透けて見える賛美
愛を渇望している。
親にさえ本音をさらけだせない自分には他人が必要だ。今更、構築してきたイメージを簡単には崩せない。別に仲が悪い訳では無い。寧ろ逆であって自己犠牲を厭わない聖人のような父を尊敬している。だからこそ媚びるように甘えられない。概ね自分という人間について把握はしているだろうが、そこに踏み出してしまったらどう顔を合わせばいいか分からない。
表面を取り繕って今まで接してきたツケが回ってきた。
母についても語ろう。当人には申し訳が無いがあまり印象が薄い。腸関係の病気に掛かり入院していたため、青年前期(中学時代)という自己の形成において重要な局面で顔を合わせなかった影響だろう。
小学生の頃はウザったく聞こえた小言も、自分を思っての行動だということは知っている。勿論優しさもあった。
父から唐突に離婚について切り出された。戸惑いを悟られぬよう虚勢で気丈に振る舞った。答えは今まで書いてきた事柄で分かるだろう。
シャワーを浴びながら俯き感傷的になっていた。だが冷たいかなそんな悩みにも結論が生まれた。嫌われ役でいてくれてありがとう。
私は母性に飢えているのだろうか、自分はこういう人間だということを0から伝えられれば、きっと素直に甘えられるだろう。だから他人が必要だ。
人を抱きしめたい、抱きしめられたい。体に顔を埋めぬくもりを感じたい。肉慾なんて贅沢なモノは望まないから女性に甘えたい。