そう言うと、執事は右手を僕に延ばした。

 

 

 

僕は言われたとおり、執事を右手を握った。

 

すると、徐々に、執事の右手は熱くなり、約1分後には握るには熱すぎる状態となった。

 

もう、握っていられなくなり、あわてて、執事の右手を離した。

 

 

 

執事は微笑み、僕に語り掛けた。

 

「修司殿失礼しました。

 

 私の右手は熱かったでしょうか?

 

 でも、これが私が授かった魔法です。

 

 これでアイロンを行うことがあります。」

 

 

 

執事は両掌を空に向け、両手を伸ばし、苦笑いを浮かべて語る。

 

「これ以外の魔法は、私はできません。」

 

 

 

執事は話を続けた。

 

「このように、『聖なる岩』から、

 創造神ガエリア様の大いなる力の位置を左手で受け取り、

 下腹部の魔法器官に、あらかじめ一時貯蔵しておく。

  

 そして必要な時に、下腹部の魔法器官から、

 魔法に変換し右手から魔法を放出する。

  

 という流れになります。」

 

 

 

 

 

僕は恐る恐る訊いた。

 

「この魔法以外は、使えないのですか?」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、答えた。

 

「あくまで『私に関しては』です。

 

 複数の魔法を使える人もいます。

  

 さっき、『魔法に変換』と言いましたが、

 この変換が個人ごとにバラバラなのですよ。

  

 また、変換される魔法の出力の大きさも、

 個人ごとにバラバラです。

  

 加えて、魔法器官に一時貯蔵できる量も、

 個人ごとにバラバラです。」

 

 

 

僕は戸惑いながら問うた。

 

「バラバラって?」

 

 

 

執事は顔を横に傾け、苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「王家や、貴族、特に公爵様や伯爵様の上位貴族ですと、

 一時貯蔵できる量が平民と比べ、ダントツに多いですね。

  

 また、魔法の出力の大きさ、扱える魔法の種類も、

 平民と比べて、ダントツに大きいですね。

  

 ま、王家や上位貴族でも、

 全ての魔法が駆使できるわけではないようですが。。。」

 

 

 

 

執事は再び、両掌を空に向け、両手を伸ばし、苦笑いを浮かべて語った。

 

「平民だと、大抵、火をおこしたり、草を刈ったり、、、

 日常生活で必要な魔法のレベルですね。。。」

 

 

 

僕は問うた。

 

「たとえば、木を切るのは?」

 

 

 

すると、執事は微笑み答えた。

 

「木を切るのは平民レベルの魔法ではできません。

 

 魔法力の大きな方じゃないとできないですね。。。」

 

 

 

執事は続ける。

 

「王家や上位貴族じゃない限り、使える魔法はバラバラで、限りがございます。

 

 それが古代史を研究している方は、


  『人々は暮らしていくためには、

   自分が使える魔法を持ち寄り、集団生活をする必要が生じた。

    

   それが社会を生み、職業を生み、文明が発展する基礎になった。』

   

 っと仰っています。

  

 ちょうど二千年ほど前、創造神ガエリア様から魔法を授かった頃から、(第26話)

 大陸の文明が発展していったそうです。。。」

 

 

 

 

 

日本をはじめ、地球の人類の文明が青銅器や鉄によって発展したことを考えれば、鉄等の金属があまりないオウゴウヌ王国やアシエシア大陸では、文明の発展は難しかっただろう。

 

それを、魔法が補ったという訳ね。。。

 

 

 

でも、僕には別に尋ねたいことができた。

 

「じゃあ、オウゴウヌ王家はどんな魔法ができるのですか?」

 

 

 

執事は笑顔で答えた。

 

「オウゴウヌ王家は一度に多数の人にヒール魔法、

 つまり、怪我の痛みや、病気の苦しみを和らげる魔法を掛けることができます。

  

 しかも、一度に数百人の人にです。。。

  

 通常は一度に数人の人にしかヒールを掛けることはできませんが。。。」

 

 

 

僕は驚いた。 そりゃ、通常の百倍じゃん!

 

 

 

執事は笑顔のまま、話を続けた。

 

「この魔法を慈悲の力として、国民から『大聖女』として敬われ、

 国民を束ねてきました。。。」

 

 

 

 

 

でも、執事は急に悲しげな顔をして、話を続けた。

 

「ただし、魔法の出力が高ければ高いほど、

 魔法器官を痛めやすく、最悪死亡事故につながるのです。。。」

 

 

 

僕は驚き問うた。

 

「死亡事故って?」

 

 

 

執事は悲し気な顔のまま答えた。

 

「魔法器官が発火し、焼け死んでしまうのです。。。

 

 オウゴウヌ王家の歴史を紐解くと、、、

 魔法器官の発火から亡くなった方が少なくありません。。。」

 

 

 

僕は慌てて遮った。

 

「ちょっと待ってください!

 

 たしか、魔法器官を失った者しか日本へ行けない。

  

 魔法器官を持ったまま日本へ行くと、

 魔法器官が発火し、焼け死ぬと仰いましたよね?

 (第27話)

  

 つまり、、、

 魔法器官を痛めると、同じことがおきると?」

 

 

 

執事はため息をつくと、うなずいた。

 

そして僕を見つめ、語った。

 

「実はアン女王陛下も、ソフィア殿下も、魔法器官を痛め、

 発火寸前になったことがあったのです。。。

  

 危うく命を失うところでした。。。

  

 でも、命と引き換えに、魔法器官を無くし、大聖女の力を失いました。。。」

 

 

 

そう言えば、アン女王は父・普一に「命を助けられた」と言っていた。(第17話)

 

つまり、アン女王は30年前、魔法器官を痛め、危うく死にかけたってこと?

 

 

 

『この世界の魔法は、大出力になればなるほど、

 自らの命の危険を晒す、とてもリスクの高いものなのだ』。。。

 

 

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、視線を空に向け、語り掛けた。

 

「私は幼いころ、巨大生物を退治してくれる魔法兵に憧れました。。。

 

 でも、私の魔法器官の貯蔵量や、魔法の出力の高さでは、

 殺傷力がほとんどなく、到底無理でした。。。

  

  

 幼いころは、

 

  『どうして創造神ガエリア様は

   私に大魔法が駆使できるほどの能力を授けてくれなかったの?』

 

 って、思うこともありました。。。」

 

 

 

執事は僕に視線を戻すと、苦笑いを浮かべたまま、僕に話した。

 

「でも、、、

 さっきの魔法程度の出力では、

 死亡事故につながるほどの魔法ではありません。。。

 

 今にして思えば、、、

 それが良かったのかもしれませんね。。。」

 

 

 

 

 

そう、、、下手に大出力の魔法を扱う能力など、授からない方が良いのかもしれない。。。

 

だが、、、もう一つ疑問がある。。。

 

「でも、そもそも、

 魔法器官に一時貯蔵できる量には限りがあるので、

 魔法を使いすぎるってあまり起きないと思うのですが。。。」

 

 

 

執事は微笑みうなずき、答えた。

 

「ええ、神話によれば、魔法を人々に授けた時、

 創造神ガエリア様は、こう仰ったそうです。

  

  『【聖なる岩】で力を補充するのは月に1回にせよ。』

  

 と。。。

  

  

 ま、私レベルの魔法、

 つまり日常生活に必要な魔法であれば、それで十分なのですよ。。。」

 

 

 

執事は微笑みながら、話を続けた。

 

「『聖なる岩』のある所には、必ずガエリア教の教会があります。

 

 月に二度以上、『聖なる岩』から力を補充しようとすると、

 教会の人から止められます。

  

 ですから、平民レベルですと、

 魔法器官の発火による死亡事故は比較的少ないですな。。。

  

 ただし、ゼロではありませんが。。。」

 

 

 

執事は再び悲しげな表情になり話を続けた。

 

「でも、、、

 月に何度も『聖なる岩』から力を補充しなくちゃいけないことも

 あるんですよ。。。」

 

 

 

僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

執事は悲しげな表情のまま、顔を何度も横に振り、僕に話しかけた。

 

「巨大生物の襲来や、天災はいつやってくるのか分かりません。

 

 その時は、どうしても大魔法が必要となりますから。。。」

 

 

 

僕は思わず、「あ!」とつぶやいた。

 

そりゃ、巨大生物に襲われている人々を守るために、天災による被災者を守るためには、仕方がないこともあるだろう。。。

 

 

 

執事は悲しげな表情のまま、空を見上げ、僕に語り掛けた。

 

「ええ、、、

 巨大生物の襲来直後や、天災直後は、

 大魔法を駆使した結果、魔法器官が発火し、

 焼け死ぬ者が少なくないそうです。。。」




僕はため息をつき、執事と同様に空を見上げた。


この世界において、大魔法を授かることは、命がけのことなのだ。。。

 


次話は2026/3/13 12時に更新予定です。

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