第20話 歓迎晩餐会終了 ー謎の始まりー
(前話からの続き)
デザート後のアイスクリーム騒動(第19話)も終わり、参加者は王室の食堂近くの庭に出た。
アン女王は笑顔で参加者に語った。
「今回、和泉家から、なんと花火セットがなんと200セット土産としてもらった!
毎年、新年に花火をしても十分だし、、、
ここ数年は貴族に下賜しても十分なほどに。。。
という訳で、今夜は花火じゃ~!」
すると、ドーラは興奮して「花火だ~!」って叫んだ。
いや、ドーラだけではない、参加者全員が興奮した。
そして、参加者全員が線香花火を楽しんだ。
アン女王の言葉と参加者の興奮に僕は困惑した。
そんなにうれしいことなのか?
花火と言っても、線香花火のセットだし。。。
打ち上げ花火とか、ロケット花火はほとんどない筈だ。。。
すると、レオ近衛師団長が微笑み、僕に教えてくれた。
「実は、この国は硝石がほとんど採れなくて、火薬の材料に乏しいんだ。。。
だから、花火は贅沢品なんだ。。。
まあ、貴族の遊びだね。。。」
僕は戸惑い問うた。
「いえ、日本でも硝石はほとんど採れませんが、
それでも硝石は生成可能なはずです。。。」
すると、ヒラリー後方支援連隊長は苦笑いを浮かべて教えてくれた。
「ああ、、、
和泉家が土産に持ってきてくれる、文献の中に硝石の生成方法があったから、
試したことがあったの。。。」
僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。
クラリス参謀総長も苦笑いを浮かべて教えてくれた。
「まあ、私もヒラリーも軍人だからね。。。火薬に興味があったの。。。
藁や糞尿や草木灰から硝酸塩を取り出す方法が記載されていて、
興味本位でトライしたことがあったの。。。」
ヒラリー後方支援連隊長は苦笑いを浮かべ、手のひらを空に向け、僕に語り掛けた。
「でも、、、硝石、とりわけ硝酸カリウムはほとんど生成されなかったの。。。
生成された量はとっても微量で、とても使い物にならなかったわ。。。」
僕(=修司)は戸惑いながら問うた。
「藁や糞尿や草木灰から硝石を取り出すのは、
日本でもごくわずかしか取れなかったと聞いてますが?」
クラリス参謀総長は苦笑いを浮かべて、顔を横に振った。
「それにしても少なすぎたわ。
数百キロの原料を投入して、原料や土壌をどんなに工夫しても、
数十グラムしか取れなかった。。。
とても軍事には適用できないってことで、諦めたの。。。」
僕は戸惑いながら、あごに指を添えて、硝石がほとんど取れなかった原因を考えた。
そして、父・普一の仮説(第3話)を思い出し、思わずつぶやいた。
「父さんの仮説が正しいってこと?」
すると、ヒラリー後方支援連隊長は表情を変え、僕に問うた。
「どういうこと?」
僕(=修司)は慌てて両手を振って答えた。
「いやいや、気にしないでください。
まずは、父さんから頼まれていることを、ちゃんと調べてからです。」
ヒラリー後方支援連隊長は不満げに答えた。
「まあ、そうなんだけど。。。」
夕方6時に始まった、ビデオメッセージ放映会、食事、そして花火も終了した。
アン女王は笑顔で、「これにて、修司殿の歓迎晩餐会は終了じゃ!」と言い、関係者は去っていった。
僕は時計を見ると、もう夜9時を過ぎていた。
慌ただしい1日だった。
だって、
和泉家の庭で光のアーチが出現し(第5話)、
ドーラと一緒に土産を運ぶために『光のトンネル』を行ったり来たりし、
(第12話)
ビデオメッセージを放映し、手紙を渡し(第17話)、
食事をして(第18話、第19話)、
花火(今話)
をしたのだから。。。
僕(=修司)は、何気なく、夜空を見上げた。
すると、その夜空、いや星空に違和感を感じた。
日本で見た星空とは違う。
まあ、これでも物理学、とりわけ天文学の研究者だし。。。
これでも計測や学会で何度か海外に行っている、北半球だけでなく、南半球にも行ったことがある。
世界中の星空を見たと思っている。
でも、その海外で見たどの星空とも違う気がする。。。
僕は慌てて、持ってきたノートパソコンを操作して、夜9時の夜空のシミュレーション画像を見た。
緯度や経度をどう設定しても、王城から見る夜空の星の配置が異なっていた。
僕は思わずつぶやいた。
「もしかして、ここ(=オウゴウヌ王国)、地球でないってこと?
もしかして、ここ、系外惑星?」
だが、すぐに否定した。
第一、昼過ぎにここにきて、僕は何の問題もなく過ごしている。
それどころか、父・普一も、祖父・賢治も、ここで1年間を過ごしている。
つまり、ここが地球でないとしたら、ここは地球と同じ環境だということだ。
いや、ちょっと違うかもしれないけど、それでも僕が何の問題なく過ごせるほど、ほとんど同じってことだ。
しかも、地球にいる人と、全く変わらない人がここに住んでいる。
だって、母・エリーゼも、祖母・マーガレットも、ここ、オウゴウヌ王国から日本に移り住んでいる。
風貌は西洋人だが、それ以外は全く違いはない。
そんな系外惑星なんてあるものか!
あり得ない!
そんなこと!
でも同時に、、、
ここが地球でないとしたら、、、
オウゴウヌ王国が世界地図にないことも納得がいく。。。(第2話)
いや、そもそも、、、
和泉家の庭と王城の庭を結んでいた『光のトンネル』(第12話)ってなんだ?
和泉家の庭と王城の庭の時空を繋げた?
そんなこと、科学的に可能なのか?
すくなくとも、現在の地球の人類の技術じゃ無理だ!
だって、とんでもないエネルギーが必要なはずだ!
それこそ、ブ○ッ○ホ○ルに匹敵するくらいのエネルギーがないと。。。
そうして考えていると、ドーラが笑顔で話しかけた。
「修司殿、どうしたんだ?
そんなに怖い顔をして。。。
今日1日疲れただろう。
修司殿の部屋を準備したから案内しよう。
今夜はもう休んだらどうだ?」
僕(=修司)は、戸惑いながら、ドーラに問うた。
「ドーラさん、王城の庭と、和泉家の庭を、どうやって結んだんですか?」
ドーラは微笑んで答えた。
「なんだ? そんなことか?
魔法を使って繋げたんだ。。。」(第9話)
僕は驚いた。
そういえば、アイスクリームを作る氷について、ヒラリー後方支援連隊長が『冷却【魔法】で代用可能』って言っていた。。。
僕は驚きを隠せず、ドーラに再度問うた。
「魔法?
オウゴウヌ王国の人は、王城の庭と和泉家の庭を結ぶぐらい、
すごい魔法を操れるのですか?」
ドーラは少し照れくさそうに答えた。
「う~ん、、、
我が国の人間が、
王城の庭と和泉家の庭を結んだというのは、、、
ちょっと違うな。。。」
僕は戸惑い、「え?」とつぶやいた。
ドーラは苦笑いを浮かべ、顔を傾け、話を続けた。
「魔法って、普通、創造神ガエリア様の大いなる力を、
ちょっとだけ頂いて行うものなんだ。。。
でも、王城の庭と和泉家の庭を結ぶ魔法は、
ちょっとだけ頂くくらいじゃ、全然足らないんだ。。。
だから、創造神ガエリア様が、大いなる力を直接、注いで行った。。。」
(第9話)
ドーラは苦笑いを浮かべたまま、僕を見つめ、答えた。
「つまり、『ほとんど、創造神ガエリア様のお力』だな。。。」
そりゃ、まあ、人間の力では到底無理だろう。
だって、ブ○ッ○ホ○ルに匹敵するくらいのエネルギーがないと難しいはずだ。。。
それこそ、神の力でも使わない限り。。。
だから、僕は黙ってうなずいた。
え? 科学者なのに、神を信じるのかって?
そもそも、『和泉家はバカツキとタタリの家』だよ? (第1話)
神でもいないと、『和泉家のバカツキとタタリ』はあり得ないよ!
ドーラは少し寂しそうに、でも努めて明るく、話を進めた。
「でも、このときの創造神ガエリア様の力が我の身体に流れたとき、
体の負担が重すぎて、私の魔法器官はダメになってしまった。
だから、創造神ガエリア様は、私の体から魔法器官を取り去ってしまった。
(第9話)
よって、もう我は、、、
2度と魔法を使うことはできないがな。。。」
そう言うと、ドーラは右手で、右下腹部を添えた。
僕は戸惑い、問うた。
「魔法器官は、右下腹部にある内臓の1つだったのですか?」
すると、ドーラは黙ってうなずいた。
そして微笑み、話を続けた。
「良いのじゃ、魔法器官くらい。。。
だって、こうして、我が許婿殿に会えたのだから。。。」
ドーラは王室の食堂に右手を向け、笑顔で僕に語りかけた。
「さあ、修司殿の部屋を案内しよう。
こっちだ。
王室の食堂のある宮殿の1室だ。」
僕は戸惑いながら、「はい」と答えた。
僕とドーラは宮殿へと歩いて行った。
でも、同時にこう思っていた。
『ブ○ッ○ホ○ルに匹敵するくらいのエネルギーが、
ドーラの体内を流れたはず、よく内臓1つで済んだものだ。』
と。。。
でも、それをドーラに言う訳にいかず、胸の中にしまい込んだ。
次話は2026/3/7 12時に更新予定です。




