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弾丸ストレート

夜だというのに、MT-07に乗りたい衝動が抑えられず、ふらっと家を出た。


以前から「一速全開だと何キロ出るんだろう」と思っていたので、試してみる事にした。



家から近い場所に海沿いの工場地帯がある。この道は1.5kmを超える片側二車線の直線道路だ。

俺は勝手に「弾丸ストレート」と呼んでいる。

だいたい、バイクをチューニングすると、俺はここでシェイクダウンをする。





家を出て、エンジンを暖めながら、ブレーキや足回りの動きについて感触を確かめる。外観も見ておく為に近所の本屋さんに立ち寄る。

当然、俺の愛機に問題はない。



そこから「弾丸ストレート」に向けてスタート。

「弾丸ストレート」を、ゆったり走りながら白バイやパトカーがいないか、端まで走って確かめてみる。

一周、ニ周と回った後、弾丸ストレートの終わりにある信号の交差点の脇で一旦、MT-07を降りて体を動かす。


もう一度またがり信号の停止線で信号が変わるのを待つ。


青になった。と同時にアクセルをワイドオープン。一速のまま、エンジンが唸りを上げる。車速が乗る手前で、俺の体が無意識のうちに、クラッチを握って二速にシフトアップしていた。

スピードが怖かったのではない、エンジンの悲鳴に耐えられなかったのだ。




それでも一速全開を試したくて、もう一度、信号からやり直す事にした。


今度はタイミングは青信号だった。

交差点でUターンして、そのままアクセルを開けて行く。一瞬で風景が溶け込んで行く。MT-07はハンドルのど真ん中にデジタルメーターが付いていて、咄嗟に見ることができない位置に取り付けられている。ときたま視点を落としながらメーターに目をやるがアクセルは戻さない。こいつに7,000回転を越えさせるのは初めてだったが、それでも開け続ける。8,500回転を超える頃、エンジンも「そろそろ限界だよ」と唸っている。更に開け続けて行くと、エンジンに加速する力がなくなって行く。それでもアクセルを開けているとウォン、ウォン、ウォンとレブリミッターがかかり、それ以上は回らない事を教えてくれた。


アクセルを緩めて、二速にして、すぐに三速に入れる。そのままゆっくり、弾丸ストレートの残りを走って行く。

自分自身で始めた事なのに、なんだかホッとした。


そのまま、ゆっくりしたペースで高速のインターの脇を抜け、阿字ヶ浦の駐車場でMT-07を停める。


缶コーヒーで手を温めながら、一速全開の加速感と回転の最後のレブリミッターの感触を思い出していた。


夜の海は、いつもと変わらず波音を奏でている。

缶コーヒーを飲んで日常の自分に戻り帰途に着いた。


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