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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第3章 始動直前、そしてこの世界の基礎知識
26/47

第26話 オウゴウヌ王国の歴史(その1) ー古代から500年前までー

『第3章 始動直前、すなわちこの世界の基礎知識』を開始します。


主人公の修司はオウゴウヌ王国での留学生活を本格化する前に、オウゴウヌ王国について学ぶことになります。


まあ、留学生活を始める際のオリエンテーリングみたいなもんです。。。



納骨式が終わり(第24話)、僕は10時過ぎ、宮殿の自分の部屋に戻った。

 

と言って、やることもなく、、、


執務室の机に置いたノートパソコンを開いて、昨日の日記を書いていた。

 

 

 

10時半くらいだったと思う。

 

ノックと共に執事が入室し、笑顔で僕に語った。

 

「修司様、本日からオウゴウヌ王国での生活が本格的に始まります。

 

 が、その前に、、、

 オウゴウヌ王国の歴史、社会について、簡単に説明したいと存じます。」

 

 

 

確かに何も知らず生活すると、どんな問題を引き起こすかわからない。

 

この国の歴史や社会について最低限の知識は必要だ。

 

ということで、執務室の入口近くの2つのソファに僕と執事は座り、執事の説明を受けることにした。

 

 

 

 

 

執事はソファに座ると、笑顔で説明を始めた。

 

「このオウゴウヌ王国は、アシエシア大陸の南端にあります。

 

 そしてアシエシア大陸は北半球にございます。

  

 つまり、オウゴウヌ王国はアシエシア大陸の中で、

 最も温暖な気候に恵まれております。」

 

 

 

地球にアシエシア大陸などどいう大陸はない、やっぱり、ここは地球ではない。

 

 

 

僕は執事に問うた。

 

「アシエシア大陸以外の大陸はないのですか?」

 

 

 

すると執事は困ったような表情で、顔を横に振り、答えた。

 

「アシエシア大陸以外の大陸があるのかはわかりませぬ。。。」

 

 

 

僕は思わず、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

執事は僕を見つめると話を続けた。

 

「アシエシア大陸を囲む大海には、危険な巨大な生物が多いのですよ。。。

 

 木造の船での航行は大変危険です。。。

  

 鋼鉄製の船の技術は異世界から伝わっておりますが、

 大量の鉄が必要で、実現は難しいのです。。。

  

 この国は、いえ、アシエシア大陸には、あまり鉄がないのです。。。」

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべ、僕に語り掛けた。

 

「海は大変危険なので、魚を獲ることは命がけの作業なのですよ。。。

 

 ですから、王家ですら、鮨を食べるのは30年に一度です。。。

  

 つまり、和泉家の土産として、鮨を頂くときだけなのです。。。」

 (第18話)

 

 

 

僕は思わず、「あ!」とつぶやいた。

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべたまま、両掌を天井に向け、両手を伸ばして、僕に語り掛けた。

 

「と言うことで、大陸の外に漕ぎ出すのは、不可能なのです。。。」

 

 

 

執事はなおも苦笑いを浮かべ、顔を横向けて、話を続けた。

 

「ま、言い伝えでは、、、

 アシエシア大陸から南1000kmくらいに大陸があり、

 そこでは巨大生物が生息しているようですが、、、

  

 定かではありません。。。」

 

 

 

 

 

そう言うと、執事は懐から2枚の地図を取り出し、2つのソファの間の長机に広げた。

 

 

 

1枚の地図はアシエシア大陸全体の地図で、もう1枚はオウゴウヌ王国全体の地図だ。

 

しかし、、、オウゴウヌ王国の地図と比べて、アシエシア大陸の地図は、、、

 

執事は微笑み、僕に語り掛けた。

 

「ふふふ。。。

 

 アシエシア大陸の地図はなんか古臭いでしょ?

  

 しかも、アシエシア大陸諸国を旅した者によると、

 かなり不正確らしいですな。。。

  

 それに比べて我が国の地図は正確なのです。。。


 これだけでも、

 我が国と他国には技術の差が歴然としているのが分かります。。。」

 

 

 

そう、オウゴウヌ王国の地図は緯度線や経度線も書き込まれ、日本で見慣れた地図って感じだ。

 

でも、アシエシア大陸の地図は、なんか戦国時代とか、そんな時代の地図って感じだ。

 

 

 

 

 

執事は表情を戻し、話を元に戻した。

 

「先ほど説明したように、

 このアシエシア大陸の南端に、オウゴウヌ王国があります。」

 

 

 

そう言うと、アシエシア大陸の地図の南端を指さした。

 

ま、地図は日本語でなく、たぶんアシエシア語で記載されており、よくわからなかったが。。。

 

 

 

 

 

次にオウゴウヌ王国の地図を示した。

 

「このようにオウゴウヌ王国は赤道より北にあります。

 

 ま、南に長い半島があり、半島の南端は赤道にまで達していますが、

 この半島は巨大生物が多くって、人が住めません。

  

 よって、人が住んでいるのは半島より北の部分です。」

 

 

 

執事はオウゴウヌ王国の地図の北の地域を指さした。

 

「オウゴウヌ王国と他国には東西に延びる山脈があります。

 

 この山脈が国境線となっております。」

 

 

 

僕は問うた。

 

「山脈を越えた人の行き来はないの?」

 

 

 

執事は微笑み答えた。

 

「国境線の山脈には、8000mを越える山々が連なっており、、、

 間道はありますが、とても厳しい山道らしいです。

 

 人の行き来が全く無いとは申しませんが、

 かなり小規模なものになるかと。。。」

 

 

 

執事はオウゴウヌ王国の地図の北東と北西を示した。

 

「人の行き来が可能なのは、山脈が途切れる海岸線のある、

 北東地域と北西地域です。

  

 それでも、山脈が海岸に迫っておりますが。。。」

 

 

 

僕は思わずつぶやいた。

 

「じゃあ、攻めに難く、守りに易いってこと?」

 

 

 

執事は微笑みうなずいた。

 

「はい。

 

 古来からこの国は海岸に城壁を築き、他国の侵略を防いでおりました。」

 

 

 

 

 

執事は少し悲しげな表情になり、僕に話しかけた。

 

「伝説によれば、巨大生物の襲来により、

 2000年ほど前、我が国だけでなく、

 アシエシア大陸の人類は滅亡の瀬戸際にあったそうです。」

 

 

 

僕は思わず問うた。

 

「どうして?」

 

 

 

執事は顔を横に振り答えた。

 

「先ほど言ったように、アシエシア大陸では鉄があまりとれないためです。

 

 まあ、当時は文明も進んでおらず、

 青銅器の時代のようですが、銅や錫もあまりとれず、

 青銅器もあまり製造できなかったようです。

  

 よって、巨大生物に対し人類は対抗できず、

 ただ逃げ回るだけだったようです。。。」

 

 

 

僕は戸惑い問うた。

 

「じゃあ、どうやって、その危機を乗り切ったのですか?」

 

 

 

執事は微笑み答えた。

 

「神話によれば、

 約2000年前、そんなアシエシア大陸の人類を哀れに思った、

 創造神ガエリア様が、人類に魔法を授けたそうです。

  

 その魔法によって、巨大生物を撃退し、滅亡を免れたそうです。」

 

 

 

僕は戸惑い、「はあ」と答えるしかなかった。

 

本当かよ!?

 

 

 

 

 

執事は再び悲しげな表情で僕に語りかけた。

 

「でも、先ほど言ったように、

 言い伝えによればオウゴウヌ王国の南1000kmに大陸があり、

 どうもそこから巨大生物がアシエシア大陸に北上して、襲来するようです。

  

 つまり、その大陸に一番近い、

 オウゴウヌ王国が最も巨大生物の襲来が多いのです。。。」

 

 

 

僕は驚き、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

執事は僕の驚きをスルーして話を続けた。

 

「しかも、、、

 先ほど申しましたが、このオウゴウヌ王国はアシエシア大陸の南端に位置し、

 温暖な気候です。

  

 だから、農作物に恵まれ、豊かな国です。

  

 一方、その豊かな我が国を狙う国は後を絶ちませんでした。。。」

 

 

 

僕は戸惑いながら、「つまり?」と先を促した。

 

 

 

執事は僕をじっと見つめ答えた。

 

「我が国は、南からは巨大生物の襲来、北からは他国からの侵略で、

 苦難の歴史を辿りました。。。」

 

 

 

 

 

僕は思わずため息をついた。

 

 

 

だが、執事は微笑み、僕に語り掛けた。

 

「これも歴史によれば、そんな我が国の惨状を見て、

 創造神ガエリア様が、約1000年前、

 我が国に限り、30年に一度、異世界の人を招致することを認めたのです。」

 

 

 

僕は驚いた。「え?」

 

僕を始め、和泉家の人間が30年に一度、この国に来るのはそう言うことかよ。。。

 

 

 

執事は右手の指を2本立て、話を続けた。

 

「ただし、次の条件を守れと、創造神ガエリア様が当時の女王に命じられました。

 

 1つ目は、国境線の山脈より以北には兵を進めないこと。

 他国を侵略しないこと。

  

 2つ目は、我が国、オウゴウヌ王国は

 巨大生物が南からアシエシア大陸へ侵入を防ぐ、

 防波堤の役割を果たすこと。」

 

 

 

僕は問うた。

 

「それで、当時の女王はその2つの条件を守ると誓ったのですか?」

 

 

 

執事は微笑み頷いた。

 

「もちろん、誓いましたとも。

 

 そして、

  『国境線の山脈より以北には兵を進めない。他国を侵略しない。』

 は、我が国の国是です。」

 

 

 

 

 

執事の話は続く。

 

「歴史によれば、最初に異世界から招致したのは、刀鍛冶だったようです。」

 

 

 

僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。

 

 

 

執事は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「我が国を始め、アシエシア大陸では鉄があまりとれませんから、

 鉄の製造技術自体、アシエシア大陸になかったようですな。。。」

 

 

 

執事は話を続けた。

 

「でも、その刀鍛冶は、我が国を探し回って、

 河原でわずかに砂鉄が採れるのを見つけたようです。

  

 で、その砂鉄を元に、1年の間に刀や槍や長刀を数本作り、

 その製法を我が国に伝えました。

  

 そして1年後、元の世界に戻ったようです。

  

 あ、その頃はまだ、

 オウゴウヌ王国の女性を連れて戻ることはしなかったようです。」

 

 

 

執事はさらに話を続けた。

 

「その30年後、今度は鉱山技師を招致したようです。

 

 やっぱり我が国を探し回って、

 小さいながらも鉄鉱山を見つけました。

  

 ま、彼の滞在1年の間に、

 鉄の採掘までには至らなかったようですが。。。」

 

 

 

執事は微笑みながら話を続けた。

 

「こうして、アシエシア大陸の中で、

 いち早く、鉄を産する能力を我が国は持つことができました。」

 

 

 

僕は問うた。

 

「鉄を産することで、他国からの侵略を跳ね返せたと?」

 

 

 

執事は微笑みうなずいた。

 

「ええ、その通り。

 

 鉄を産することで、

 オウゴウヌ王国はアシエシア大陸の中では面積では小国ですが、

 精強な兵を持つことが可能となりました。

  

 他国からの侵略を単独で跳ね返す国力を身に着けたのです。」

 

 

 

執事の話は続く。

 

「今でも、兵士全員に鉄の武器と鉄の鎧を身に着けることができるのは、

 我が国、オウゴウヌ王国だけです。

  

 鉄鉱山の探し方、鉄の生産方法、鉄の武器や鉄の鎧の製法は、

 1000年の間にアシエシア大陸の諸国に伝わりました。

  

 でも、全兵士に配布できるほどの生産能力はございません。」

 

 

 

僕は問うた。

 

「鉄は軍事だけに使っているのですか?」

 

 

 

執事は微笑み、顔を横に振った。

 

「いいえ、鉄製の農具も作っております。

 

 約500年前には、鉄製の農具がオウゴウヌ王国全土にいきわたりました。

  

 鉄製の農具がいきわたっているのは、我が国、オウゴウヌ王国だけです。

  

 先ほど言ったように、

 オウゴウヌ王国は温暖で、もともと農作物に恵まれていましたが、

 農作物の生産効率が上がりました。

  

 アシエシア大陸の中では面積は狭いですが、国力は随一の強国となりました。」

 

 

 

執事は少し寂しそうな顔をして、話を続けた。

 

「ただ、、、


 アシエシア大陸諸国の中では、

 我が国、オフゴウヌ王国は鉄が豊かですが、、、


 わが国でも、軍事と農業以外に鉄を振り向けるだけの、

 生産量はないのですよ。。。

  

 ですから、建物や乗り物といったインフラの建設に廻す鉄の確保に、

 歴代の女王陛下は苦労しているようですな。。。」

 

 

 

(次話に続く)


次話は2026/3/10の12時に更新予定です。

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