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不思議な留学 ー留学先のオウゴウヌ王国って世界地図にないんだけどー  作者: U.X.
第1章 出発前の準備、そして行ったり来たり
11/51

第11話 29年ぶりの手紙

(第5話と第9話の続き)

 

その女性はニコリと笑うと、僕(=修司)、父(=普一)、母(=エリーゼ)、祖父(=賢治)に向かって歩いてきた。

 

僕達から約1mくらいの距離まで近づくと、足を止め、恭しく頭を下げた。

 

そして頭を上げると、微笑み、語り掛けた。

 

「和泉家の皆様、お初にお目にかかります。

 我はオウゴウヌ王国、女王アンが第一王女、名はドーラと申します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性の挨拶を聞くと、母エリーゼは彼女に近寄り、興奮したように問うた。

 

「エリーゼだ。そなたはアンの娘か?」

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は微笑み、「はい」と答えた。

 

 

 

 

 

そして彼女は、右肩に掛けたバックから、2通の手紙を取り出し、母エリーゼに語り掛けた。

 

「エリーゼ伯母上宛に、

 母上(=アン)とソフィア叔母上の手紙を預かっております。」

 

 

 

そう言うと、2通の手紙を、母エリーゼに手渡した。

 

母エリーゼは無言で手紙を受け取ったが、とてもうれしそうだった。

 

 

 

僕は思った。

 

『そう言えば、母が見せてくれたビデオで(第2話)、

 アンとソフィアと言う叔母がいると教えてくれたっけ。。。

  

 そのアンとソフィアの手紙ってことか。。。』

 

 

 

 

 

そして、『ドーラ』と名乗る女性は、少し悲し気に、母エリーゼに話しかけた。

 

「残念ながらブリジットおばあ様は10年前、

 ダグラスおじい様は15年前に亡くなりました。

  

 お二人とも亡くなる直前に、

 エリーゼ伯母上宛の手紙をしたためており、

 その手紙を預かっております。」

 

 

 

そう言うと、2通の手紙を母エリーゼに手渡した。

 

 

 

やはり、母エリーゼは無言で手紙を受け取った。

 

でも、ため息をつき、視線を下におろし、寂しそうだった。

 

 

 

僕は思った。

 

『母が見せてくれたビデオで(第2話)、

 ブリジットと言う母方の祖母、

 ダグラスと言う母方の祖父がいると教えてくれたっけ。。。

  

 母から見れば両親ってことになるから、

 両親が亡くなったのを知るのは悲しく、寂しいだろうな。。。』

 

 

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、微笑むと、母エリーゼに話しかけた。

 

「エリーゼ伯母上、

 オウゴウヌ王国軍に在籍していたころの分隊メンバから、

 手紙を何通か預かっております。」

 

 

 

そう言うと、手紙を何通か、母エリーゼに手渡した。

 

母、エリーゼは無言で受け取ったが、表情は一転して、うれしそうだった。

 

 

 

僕は思った。

 

『母が見せてくれたビデオで(第2話)、

 母は白い軍服を着ていた。

  

 そして、軍に所属していたと話していた。

  

 その軍の同僚からの手紙ってことかな?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、父、普一に笑顔を向けて、問うた。

 

「普一様とお見受けします。間違いないでしょうか?」

 

 

 

父、普一は黙ってうなずいた。

 

父、普一のうなずきを確認すると、『ドーラ』と名乗る女性は、父、普一に語り掛けた。

 

「普一様にも、

 エリーゼ伯母上が、オウゴウヌ王国軍に所属していた頃の分隊メンバから、

 手紙を何通か預かっております。」

 

 

 

そう言うと、手紙を何通か、父、普一に手渡した。

 

父、普一は、微笑みながら、手紙を受け取った。

 

 

 

僕は不審に思った。

 

『え?

 どうして、母が所属していた軍の同僚から、父宛に手紙があるんだろ?」

 

 

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、微笑み、父、普一に再度語り掛けた。

 

「普一様には、王立病院関係者からも、

 手紙を何通か預かっております。」

 

 

 

そう言うと、手紙を何通か、父、普一に手渡した。

 

父、普一は、再び、微笑みながら、手紙を受け取った。

 

 

 

僕は不審に思った。

 

『え?

 父さん、30年前、オウゴウヌ王国の病院で働いていたってこと?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、祖父、賢治に近寄った。

 

そして、少し悲しそうに、話しかけた。

 

「賢治様とお見受けします。間違いないでしょうか?」

 

 

 

祖父、賢治は黙ってうなずいた。

 

祖父、賢治のうなずきを確認すると、『ドーラ』と名乗る女性は少し悲しそうにしたまま、祖父、賢治に語り掛けた。

 

「先ほど話したように、ブリジットおばあ様は15年前に亡くなりました。

 

 おばあ様は亡くなる直前に、マーガレット大伯母上宛に手紙をしたためました。

  

 ここに手紙があります。マーガレット大伯母上に渡してはもらえませんか?」

 

 

 

そして、一通の手紙を祖父、賢治に手渡した。

 

 

 

僕は思った。

 

『そう言えば、母が見せてくれたビデオで(第2話)、

 祖母、マーガレットは、ブリジットは自分の妹だと話していた。』

 

 

 

 

 

祖父、賢治は手紙を受け取ると、少し寂しそうに、『ドーラ』と名乗る女性に話しかけた。

 

「実は、マーガレットは5年前に亡くなりました。」

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、ため息をつき、顔を横に何度も振った。

 

そして「お会いできずに残念です。」と答えた。

 

 

 

 

 

祖父、賢治は苦笑いを浮かべ、「セシリアさんはお元気ですか?」と問うた。

 

すると、『ドーラ』と名乗る女性は、悲し気に首を横に振り、答えた。

 

「いいえ。

 セシリア大叔母上も5年前に亡くなりました。

 セシリア大叔母上も生前にマーガレット大伯母上宛に

 手紙をしたためております」

 

 

 

そして、一通の手紙を祖父、賢治に手渡した。

 

 

 

僕は思った。

 

『え? セシリアって誰の事?』

 

 

 

 

 

祖父、賢治は、手渡された2通の手紙に、視線を向けた。

 

そして、視線を『ドーラ』と名乗る女性に戻すと、悲し気にこう語った。

 

「マーガレットの位牌に、この2通の手紙を置きます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、笑顔になり、母、エリーゼに顔を向けると、バックからいくつかのビデオテープを取り出した。

 

「エリーゼ伯母上、オウゴウヌ王国関係者から、

 手紙だけでなく、ビデオメッセージを預かっております。

 どうか、受け取ってください。」

 

 

 

母、エリーゼはビデオテープを受け取ると、苦笑いを浮かべ、父、普一に語り掛けた。

 

「ビデオテープか。。。今時使わんぞ。。。」

 

 

 

父、普一も苦笑いを浮かべる。

 

「29年前、ビデオカメラとビデオテープを置いて行ったから、

 それを使ったな。。。」

 

 

 

母、エリーゼは、苦笑いを浮かべたまま、父、普一に問うた。

 

「なんとかなるか?」

 

 

 

父、普一も苦笑いを浮かべたまま、答えた。

 

「倉庫を漁ってみる。。。ま、なんとかなるだろう。。。」

 

 

 

母、エリーゼは、笑顔で、父、普一に語り掛ける。

 

「ああ、、、頑張ってくれ。。。皆の映像が見たい。。。」

 

 

 

父、普一も笑顔で、答えた。

 

「私も皆の映像を見たい。

 

 特に、今の皆の姿が見たい!」

 

 

 

母、エリーゼは笑って答えた。

 

「カカカ! 皆、29年も年を取って、どう変わっているかな?」

 

 

 

父、普一も「ハハハ!」と笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祖父、賢治は『ドーラ』と名乗る女性に話しかけた。

 

「マーガレットは生前、ブリジットさんとセシリアさんに手紙を書きました。

 ご遺族に届けてもらえますか?

  

 今回、オウゴウヌ王国に行く孫に託してあります。」

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性はうなずき、「わかりました」と答えた。

 

 

 

 

 

母、エリーゼも、『ドーラ』と名乗る女性に話しかけた。

 

「私も普一も、オウゴウヌ王国の皆に手紙があるし、

 ビデオメッセージがある。

 

 今回オウゴウヌ王国に行く息子に託してあるので、

 届けてはもらえまいか?」

 

 

 

『ドーラ』と名乗る女性は、微笑み、無言でうなずいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は思った。

 

『29年ぶりの手紙やビデオメッセージは、

 父や母や祖父にとって、

 時にとてもうれしく、でも時に悲しく寂しいものになった。』

 

と。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祖父、賢治は、『ドーラ』と名乗る女性に語り掛けた。

 

「せめてマーガレットの遺骨だけでも、

 故郷、オウゴウヌ王国に帰してあげたいのですが。。。」

 

 

 

すると、『ドーラ』と名乗る女性は、祖父、賢治に顔を向け、真剣な表情で返した。

 

「心得ています。

 和泉家の墓は、我がオウゴウヌ王家がお守りします。」

 

 

 

少し離れた位置に立っていた、叔父(=和泉将司)と叔母(=久島智子)を見ると、二人とも、ホッとした表情で、でも少し寂しそうな表情をしていた。

 

叔父(=和泉将司)と叔母(=久島智子)が土産の準備を手伝った。(第4話、第5話)

 

その最大の理由は、祖母・マーガレット、つまり叔父と叔母にとって母親の遺骨を、オウゴウヌ王国に持っていきたいためだ。

 

第5話の『オウゴウヌ王国に頼みたいこと』とは、叔父と叔母にとって母親の遺骨を、オウゴウヌ王国の和泉家の墓に納骨させてもらうことなんだ。

 

 

 

ああ、和泉家は、日本に墓はない。

 

和泉家の墓は、先祖代々、といってもここ数十年くらいだが、オウゴウヌ王国にある。

 

 

 

祖母、マーガレットが5年前に亡くなった時、遺骨箱は、祖父、賢治の部屋のテーブルの上に、大切に保管されていた。

 

今回、僕がその遺骨箱を持って、オウゴウヌ王国の和泉家の墓に納骨する予定だ。

 

だから、今回、僕は喪服も持っていくんだ。

 

 

 

ちなみに、母、エリーゼも、

 

「死んだら、故郷、オウゴウヌ王国で眠りたい」

 

 

と言っている。




そして、父、普一も

 

「死んだら、エリーゼの故郷、オウゴウヌ王国で、エリーゼと共に眠りたい」

 

 

と言っている。

 

 

 

今回、大量の土産を持っていくが(第3話~第5話)、その理由の一つは、

 『和泉家の墓の管理を、オウゴウヌ王家に頼みたい』

からなんだ。

 

(次話に続く)


次話は2026/3/3 18時に更新予定です。

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