ⅩⅣ 組織の成り立ち
「クッソ!どこいったあのガキ!!」
やべぇぞ!察が来てるってぇのに人質にも逃げられ……何かやり返さねぇと気がすまねぇ!!
「しっかし何で見つからねぇんだよ!」
どこ探しても見つからない。一体どこに行ったんだ!?
とにかくさが……
「「あっ?」」
…………………
「いたぞォォォォォ!!」
「やっべ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いたぞォォォォォ!!」
「やっべ!」
何で曲がり角であたるかなぁ!?
死角から出てこられると心臓に悪いんだけどぉ!?
しかも今目の前にいるやつが叫んだせいで集まってきやがる……いや、それ自体はいいんだが流石に”早すぎる”!!
まだ”あそこ”には遠いぞ!?
とりあえずどこかやり過ごせる所……あるわけねぇよなぁァァァァァァ!!!!
何処からも人がやってきてんのに呑気に隠れてる暇はねぇてばよォォォォもぉぉぉぉ!!
「こっちだッ」
「エッチョッ!?」
突然腕を引かれ1つの教室に入れられる。
俺の手を引っ張った相手は……
「クッソ!お前もテロリストかよっ!」
「まてまてまてまてまてまて!!!とりあえず静かにしろ!!」
そう言われ口を塞がれる。そして……
「おいっ!あのガキはどこいった!!」
「こっちには来てねぇぞ!!」
何とこの男、俺を匿ったのだ!
そしてドタドタと言う足音が少しづつ遠ざかっていく。
「……もういいだろう」
「ぶはっ……何で俺を庇った?」
「お前のためじゃない。俺も今の組織にはうんざりしてた所だ」
「どういう事だ?」
この男の話を聞くと、どうやらこの組織は元々昔、日常の理不尽にあい、世を無理やりおわれたもの達で作った組織だったらしい。
最初は同じく困ってる奴を助け、少しづつ世の中を変えていこうとしたらしい……そんなリーダーのセンスが残念だったおかげで組織名は酷いことになったらしいが……
そしてこの男は結構な古参らしく、まだこの組織がマトモだった頃から所属していた。
そしてそれにこの男は誇りをもっていたらしい。
だがそうやって続けている内に、どんどん組織は成長。そして色んなことに挑戦する様になった。
その挑戦は最初はマトモなことではあったのだが、それらを達成していくうちに少しづつ過激になっていった。
結果、テロまがいの事を始めるようになって行った。
そのような行為も、当初は軍資金を集めるためだということで、悪人から少しづつ盗っていくようになっていた。
だが、その金額も少しづつ増えていき、果ては善人からも巻き上げるようになって言った。
そしてだ、ある程度軍資金もまとまり、装備も整った所で、リーダーが言い始めたのが本格的に改革を始めようということだったらしい。
その結果、この学校が狙われた。
何故この学校なのかは誰もわかっていないらしいが、恐らくそれは俺のせいだろう。
そういうこともあり、計画を実行したのだが、結果はこの有様。元々人質を利用して逃げるつもりだったために逃走手段を残してはいなかったらしい。それは完全な油断だな。
そしてその機会を利用して、この男は組織をやり直す。出来なくてもせめて罪を償いたいということだったらしいな。
「て事は俺が逃げ切ればあんたの目的は達成されるってことか?」
「あぁ、誰一人として死なせたくない。ホントはみんなも同じ気持ちだった筈なんだ……だがリーダーがどんどんおかしくなって……それと一緒にみんなもおかしくなっていった……」
「……」
「頼む。俺は皆を人殺しにはさせたくない。巻き込んだ俺らが言うセリフでは無いかもしれないが……どうか……どうか逃げ切ってくれ!」
なんと言うか、ホントにこんなお人好しもいたんだな……
とは言っても最初からやることは決まってる。
俺は教室のドアを開ける。
「んじゃ、行ってきますか」
「頑張ってくれ」




