作戦
「で、その作戦はなんだ?」
「奴が、デリウスがここまでの独裁政権を築いているのは国民に情報操作をしているからだ。自分に都合の良い情報を送りっている。国民はそんなことは知らない。だから、奴が隠した情報を入手し、ばら撒く。そうすることで奴の独裁政治を国民に知らしめる。具体的には奴がいる政府の総事務所の最上階にある、全てのデータを管理しているマザーコンピューターにアクセスし、情報を抜き取る。」
「そんなことが可能なのか?」
「非常に難しい、あそこはマザーコンピューターの妨害でテレポートもできない。だが、最上階でなければテレポートできる場所はある。しかし、マザーコンピューターがあの施設を管理していて、全ての空間に監視カメラが置かれている。しかし、君たちが来た。君たちには、この計画の主役を担ってもらう。潜入班は君たち2人だ。」
「!、どうしてそんな重大なことを俺たちに?」
「この国の国民は皆、IDで管理されている。チップが心臓に埋め込まれていて取り出せない。電波で妨害しようにもこれの機能を停止させる程の電波を当てるのは自殺行為だ。だが君たちにはそれがない。あの監視カメラはIDで人を識別する。それが関係者か否かIDからそれを読み取り侵入者のみを阻害する。逆に言えばIDがなければ、奴は君たちを人とは認識しない。」
「そういうことか。…でも俺たちに務まるのか?」
「そこは、安心しなよ。僕が君たちをナビゲートする。電波が繋がるところまでなら君たちをサポートできるさ。」
「わかった。そういえば反乱軍には他にも仲間がいるんだろ?その人たちはどうするだ?」
「万一、奴に察知されてもいいように周りを囲む、助けを呼ばれないように妨害電波も流し続ける。」
「なるほど」
「作戦決行は明日。それまで各々しっかりと充電しておくこと。」
「?」
「じゃあ僕はこれで。」
「えっ、ちょ、」
…行ってしまった。
「…充電って何?」
「この世界の人間は生まれた時から脳を人型の機械に繋げるの。この世界の人間はそうできてるのよ。だからIDの問題は致命的だったのね。」
「へえ、あとさ。」
「何?」
「君だろ?あの人たちにこの世界は情報操作されてるって教えたのは。」
「どうしてそう思うの?」
「だってこんなの自分で気付きようがないじゃないか。」
「フッ、アハハハハハハ」
「わ、笑うなぁ!」
「ごめん、理由が面白かったからつい。でもあってるわ、私が教えた。あなたを戻すためだもの。」
「あと、この計画を成功して俺たちは一つになれるのか?」
「元の世界に近づければ可能よ。この未来の世界はあなたが存在したがために一時的に二つに別れた状態なのよ。それに近づけさえすれば、あなたが一人の合わさっている方が自然となる。上手くいくかは分からないけど、今思いつくのはそれぐらいね。」
「そうか。それにしてもマザーコンピューターの警備は意外と雑じゃないか?IDだけで人間かを判断するなんて。」
「この世界の人はずっと昔からIDで管理されていた。彼らにとってIDでしか人間を判断できないのよ。」
「そんなもんかねぇ。」
「と、話はこれくらいにして。作戦決行は明日だから心の準備をするか、しっかり休むとかしときなさい。あなたの部屋は2階の208号室、テレポート装置の使い方はあなたの世界のエレベーターの使い方と同じね。じゃあまた明日。」
「あぁ、また明日…」
こうして彼女はテレポート装置でどっか行ってしまった。それにしても大変な仕事を担わされたものだ。これは今日は寝れなさそうだな。
明日
作戦決行日