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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第1章 出発前の準備、そして行ったり来たり
13/46

第13話 後片付けとしりぬぐい

(前話の続き)


今話は、僕(=修司)とドーラが、オウゴウヌ王国への土産を乗せた、最後のワンボックスカーが、和泉家側の『光のアーチ』の中に入った後の話である。

 

 

 

 

 

父・普一は、母・エリーゼに向かって、微笑み話しかけた。

 

「修司、行っちゃったな。。。」

 

 

 

母・エリーゼも、父・普一に向けて、微笑み答えた。

 

「ああ、行っちゃった。。。」

 

 

 

父・普一は、『光のアーチ』に視線を移し、母・エリーゼに話しかけた。

 

「30年前を思い出すな。」

 

 

 

母・エリーゼも、『光のアーチ』に視線を移し、笑いながら答えた。

 

「カカカ!

 30年前も、こんな風に、お前と走り回って、

 土産をオウゴウヌ王国へ運んだな。。。」

 

 

 

 

 

父・普一は、祖父・賢治に振り返り、話しかけた。

 

「最初にたくさんの土産を持って行ったのは、

 父さん(=賢治)の頃からと、うかがってますが。。。」

 

 

 

祖父・賢治はうなずき、次に空を見上げて語った。

 

「私は戦前生まれでな~。。。

 

 西洋人のような風貌だったから、戦前は『敵性外国人』っていじめられた。。。

 (第3話)


 まだ、幼かった私は、毎日がとても辛かった。。。

  

 でも、119年前に、和泉家に嫁として初めて来た、祖母・ヘレナや、

 89年前に来た母・アナースターシアは、

 祖父・洋治や、父・正志の話では、

 それはそれはヒドイ差別とヒドイ偏見にあっていたそうだ。。。」

 

 

 

祖父・賢治は、顔を、父・普一に向けて語り続けた。

 

「120年前、祖父・洋治は、和泉家で最初にオウゴウヌ王国に行った。

 そして、119年前、祖父・洋治は、祖母・ヘレナを連れ、日本に戻ってきた。

  

 つまり、祖母・ヘレナは、

 119年前、オウゴウヌ王国から日本に来た、最初の女性だ。

 

 でも、その頃は明治・大正の時代で、

 このあたりでは外国人が居住するのは珍しかった。

  

 そんなときに、一人、日本に来た祖母・ヘレナの苦労は、

 並大抵の苦労ではなかったはずだ。。。

  

 しかも、戦前と戦中は『敵性外国人じゃないか?』って、

 ヒドイ差別とヒドイ偏見にあったんだ。。。」

 

 

 

父・普一は、黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

祖父・賢治は、視線を下に逸らし、更に話を続けた。

 

「私と同じように、祖父・洋治より先に、祖母・ヘレナが亡くなった。

 

 その数年後、祖父・洋治も亡くなったのだが、

 亡くなる寸前、こんな言葉を残した。

  

  『大変な苦労をした妻・ヘレナを、

   故郷、オウゴウヌ王国に帰してあげたい。

  

   せめて遺骨だけでも、

   ヘレナの故郷、オウゴウヌ王国に帰してあげたい。

  

   ヘレナを、故郷、オウゴウヌ王国で、

   永遠の眠りにつかせてあげたい。

 

   私も、ヘレナと共に、オウゴウヌ王国で眠りたい。

   オウゴウヌ王国が懐かしい。』

  

 と。。。」

 

 

 

祖父・賢治は、再び、父・普一に視線を戻し、話を続けた。

 

「それで、60年前、祖父・洋治と、祖母・ヘレナの遺骨を、

 私がオウゴウヌ王国にもっていくことになったんだ。。。」

 

 

 

 

 

祖父・賢治は、顔を横に振った。

 

「でも、、、

  『祖父・洋治と、祖母・ヘレナの遺骨を、

   オウゴウヌ王国の人は、受け入れてくれないんじゃないか?』

 って、心配だったんだ。。。」

 

 

 

祖父・賢治は、父・普一を見つめ、こう語った。

 

「だから、、、せめて、、、

 オウゴウヌ王国に、精一杯の土産を持参しようって。。。」

 

 

 

父・普一は黙ってうなずいた。

 

 

 

 

 

祖父・賢治は目をつぶり、話を続けた。

 

「60年前、父・正志と母・アナースターシアは、

 オウゴウヌ王国に何が必要か、必死に考えた。

  

 そして、私が、沢山の土産を持参した。」

 

 

 

祖父・賢治は目を開け、苦笑いを浮かべ、話を続けた。

 

「当時、我が国でも普及が始まった自動車数台を購入してな~。。。

 

 その車の荷台に土産を積んだんだが、、、

  

 それでも足りなくて、リヤカーも数台準備して、、、

  

  

 今回の修司とドーラさんみたいに(第12話)、

  

 私とマーガレットで『光のトンネル』を何度も往復して、

  

 オウゴウヌ王国に土産を持参した。。。」

 

 

 

父・普一も苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

祖父・賢治は空を見上げ、遠くを見るように、目を細めた。

そして、遠くを見ながら、話を続けた。

 

「そして、私がオウゴウヌ王国に行った60年前、

 当時の女王、チェルシー陛下に頭を下げて頼んだ。

  

  『祖父・洋治と祖母・ヘレナの遺骨を持参しました。

   どうか、二人の遺骨をオウゴウヌ王国に納骨させてください。

   

   祖母・ヘレナは遠い日本で大変苦労しました。。。

   

   その苦労にほんのわずかでも報いてあげたく、、、

   せめて、、、せめて、、、

   祖母・ヘレナを故郷で永遠の眠りにつかせてあげたいのです。』

    

 と言ってね。。。

  

  

 すると、チェルシー陛下は、涙を流して喜んでな~。。。

  

 こう言ってくれた。

  

  『喜んで受け入れよう。

   二人の遺骨は王家の墓に納骨する。』


 と。。。

  

  

 そして、マーガレットに向けて、涙を流しながら、こう言ったんだ。。。

  

  『1年後、マーガレット、そなたは日本に行ってしまう。。。

   でも、いつか、そなたは、我が国に戻ってくるのだな。。。』

  

 と。。。

  

  

 その時、初めて知ったんだ。。。

 

  【オウゴウヌ王家は大変な覚悟で、娘を日本に送り出している】


 ってことに。。。」

 

 

 

父・普一も空を見上げて語った。

 

「僕も、30年前、

 祖父・正志と祖母・アナースターシアの遺骨を、

 オウゴウヌ王国にもっていきました。」

 

 

 

母・エリーゼも空を見上げて語った。

 

「ああ、、、

 お前(=普一)が、オウゴウヌ王国に来た翌日の朝、

 2人の遺骨を、王家の墓に納骨した。。。

  

 ブリジット母上は、

 アナースターシア大伯母上の遺骨に声を掛けたっけ。。。

  

 『遠い異国で、長い間、ご苦労様でした。』と。。。」

 

 

 

母・エリーゼは、父・普一に視線を戻し、笑顔で語り掛けた。

 

「たぶん、明日の朝、マーガレットお義母さんの遺骨は、

 オウゴウヌ王家の墓に納骨されるな。。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母・エリーゼは、少し離れた位置に立っていた弟・幸一と妹・倫子に顔を向けて、大声をあげた。

 

「ヨシ! 後片付けするわよ! 幸一、倫子、手伝って!」

 

 

 

父・普一も、少し離れた位置に立っていた叔父(=和泉将司)と叔母(=久島智子)に顔を向けて、大声をあげた。

 

「将司、智子、手伝ってくれ!」

 

 

 

 

 

弟・幸一と妹・倫子は、父と母に近づいた。

 

弟・幸一は戸惑いながら問うた。

 

「手伝うって?」

 

 

 

父・普一は笑顔で、『光のアーチ』を指さし、弟・幸一と妹・倫子に語り掛けた。

 

「ほら、あの『光のアーチ』は1年間、出現しつづけるんだ。」

 

 

 

母・エリーゼは近くにあった石を拾って、『光のアーチ』に投げ入れた。

 

すると、パシ!と大きな音がして、その石は砕け散り、『光のアーチ』に粉々になった石は吸い込まれた。

 

 

 

そして、母・エリーゼは笑顔で、弟・幸一と妹・倫子に語り掛けた。

 

「さっき言ったように(第5話)、

 下手にこのアーチに触れば、身が粉々になった上、

 アーチに吸い込まれてしまうの。。。

  

 この石のようにね。。。」

 

 

 

父・普一はすました顔で、弟・幸一と妹・倫子に語り掛けた。

 

「さっき言ったとおり、『光のアーチ』は1年間出現し続ける。

 

 もし、鳥とか猫とかが、『光のアーチ』を触らないとも限らない。

  

 もしそうなったら、彼らはバラバラになって、吸い込まれてしまうだろ?

  

 それを防ぐためさ。。。」

 

 

 

妹・倫子は戸惑いながら問う。

 

「どうやって?」

 

 

 

母・エリーゼは両掌を空に向け、両手を伸ばし、微笑み答えた。

 

「『光のアーチ』は四角い枠の中にあるだろ?

 

 その四角い枠の前後に飛散防止ネットを貼るのさ。

  

 そうすれば、鳥や猫が、『光のアーチ』を触ることはないだろ?」

 

 

 

弟・幸一は唖然として問う。

 

「ねえ、もしかして、、、


 あの訳わからないモニュメントみたいな不格好の四角い枠があるのは、

 そのため?」

 

 

 

父・普一は笑顔で答える。

 

「そ!

 さあ、飛散防止ネットを倉庫から運びだし、四角い枠に貼るぞ!」

 

 

 

弟・幸一と妹・倫子は渋々了解した。

 

「ふぁ~い。。。」

 

「あ~あ、、、やれやれ。。。」

 

 

 

そして、父(=普一)、母(=エリーゼ)、叔父(=将司)、叔母(=智子)、弟(=幸一)、妹(=倫子)は、倉庫へ向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、そのとき、脇で、堤代議士親子と前橋弁護士親子と高畑税理士親子と海原市長は、一連を眺めていた。

 

つまり、


 ・『光のアーチ』からドーラが現れ、(第5話)


 ・何度も僕とドーラが往復して、大量の荷物を持って、

  『光のアーチ』に入っていく様を、(第12話)


彼らはずっと見ていた。

 

 

 

堤代議士の息子、つまり代議士秘書である堤典弘は、激しく動揺した。

 

「なんだよ!? あれ!?

 あれだけ大量にあった物資が、あの『アーチ』の中に消えちゃった。。。」

 

 

 

そう言うと、堤典弘は『光のアーチ』に近づこうとした。

 

 

 

慌てて、堤健一代議士が、堤典弘秘書の右手を掴み、真剣な表情で語った。

 

「ヤメロ! あれに近づくな!


 さっき、エリーゼさんが投げた石を見ていたろ?

 

 下手に触ると、お前の身がバラバラに砕け散るぞ!」

 

 

 

そして、息子の堤典弘に、真剣な表情で言い聞かせた。

 

「いいか!

 あれは(=『光のアーチ』)、和泉家の人間しか通ることができないんだ!」

 

 

 

典弘は唖然とした表情だったが、黙ってうなずいた。

 

 

 

堤健一代議士は少し表情を緩めて、息子の堤典弘に問うた。

 

「それより、お前のスマホにビデオ撮影したか?

 

 ドーラさんが現れ、荷物が運び出され、石が砕け散るまで。。。」

 

 

 

息子の堤典弘は無言でうなずいた。

 

 

 

堤健一代議士はうなずき、「ヨシ! 今はそれで良い。。。」

 

 

 

 

 

前橋進弁護士の娘、前橋涼子弁護士も激しく動揺した。

 

「なに! あれ!?

 

 大量の物資が、しかも精密計測機器を含めて、

 全部無くなっちゃった。。。」

 

 

 

彼女(前橋涼子)は横に立っていた、父親(前橋進)に問うた。

 

「オウゴウヌ王国って外国だっけ?

 

 だったら、不正輸出にあたらない?

  

 輸出許可とってないよね?」

 

 

 

父親の前橋進弁護士は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「そのオウゴウヌ王国を誰も証明できない。

 

 輸出許可なんて取りようがないし、、、

 当局だって不正輸出だと断定できない。

  

 となると、、、あの物資は紛失したとでもするしかないな。。。」

 

 

 

娘(前橋涼子)は、動揺して、父親(前橋進)に問うた。

 

「それもそれで、問題じゃない?

 

 あれだけの量、当局が見逃してくれるかしら?」

 

 

 

 

 

傍らに立っていた、高畑慎吾税理士の息子、高畑一樹税理士も動揺した。

 

「あんなに派手に買い物して、

 あんなに派手に収入を得て、、、(第3話)

  

 しかも、一瞬にして無くなったってのを、どう処理すればいいわけ?」

 

 

 

高畑慎吾税理士は苦笑いを浮かべて答える。

 

「まあ、正直に税務署に相談するしかないな。。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堤健一代議士は、前橋弁護士親子、高畑税理士親子、海原市長に語り掛ける。

 

「1年後、ドーラさんが、オウゴウヌ王国から日本にやってくる。

 

 でも、誰もオウゴウヌ王国を証明できないから、

 彼女は国籍不明者になる。

  

 そんな彼女を我々はフォローせにゃならん。。。」

 

 

 

 

 

息子の堤典弘秘書は戸惑いながら問うた。

 

「撮影したビデオがフェイクでないと証明できれば、

 オウゴウヌ王国の存在を証明できるんじゃないの?」

 

 

 

前橋進弁護士の娘、前橋涼子弁護士は、苦笑いを浮かべて答えた。

 

「ビデオがフェイクでないと証明できたとしても、

 それがオウゴウヌ王国の存在を証明することにはならないわ。

  

 信じる人はいないわよ。。。」

 

 

 

堤健一代議士は苦笑いを浮かべて、前橋弁護士親子、高畑税理士親子、海原市長に、再び語り掛けた。

 

「役所の業務として、

 今回の和泉家のオウゴウヌ王国への土産、

 そしてドーラさんについて、

 最低限の調査はやむを得ない。

  

 それは正直ベースで話すしかないし、和泉家も協力するさ。。。」

 

 

 

 

 

前橋進弁護士の娘、前橋涼子弁護士は首を横に振り、懸念を述べる。

 

「でも、これは証明できないわ。

 永遠に調査が続くじゃないかしら。」

 

 

 

父親の前橋進弁護士は、再び苦笑いを浮かべて答えた。

 

「証明不能なことを役所が強要すれば、その役人がタタラレルさ。。。

 30年前もそうだった。。。」

 

 

 

堤典弘秘書、前橋涼子弁護士、高畑一樹税理士は、一斉に「え!」と言って驚く。

 

 

 

堤健一代議士は苦笑いを浮かべたまま、堤典弘秘書、前橋涼子弁護士、高畑一樹税理士に語り掛けた。

 

「そう、タタラれる役人が一人でも少なくなるように、

 耳元にささやくんだ。

  

  『あまり、しつこく詮索すると、タタラレルぞ!』

  

 ってな。。。」

 

 

 

堤健一代議士は話を続けた。

 

「もし、役所で揉めるようなら、息子、典弘に言ってくれ。

 

 典弘、その役人の上司にささやくんだ。

  

  『部下がタタラレても良いのか?』

  

 ってな。。。

  

  

 どうしても、役人が言うことを聞かないなら、

 俺に相談しろ、俺が、直接、その役人の上司に話をする。

  

  

 ま、証明不可能なこと、きりのないことを強要して、

 タタラレルくらいなら、役人も黙ってくれるさ。。。」

 

 

 

 

 

そして、海原智市長に顔を向けて、堤健一代議士は話しかけた。

 

「海原さん、あんた知っているだろ?

 

 『和泉家はバカツキとタタリの家』って評判があることを。。。

  

  

 ここでうまく立ち回れば、あんたもバカツキの恩恵を受ける。

  

 実際、30年前の市長もうまく立ち回って、長く市長を務めた。。。

  

  

 あんたも、もっと長く市長を務めたいだろ?

  

 だったら、市役所の関係部署にささやいてくれないか?」

 

 

 

海原智市長はうなずき、問うた。

 

「市役所の方は私がやりますが、県庁や国の関係部署はどうします?」

 

 

 

堤健一代議士は苦笑いを浮かべ答えた。

 

「そっちは、息子の典弘がささやいてもらう。」

 

 

 

堤典弘秘書は苦笑いを浮かべてうなずいた。

 

 

 

 

 

堤健一代議士は真剣な表情で、前橋弁護士親子、高畑税理士親子、海原市長に、語り掛けた。

 

「いいか、堤家も、前橋家も、高畑家も、

 和泉家をフォローすることで、

 トンデモナイ幸運と言う報酬を得られる。

  

 これで、俺も議員バッチを守ったんだ。。。

  

 前橋家も高畑家もそうだろ?」

 

 

 

前橋進弁護士と高畑慎吾税理士は黙ってうなずいた。


次話は2026/3/4 6時に更新予定です。

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