再び
翌日の朝
首相が殺された事がテレビの報道で報じられた。それに加えて、彼が情報操作をしていた事が伝えられた。(俺たちが流したのだけど)
「このままいけば、マリスさんの当選は確実だ」
「そうか、それは良かった。お前には色々世話になったな。」
「何ですか、急に」
「彼の元に戻るのだろう?やはり別れは名残惜しくてな。」
「…そうですね。僕もあなたにはお世話になりました。ありがとうございました。」
「ああ…私からも礼を言おう。」
「…では、僕は彼の元に戻ります。」
「ああ」
「じゃあ、元に戻ろう。どうすればいいんだ?」
「2人で手を繋いで、なんか合わさるようなイメージをしたらいいわ。」
「適当だな」
彼女たちの指示通り合わさるイメージをしてみた。
しかし、何も起きなかった。
「あれ?」
「おい、お前もしかして…」
「いやいや、流石に名残惜しいとはいえ僕はそんなことしないよ。」
「じゃあ一体どういうこと?まさかまだこの世界の歪みは正されていない?」
「まさか、俺たちは…」
「もしかしたら、マザーコンピューターに細工をした奴がまだ何かをしたのかしら?」
「もしかしたら君と同じ力を持ってるかもしれない奴?」
「本当にマザーコンピューターの言う通りならそうね。でも、この力を持っている人は私しかいないはず。」
「そうだっけ?」
「そう言わなかった?」
ああ、そうか。多分みんな死んだって言ってたな。
「いや、なんでもない。」
「そう?まぁともかくそいつも探さないとだし、もう一つのには世界の彼もどうにかしなきゃね。」
もう一つの…ああ、あいつか俺たちを斬ろうとした仮面の奴。
「あいつもなんか関係あるのか?」
「彼はあなたよ。」
「えっ?」
「そう、彼があの世界のあなた。あの世界の歪みの原因は彼自身にあるの。」
「そんな…」
「これからやることは、彼と戦う事。覚悟を決めて。」
「...どうして彼は歪んだんだ?」
「あの世界の彼は、ある宗教を信じている。神のお告げを絶対とし、従ってきた。あの世界の城見たでしょ?あれは元々王国だったものを勝手に神殿にしたのよ。そこの王を殺して、そして事実上は神を王とする王国になったのね。」
「そうか、分かった。やるよ。ここまで来たらもうやるしかないな。」
「ありがとう。じゃあ先に外に出てて。私はここの人たちと少し話があるから。」
「ああ、分かったよ。」
そして外に出てしばらくすると彼女がやってきた。
「お待たせ。」
「来たか。」
「はい、電気銃。」
「これ持ってっていいの?」
「ここまで来たら多少の歪みは考えてられないのよ。」
「そんなもんかねぇ」
「じゃあ、行くわよ。」
「ああ!」
青い光に包まれて視界が晴れるとやはりそこは俺が最初に来たあの世界だった。