Ⅶ 0の少女
もくもくもくもく
…………
もくもくもくもくもくもく
……………
なぜ俺は不法侵入した女のスルメを食い終わらすのを待っているのだろうか?普通追い出しても良いはずなのに……
もくもくもくもくもくもくもくもくもくもく
しかも味わっているのか中々噛みきれないのか食べ終わらない……
そして時間がかかったが遂にスルメを飲み込んで……
「おい……次に手を出すのをやめろ」
「だが断わる」
こっ……の女ァ……!
どこかの有名なセリフをはきながら次のスルメを口に運ぶ。もっとなにか他になかったのか……
結局そのまま1時間。
遂にこの女の目的を聞くことが出来た……
スルメ食べながらだが……
「んで?説明いる?」
「……何のだよ」
さすがに開口1番がそれじゃぁ分かるはずもない。
何だ?なぜ不法侵入したのかを説明してくれるのか?
「因みに手段はピッキングね」
聞いてねぇよ……
だが次の一言で俺は凍りつくことになる。
「んで、力の説明いるの?」
「……なんの事だ?」
咄嗟にそう答えてしまったが、これはさすがに露骨過ぎた。確実に覚えがあると言っているようなものだ。
まぁそれがなくてもどうやらこの女は知っていたみたいだが……
「隠さなくていいよー、系統は全く違うけど、非科学的な力を持ってるのは一緒だし」
「……一体アンタは何もんなんだ?」
「んー?わたしは……まぁ偽名だけど雫とでも名乗っておくよ」
偽名だと自分から言うのか……
「んで、聞くの?」
「……あぁ」
聞けるんだったら聞いといた方がいいだろう。
系統が違うと言っていたが、それでも何も知らないよりはマシだ。
「それ、多分人工的に作られた。何か元々オリジナルがあったんだろうね、それを再現したんだと思う」
「人工的?何が?そして誰が?」
「青い液体」
……やはりあれがあの力を得ることになったものだったのか。
しかし人工的……オリジナルとは一体なんだ?
「オリジナルが何なのかはこっちも調べないと分かんない。んで、勿論作った人も知らない」
まぁそれは一応聞いておいただけで期待はしてなかった。
「あとは、わかっているとは思うけど、力を使えば消耗する。気力が減るっていえばわかる?ゲームで言うところのMPだね」
戦闘中は必死で気づかなかったが、帰還した後、どっと疲れたような感じがした。
その時は緊張が解かれたせいだとおもったが、そういう事だったのか……
「……その顔は気づいてなかったんだね?」
おっと、気づかれた。
「……まぁいいよ、だから使い過ぎはダメだから。あと、使えるのはあのダンジョン。外に出ても使えなくはないけど、殆ど効果はないし、消耗もより激しくなると思うよ?」
マジか!……まぁ目立つし使う気もなかったからいいが……
「んじゃ最後に、あのダンジョン、多分現実を侵蝕してる」
「ハァ!?」