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「あ、しまった」
助けての声のことを問い詰めて無かったことに気が付いた。だが、少年らの姿はもう見えなくなっている。今更、走って追いかけてもなあ。
何だか、笑える。
諦めて俺が歩きだそうと右足を上げた時、「きゃー、ちょっと待って」
という叫び声が聞こえた。すぐ近くのようだ。
「おーい、何処なんだよ。大丈夫なのかー?」
俺は相手の声の大きさに合わせるように呼び掛けた。
「足元に気を付けて。私を踏みつけてしまいそうだから」
俺は言われたように自分の足元を見た。
「えっ?」
こっちを見上げて右手を小刻みに降っている姿が視界に入った。
「誰?」
咄嗟に口をついて出たのはそんな言葉であった。
「誰って言われても」
俺はその場にしゃがんだ。そして出来るだけ視線の高さを同じようにしようと顔を地面にくっつかんばかりに無理な姿勢をとった