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夕日の向こう側
ある日の日曜日、バイクで出た。
なんとなく若い頃に走っていたあの峠を走ってみようと思った。あの頃、土曜の早朝はいつもこの峠にいたものだ。
あの頃より路面も荒れている。
センターラインにはキャッツアイが入ってデコボコしている。
そんな路面を見ながら走る。
ギャラリーコーナーにはガードレールが付けられて、すでに入ることもできなくなっていた。
車がたくさん停まっていた奥の方も草むらに変わっていた。
そしてコーナーを曲がりながらふと思う。
俺は早く走りたかった訳じゃない。
ギャラリーを沸かせたかったのでもないんだ。
今でもバイクに乗っている。
それは、ただ自分の思う美しい所作を完成させたかっただけなのだ。
その欲求だけは今も衰えることがない。
歳をとって、やっとわかった。
俺がバイクに乗っていた理由は、
多分これなんだろう。
少し遠回りをしてから、帰り道を辿る。
影が長くなっている。もうすぐ日も落ちて暗くなるだろう。
今日がいい日であるように。
明日もいい日であるといいなぁ。
家の門。
車庫。
バイクを停める。
玄関。
キーを置く。
グローブ。
ヘルメット。
ブーツ。
ジャンバー。
また、明日も走れるかな・・・・。




