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愛宕山

新しいバイクに乗ると必ず行く所がある。愛宕山という山だ。


結構な急勾配でヘアピンの連続するつづら折れの峠道で都会と違って混むことがない。正確に言うと桜の季節だけは、桜まつりが行われていて混んでいる。かなり綺麗な桜が咲いている。この時期だけは大渋滞する。





MT-07に乗り始めたので、いつものように愛宕山を登る事にした。

順当に考えれば、R6→R50→岩間街道という組み立てになるのだが、もっとクネクネした道が走りたくて、高速道路の側道→楮川ダム→森林公園方面→岩間街道とアプローチする事にする。


必要以上に倒し込み、必要以上にスロットルを開けながら愛宕山までの道のりも楽しく走りながら進んで行く。





岩間街道に入る。前を走る車が少し早いペースで走っているので、後ろを同じくらいの速度でついて行く。


片側車線の真ん中より少し左側を走っていた。

前方の対向車線に右折待ちの車がいるのが見えた。

前を行く早いペースの車が、右折待ちの対向車とすれ違った瞬間、対向車が右折を開始した。俺がすぐ後ろにいるのにもかかわらずだ。


その瞬間、俺の身体が反応した。

リアブレーキを強く踏んで、上体がシッティングのブレーキターンの体制を取る。

フロントブレーキを強く握りABSがカッカッカッと音を立てて作動する。

同時にエンストを回避する為、クラッチレバーを握り、左足が勝手に2速分シフトダウンする。

自然とシートの後ろに荷重を乗せるように下半身も動く。

後輪のABSが右足にフィードバックを伝えて来るが、そのまま踏み込む。

視線が右の道の先を見る。車はいない。

対向車の運転手の顔だけはチラ見出来た。じーさんだった。驚いた顔をしている。

そのまま、ブレーキターンのような姿勢で、右折して横の道に入った。

助かった。

転倒もなかったのは運がいい。

路面がドライだった事が幸いした。


頭に血がのぼっていて「こんな運転をする奴は決まってプリウスに乗るじーさんだ」

と思った。


すぐにUターンを開始するが、Uターンが終わる頃には、すでにプリウスのじーさんは、走り去った後だった。


少し頭を冷やして、思い起こしてみる。

俺の体の動きに即座に反応して、俺を裏切ることもなく、破綻することもなく、涼しい顔でこなしてくれる。

「こいつは、すごい奴だ」

「頼りになる相棒だ」

と強く思った。





気分を変えて少しゆっくりしたペースで愛宕山に向かう。

いつものように、急勾配のヘアピンを登って行く。


この急勾配の登り坂では、スロットルを開けながらコーナーリングをする必要がある。バンク角と速度が釣り合わないと安定した旋回ができない。

速度が足りなければ思ったより内側に入るし、速ければ当然曲がりきれない。

スロットルを足したり引いたりすると安定しない。

自分の表現で言うなら「遠心力を使ったコーナーリング」という感覚だ。


MT-07でこの感覚を掴むのは、あまり難しくなかった。加減速に簡単に追従するレスポンスの良いエンジンと車体の軽さのおかげだ。


つづら折れのヘアピンも、こいつとなら、とても楽しめた。



この日は曇りで夕日を見ることはできなかった。思ったよりも早く日が暮れて暗くなった。




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