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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第1章 出発前の準備、そして行ったり来たり
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第2話 幼い頃から、留学1年前まで

僕(=修司)は、物心のついた幼い頃から、

 『将来、オウゴウヌ王国に行き、そこで1年間を過ごす』

と聞かされ、育ってきた。

 

加えて、

 『オウゴウヌ王国には許嫁がいて、

  僕がオウゴウヌ王国に行ったら、その許嫁と結婚する』

とも、聞かされてきた。

 

 

 

まだ幼かった僕は、無邪気に、当時通っていた幼稚園の先生達や、友達のお母さん達に、こう話していた。

 

「僕ね。大人になったら、オウゴウヌ王国に行くんだ!

 そこでね、結婚するの!」

 

 

 

でも、僕の話を聞いた大人たちは、いつも曖昧な表情を浮かべ、


「そう、良かったね。」



と答えた。

 

 

 

まだ幼稚園児だった僕は、あまりにも幼過ぎた。

 

だって、僕の話を聞いた大人達の曖昧な表情の意味が分からなかったから。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その大人たちの曖昧な表情の意味が分かったのは、小学校入学して数年後のことだった。

 

だって、社会科の教材で配られた世界地図に、オウゴウヌ王国なんてなかったから!

 

当然、クラスメートからは

 「オウゴウヌ王国なんてないじゃないか! 嘘つき!」

と言われてしまった。

 

 

 

 

 

その日、小学校から帰ると、父・普一と母・エリーゼを問い詰めた。

 

母・エリーゼは「親の言うことが信じられないのか!」と怒って、グーパンチで僕を殴った。

 

そう、母・エリーゼは、よく僕や弟や妹をグーパンチで殴る。


それどころか、父・普一に対しても、グーパンチで殴る。




つくづく、乱暴な母だ。暴君だ!

 

 

 



父・普一は慌てて母・エリーゼを羽交い絞めし、こう答えた。

 

「この世界にオウゴウヌ王国はない。でも存在するんだ。」

 

 

 

 

 

落ち着いた母・エリーゼはオウゴウヌ王国のビデオを見せてくれた。

 

 

 

ビデオには中世ヨーロッパ風の街並みが映っていた。

 

そして白い軍服を着て帯刀して乗馬している若い頃の母・エリーゼが映っていた。

 

今の母は髪型はセミディに伸ばしているが、当時はショートヘアだった。

 

そのことを問うたら、母は恥ずかしそうに答えた。


「当時は軍に所属していて、軍ではショートヘアじゃないといけないの。。。

 当時は髪を伸ばしたかった。。。

 

 だから、その反動なんだけど、今は髪を伸ばしているの。。。」

 

 

 

 

 

別のビデオには貴族風の衣装を着て、髪を高く結い上げ、中年の女性が映っていた。

 

母と同じ、ブロンドの髪であったが、少し白髪が混じっていた。


そして、顔には深いしわが刻まれていた。

 

それを父・普一は、


「お母さんのお母さん、つまり修司のお祖母さんのブリジットさんだよ。」



と教えてくれた。



 

まだ祖母・マーガレットが元気で、微笑みながら、


「ブリジットはね。私の妹なの。」



と教えてくれた。

 

 

 

ブリジットさんの横には、若いころの母と同じ白い軍服を着て帯刀し、中年の男性が映っていた。

 

髪は黒髪で長髪、四角い顔で、顎髭を短く伸ばしていた。

 

それを母・エリーゼは、「私のお父さん、つまり修司のお祖父さんのダグラス。」と教えてくれた。

 

 

 

加えてそのビデオには、貴族風の衣装を着て、髪を高く結いあげた、二人の若い女性も映っていた。

 

母は「私の妹、つまり修司の叔母さんのアンとソフィア。」と教えてくれた。

 

若いころの母ソックリだ。違いは髪型ぐらいしかわからなかった。

 

 

 

 

 

まだ祖母・マーガレットは元気だったころで、祖母はアルバムを取り出し、オウゴウヌ王国のスチール写真を見せてくれた。

 

母の若い頃と同じショートヘアで、軍服を着て帯刀し、乗馬している、若いころの祖母・マーガレットが映っていた。

 

 

 

当然、中世ヨーロッパ風の街並みの写真もあった。

 

祖母・マーガレットの両親、つまり曾祖父や曾祖母の写真もあった。

 

祖母の姉妹の写真、つまり大叔母の写真もあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、僕を嘘つき呼ばわりした友人達を僕の家に招いた。

 

当然、僕はその友人達にビデオや写真を見せた。

 

でも、それでも友人達は信じようとしなかった。

 

それどころか、「フェイク映像」と言い放った。

 

加えて、

 「嘘を塗りかねるために、フェイク映像まで作りやがった!

  修司はとんでもない奴だ!!」

とまで言われた。

 

 

 

そして僕は「ウソつき修司」、「フェイク映像野郎」とイジメられる日々が始まった。

 

毎日、毎日、、、僕はただ、耐えるしかなかった。

 

だって、いくら言っても、信じてはもらえなかったから。。。

 

 

 

その友人達は、ある日、学校の運動場で遊んでいると、転んで、骨折した。

 

しかも、僕をイジメた友人達、全員だ。

 

 

 

そう、友人達はタタラれたのだ。(第1話)

 

 

 

 

 

ちなみに、いじめを受けたのは弟・幸一、妹・倫子も同じだ。

 

しかも、ひどいいじめをした友人がタタラれるのも一緒だ。

 

 

 

そのうち、タタラれた友人の保護者達が、僕の近所の人から

 『和泉家はバカツキとタタリの家』

と言っているのを聞き出した。

 

そして、保護者達から『和泉家は気持ちが悪い』と言い、僕に関わるなと子供達に言いくるめた。

 

結局、僕はクラスメートから孤立した。

 

 

 

弟・幸一も妹・倫子も、クラスメートから孤立した。

 

単にいじめられないだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は中学校から私立の男子校に通った。(第1話)

 

弟・幸一と妹・倫子は私立の男女共学校に通った。

 

 

 

大学進学のこともあったが、小学校では、僕も、弟も、妹も、居場所がなかったためだ。。。

 

 

 

 

 

中学校からは、僕は『いずれオウゴウヌ王国に行く』ことは言わなくなった。

 

だって、『周囲が理解することは難しい』って悟ったから。

 

 

 

そして話さないことで、意図的にオウゴウヌ王国に行くことを忘れようとした。

 

いや、『忘れたかった。』

 

 

 

 

 

でも、忘れることはできなかった。

 

だって、僕は、『将来、オウゴウヌ王国に行かなくてはならないから』ってことで、小学校から高校まで、夜遅くまで、塾通いの日々が続いた。

 

加えて、『オウゴウヌ王国での生活では必要』ってことで、剣道と馬術も習わされた。

 

 

 

ま、剣道と馬術はあまり上達しなかったけど。。。

 

ちなみにこれは父も同じらしい。。。

 

母・エリーゼはあきれてこう言った。

 

「修司は、父さん(=普一)そっくりね。。。」

 

 

 

祖父・賢治も半ば笑ってこう言っていた。

 

「こればっかりは、和泉家直系男子の定番だな。。。」

 

 

 

一方、弟・幸一と妹・倫子は、母・エリーゼに似て、剣道と馬術は得意だ。

 

弟・幸一と妹・倫子は、西洋人の風貌もあり、剣道道場や馬術クラブでもモテる。

 

フン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約10年前、僕は大学に進学した。

 

自宅から大学へ通学したが、剣道と馬術はヤメテしまった。

 

 

 

そして大学入学式の日、勉強漬けの日々から解放された高揚感と、何よりオウゴウヌ王国を忘れたくって、テニスサークルに入った。

 

 

 

テニスサークルは楽しかった。

 

一人の女子同級生と親しくなった。とてもカワイイ女の子だった。

 

デートの約束まで取り付けたが、そのデートの前日、彼女は通学途中で大怪我を負い、入院してしまった。(第1話)

 

 

 

彼女の怪我は、僕に近づいたタタリと気づいた。

 

だから、テニスサークルはヤメた。

 

 

 

怪我が治り、退院した彼女は、僕に会いに来た。

 

でも、僕が彼女に近づけば、逆に彼女が僕に近づいても、またタタリが起き、彼女を傷つけてしまう。

 

そう、僕は彼女から離れるしかなかった。

 

 

 

一方、僕に近づく女の子はタタラれることを、『どう説明すればよいだろう?』

 

たぶん、分かってはくれないだろう。。。

 

 

 

だから、わざと彼女には冷たい態度で接するしかなかった。。。

 

彼女は何度か会いに来たが、その都度、冷たい態度で接した。。。

 

 

 

そのうち、彼女は離れていった。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕が女の子に近づけば、その女の子を傷つけてしまう。

 

幸いにも、僕の進学した学科は女の子がほとんどおらず、積極的に女の子に接触しない限り、女の子が傷つくリスクは減る。

 

 

 

だから、女の子との接触を意図的に避けた。

 

大学のクラスメートや、バイト仲間とは、なるべく遊ばないようにした。

 

合コンなんてもっての外だ。(第1話)

 

 

 

だから、大学のクラスメートや、バイト仲間からは、「付き合いの悪い奴」と烙印を押されてしまった。

 

そう、女の子だけでなく、男の子からも距離を置かれてしまった。

 

結局、小学校の頃と同じとなった。

 

でも、これは仕方がないとあきらめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

付き合いの悪い僕でも、大学進学後、少ないながらも友人はできた。

 

その友人の中には、女の子との接触を意図的に避ける僕を心配する者もいた。

 

 

 

大学院進学後のある時、友人の一人が、「女の子紹介するから」と言ってきた。

 

彼は大学院には進まず、大学卒業後、一般企業に就職していた。

 

いつものように断った。だって、僕と付き合えば、その紹介してもらった女の子がタタラれるから。。。

 

 

 

だが、その友人は、しつこく、「会うだけでも良いから」と言った。

 

仕方なく、僕は話した。

 

『僕と付き合う女の子はタタラレル』ってことを。。。

 

 

 

でも、彼はそれを信じようとはしなかった。

 

まあ、そりゃそうだろう。。。

 

 

 

だから、実際、大学1年の時、デートの約束まで取り付けた女の子が、大怪我を負い、入院したことを話した。

 

彼は唖然としていた。

 

 

 

最後に僕は彼に言い放った。

 

「下手すると紹介した女の子だけでなく、お前もタタラれるぞ!」

 

 

 

そう、もう、僕のせいで、誰かがタタラれて傷つくのは見たくなかった!

 

ましてや、友人の彼がタタラレ、傷つくなんて耐えられなかった!!

 

 

 

それ以来、彼とは会っていない。

 

彼から一度も連絡もない。

 

薄気味悪くて、僕には近づきたくないのだろう。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年が進むにつれ、多忙になったが、逆にありがたかった。

 

特に4年生以降は研究で忙しく、オウゴウヌ王国のことに構っていられなかったから。。。

 

 

 

オウゴウヌ王国のことを忘れることができ、ありがたかった。。。

 

 

 

 

 

でも、父・普一がオウゴウヌ王国に行って29年後から、すなわちオウゴウヌ王国から帰って28年後から、父・普一と母・エリーゼと祖父・賢治は準備を開始したんだ。

 

言い換えれば、僕がオウゴウヌ王国へ行く1年前から、父と母と祖父は、僕がオウゴウヌ王国へ行く、準備を始めたんだ。

 

そう、父と母と祖父の準備開始は、

 『僕はオウゴウヌ王国へ行かなくてはならない』

ことを嫌でも思い出させたんだ。


次話は2026/3/1の12時に更新します。

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